絶対に見てほしい!America’s Got Talent 2013のパフォーマンス、ベスト14。

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僕が大好きなAmerica’s Got Talentですが、ようやく見終えたので、今年最も良かったパフォーマンスのベスト14をランキング形式で発表してみたいと思います!

 

14位 Special Head 地区予選

(パフォーマンスは1:17から)

 

マジック・手品系のパフォーマンスが一番衝撃を与えるパターンは、こうです。

「これまでに全く見たことがない種類の手品で、何が起こっているのかは分かるけれど、とにかく”魔法”としか説明のしようがない。」

たとえばトランプの手品を見るとき、それがどんなに凄い手品に見えても、僕達は、それがパーム等の各種テクニックを使って、上手に錯覚させているということを既に知ってしまっています。

人体を切断する手品を見るとき、箱に入れた人が消える手品を見るとき、ハトが出てくる手品をみるとき、誰かが書いた何かをあらかじめ予想しているといった類の手品を見るとき、そこには手品師なら知っている何らかのテクニックがあることを僕達は不幸にも分かっているので、心の底から驚くことは無いんですね。

その点、このSpecial Headの空中浮遊という手品は、僕は初めてみたため、物凄い衝撃でした。僕達はトリックを使った上手な手品を見たいのではなく、本当はただ奇跡が見たいんだなということを思い知らされるパフォーマンスだったと思います。

Special Headは残念ながら、この空中浮遊以外のトリックを一切持ち合わせていなかったため、最終的にはインチキマジシャンのようなネタキャラ扱いになってしまいましたが、地区予選で初登場時のこのインパクトは忘れられません。

 

13位 Alexandr Magala 二次予選

(パフォーマンスは0:23から)

 

今年の危険系のパフォーマンスでダントツだったのは、Alexandra Magalaが地区予選を突破した後の二次予選で見せた、この演技だと思います。

危険なパフォーマンスが結果を出すためのポイントはとにかくこうです。

「人が残酷に死ぬところを最も鮮烈にイメージさせ、その死の瞬間に極限まで近付くところを見せて、息を飲ませること。」

そこに必要なのは、トリックでも無ければ、エンターテイメント要素や芸術性、難しい技術でもありません。ただ危険、そしてグロテスクな死様がイメージできること。そして、死に出来るだけ近付くこと。

たとえば”空高くにピンと張ったロープを歩いて渡る”。それ以上に何も工夫はいらないのです。おそらく10000回見ても、10001回目を見るときには、ぞわぞわして、恐怖を感じて、息を飲んで見守り、成功したときには心をなでおろして祝福するでしょう。

1歩間違えれば、いや、0.01歩間違えれば死ぬことを、直球でやってのける狂気に僕達は惹かれるんですね。

去年はSpencer Horsemanという脱出マジシャンが、それを最も上手に見せていました。Spencerは遠くからしか見えない爆発する船から脱出するわけではありません。ただセメントで埋まっていく箱の中から身体を縛ったいくつもの鍵を時間内に外して脱出したり、糸が燃え尽きたら自分を串刺しにする装置から脱出したりと、常に死の一歩手前を観客に見せた状態で脱出劇を演じていました。

そして今年は、このAlexandr Magalaでした。通常の大道芸人は剣を飲むところまでしかしません。しかし、Alexandr Magalaはその剣を飲んだ状態で顔を下にしてポールを滑り降り、地面に激突して剣が体内を突き刺す数センチ手前で、ポールを掴む足の力だけで止まる。とてもクレイジーでした。

 

12位 RED PANDA 地区予選

(パフォーマンスは1:22から)

 

テクニカル系の大道芸というのでしょうか。

ジャグリング、ペン回し、世の中には何でそんなことをやるんだというようなものにハマり、それをとことんまで極めてしまう人たちが、僕達の身近にもいますよね。

その点でいえばRED PANDAのパフォーマンスは、まさにその完成形です。

物凄く足の長い一輪車に乗って、片足でバランスを取りながら、もう片方の足に何個もお皿を乗せ、それを蹴りあげて頭の上に重ねる。

もはや誰が何故、そんなことをしようと考えたのか。そして何でそんなことが出来るようになるまで練習してしまったのか。

最大の賛辞を贈りたいパフォーマンスです。

 

11位 Leon & Romy 準決勝

 

Leon & Romyは正統派のイリュージョンマジックを演じる二人組です。

ミスもしませんし、手品の腕前は全く持って文句なし。しかし、それだけではAmerica’s Got Talentで勝利することは出来ません。

準々決勝で敗れてしまい、ジャッジであるHoward Sternの推薦で準決勝の場に復活したLeon & Romyが見せたパフォーマンスは、Howard Sternが準々決勝で行った、以下のアドバイスを受け入れたものでした。

「一つ一つのトリックが冗長すぎる」

手品師は普通、ショーを盛り上げるために、前振りを行い、トークを交え、時間を掛けてトリックを進め、そして奇跡が起こる”ジャーン”という瞬間で拍手喝采というパフォーマンスを行います。

しかし、上述したようにイリュージョン系の手品というのは、どこか見飽きている、本当に心の底から驚くことはない、そういった類の手品です。

ですから、決勝も近付いてくると、どうしても周りの才能たちに比べると、”練習すれば誰でも出来るもの”と見えてしまうんですね。そういう見方を克服するために、彼らはこのパフォーマンスでは90秒の間に、なんと7つものトリックを入れます。

「何も入っていない箱に布をかぶせて、その布を取り除くと人が出てくる」

普通なら5分程かけて、もったいぶって行いそうな人間出現トリックに、このパフォーマンスで彼らが掛けた時間は、たったの2秒足らずです。

見慣れているかもしれないけれど、凄いことは間違いないイリュージョンマジックを、とにかく連発することで観客を沸かせる。

これは手品のとても新しい見せ方だったような気がします。

 

10位 CATAPULT ENTERTAINMENT 準決勝

(パフォーマンスは1:02から)

 

America’s Got Talentには、既にそれで充分に生計を立てているであろうことが予想されるプロフェッショナルな人たちも登場し、そういった人達は地区予選から会場を大きく沸かせます。

しかし、プロフェッショナルな人たちが陥りやすい罠は「技術的に難しいことをやること」に拘りすぎるということです。

この影絵アーティスト集団、CATAPULT ENTERTAINMENTは、準決勝では海の中の世界をとても華麗に描いたのですが、ジャッジ達から「何を表現したいのかよく分からなかった」と酷評されてしまいます。

それでも何とか投票を生き残った準決勝で彼らが見せたものは「いじめられっ子が立ち直る物語」でした。影絵という表現に拘りすぎるあまり、表現が目的になっていたところから、それを上手に使ってストーリーを伝えるところへと、ステップアップしたのです。

America’s Got Talentでは、回を重ねていく途中で”才能の見せ方”を自分で発見するパフォーマーがいます。そして、そのような、自分の技術の中で本当に観客を惹きつけるものは何なのかを考え、その見せ方を考え抜く中で生まれたパフォーマンスには感動させられます。

CATAPULT ENTERTAINMENTの場合は、凄い技術をたくさん見せたいというエゴから離れて、メッセージ性と分かりやすさを追求したことが、この素晴らしいパフォーマンスを生み出したんですね。

 

9位  CICAGO BOYS 準々決勝

(パフォーマンスは1:05から)

 

僕は団体芸が基本的に余り好きではありません。ゾロゾロと出てきて、中途半端なパフォーマンスでもみんなでやれば盛り上がるだろというような、大学のサークルノリが出ると、もう最悪です。

その点、CICAGO BOYSはヘーイヘーイと掛け声を入れたりするところは個人的には気に喰わないのですが、とてもアクロバティックで難しいことを分かりやすく元気にやってのけてくれるので、見ていて納得して楽しめます。

団体芸で本当に観客を納得させるためのポイントは、あちこちでバク天や宙返りをすることでも、みんなで楽しそうに踊ることでもありません。団体だからこそ出来る、一瞬でスゴイと分かるものを見せつけること。

それは本当にピシっと揃った綺麗なダンスを披露することだったり、本当に難しい組み体操のようなものを見せることだったりが該当しますが、このパフォーマンスで出てきた、まるで遊戯王のゲート・ガーディアンのように3人が肩車をした状態で小縄と大縄をダブルで飛ぶという演技は拍手を送らずにはいられない”一目瞭然”のスゴ技でした。

 

8位 CAMI BRADLY 準決勝

(パフォーマンスは1:05から)

 

地区予選や二次予選は、実力のある歌手にとっては、それほど難しい関門ではありません。地区予選では美声を披露すれば観客が沸き、ジャッジはとりあえず二次予選に通します。二次予選では周りの歌手よりも上手ければ、大体上位の1/3がベスト64に進みます。

歌手にとって本当にタフな状況になってくるのは準決勝あたりからです。有名なホールで大観衆を前に、周囲からは”見せ方”を確立出来なかった才能は消えていき、誰が見ても凄いと分かるパフォーマンスだけが残ります。そんな中で、歌手はこれまでと同じように、ただ歌を披露し続け、投票を得て、勝ち残り続けなくてはならないのです。

ベスト64あたりから消えていく歌手には、こういう人が多いです。

大きなステージに負けてしまい、たくさんのバックコーラスを付け、とにかく派手なセットにして、派手な曲を選び、派手に歌い、ゴリ押しで勝ち続けようとする。そうすると、逆にカメラがあちこちにふられ、観客の歌への集中は遮られ、正当な評価が得られなくなってしまうんですね。

もしくは、地区予選、二次予選と魅せてきた自分の歌い方を貫き続けることができずに、本当の魅力とは異なる、違う一面を見せようとしてしまい、消えていく歌手もいます。

その点、CAMI BRADLYは、どこまでも自分に正直でした。準決勝になっても、ストリングを入れただけで、自分でピアノを弾きながら、バックコーラス無しで、得意の一音一音に拘りつくした繊細な歌を聴かせました。カメラは常に彼女を映しつづけ、テレビ映えもしたでしょう。

僕達はあまり歌手について考えることはないですし、歌手は上手に歌えればいいと思いがちですが、America’s Got Talentを見ていると、歌手こそ、自分が本当に観客を惹きつけられる核心は何かを考え、他の余分な要素を削ぎ落して、核心に焦点を合わせた見せ方、歌い方をし、自分の世界に皆を引きずり込むことが大切なのだなと感じさせられます。

 

7位 TAYLOR WILLIAMSON 準決勝

去年からジャッジに人気ラジオ・パーソナリティのHoward Sternが加わり、コメディアンのHowie Mandelと合わせて、コメディアンを正当に評価するジャッジが二人いる状態が作られました。それによって、去年は初めてコメディアンが決勝まで残り、そのTom Cotterは準優勝という輝かしい成績を収めます。

今年もコメディアンは2人が準決勝まで勝ち上がりましたが、そのうち決勝まで残ったTaylor Williamsはとてもエッジーなコメディアンです。

僕のおばあちゃんは人種差別主義者なんだ。「黒人と結婚したら結婚式には行かないよ」って言ってくるくらいにね。

「でも、僕が結婚する頃には、おばあちゃんは多分死んでるよ」って言ったのさ。

おばあちゃんは、そのジョークが嫌いだったみたい。彼女には”ブラック”すぎたんだってさ。

また、Taylor Williamsはフリートークでもユーモアが溢れていました。

ジャッジの1人であるHowardがコメントで彼を絶賛した後に、コメントを求められたもう一人のジャッジMelが「あまり好きじゃなかった」と言おうとした瞬間に、「もう一度Howardに戻そう」と言って切り抜けたりと、バラエティ的な活躍をもイメージさせていて、テレビ映えするコメディアンだなと思いました。

 

6位 COLLINS KEY 決勝

COLLINS KEYは、皆が見たことのないような新しい手品を完璧に披露する17歳の超実力派マジシャンです。

ベスト64以降は事前に予想していた内容が悉く当たるという、予想系の手品を披露していたのですが、決勝では少し趣向を変えて二枚のカードが一枚になってしまうという、物凄いトリックを披露しました。

予想系の手品はどこかうさん臭いところがあって、あまり好きになれなかったのですが、この手品は見たことが無い上に、信じ難いことを起こしてしまい、ただただ驚きの一言でした。

 

5位 KRISTOF BROTHERS 準決勝

(パフォーマンスは1:14から)

 

KRISTOF BROTHERSは、自分たちの技術の見せ方を最初から分かっている、珍しいパフォーマーでした。

多くの体操系パフォーマーが、難しい技術を、もったいぶって難しそうに披露する中で、彼らは物凄く困難な体操を、とても安っぽく、ユーモラスに、そして簡単そうにやってのけ、地区予選から一貫して大好評でした。

彼らの演技は毎回凄いのですが、特に好きだったのは準決勝で、ビリーズ・ブートキャンプのような、良くあるダイエット系の商品を真似した形式で「みんなでやってみよう」という感じで、次々と難しい技を披露するという、とても楽しいパフォーマンスでした。後ろがずっと失敗してるのも面白いですね。

 

4位 Innovative Force 準々決勝

(パフォーマンスは1:05から)

 

上で団体芸はあまり好きじゃないと書きましたが、もうひとつAmerica’s Got Talentであまり見たくないものがあります。それは子ども芸です。

このInnovative Forceは、その両方を兼ね備えていながら、それぞれの短所が一切なく、長所が最大限に活かされていて、今年の全パフォーマーの中でも1、2を争うほどのお気に入りでした。

団体芸、子どもの弱みは”妥協”です。完璧じゃないけれど、身内ノリで「うまくできたよね」という感じを出していたり、子どもだから仕方ないという妥協を感じさせるパフォーマンスは、準決勝頃には淘汰されています。

一方で、子どもの一番の長所は「一流に教えられた内容を演じること」です。練習時間でも経験でも勝るはずの大人の体操やダンスが、自分たちでパフォーマンスの中身まで考えてしまうために、いまいち映えずに消えていくことは多くあります。

Innovative Forceは専属の先生や振付師がいて、それを熱心な子どもたちが妥協せずに全力で演じるダンス・組み体操等を混ぜ合わせた団体芸です。ダンスではピシッと揃っていて、子どもだからと妥協せずに危険なムーブもガンガン取り入れ、難しい技が次々と、しかもプロの構成作家のお蔭でとても分かりやすく繰り広げられます。

特に準々決勝は、団体芸をやるならこうで合ってほしいというのを完璧に実現していて最高でした。

 

3位 D’ANGELO & AMANDA ベスト64

Innovative Forceで書いた子どもの長所が最大限に現れていた、もう一組が、こちらのD’ANGELO&AMANDAでした。

この二人はとにかくリズム感が良く、キレの良いダンスをします。相性も良く動きもピッタリです。

踊っているだけでも綺麗で、そこに振付師が考えた分かりやすくてトリッキーな技も加えられ、とにかく見ていて圧倒されます。何よりもダンスに真摯で、子どもと思えないほどプロフェッショナルなパフォーマンスをします。

特にジャッジ全員がスタンディング・オベーションだったベスト64でのパフォーマンスは、エモーショナルで、衣装も華やかで良かったです。

 

2位 KENICHI EBINA 準決勝

America’s Got Talentを見事に制して優勝した日本人のエビナ・ケンイチですが、準決勝のこのパフォーマンスは特に圧巻でした。

KRISTOF BROTHERSと同じく最初から自分の見せ方を分かっていたパフォーマーで、初登場時から決勝まで、一貫して観客とジャッジを魅了し続けましたが、準決勝では映像と完全にシンクロしてミラーで踊るといったようなダンスの技術の高さも見せながら、そのストーリー作りや映像作りでのクリエイティビティも、ユーモアセンスも、全てが爆発していました。

見れば誰もが納得する凄さなので、あまり書くこともないです(笑)。

 

1位 FORTE 決勝

(パフォーマンスは1:08から)

 

インターネットで出会った3人のオペラ歌手が組んで出場したユニットが、このFORTEです。

上述したように、America’s Got Talentは歌手にとっては、毎回ただ歌うということを磨き続け、余分なものをそぎ落とし、見せ方を追求し続けて、勝ち続けなければいけないタフな大会です。

今年は、他にも2組、有望なオペラ歌手がいたのですが、決勝に残ったのはForteだけでした。

Forteは3人組という構成が間違いなく勝因でした。実力のあるオペラ歌手が3人揃うと、1人が繊細に歌うところから、3人で熱唱するところまで、物凄く広い範囲の表現が可能になります。ノイズになるようなバックコーラスを入れる必要もありません。

ただ3人がマイクを持ってステージにあがる。そして毎回、圧倒的な歌唱力と抜群の選曲で、ジャッジと観客に感動の渦を巻き起こす。とてもシンプルながら、何回でも見たい、ドミンゴ、ババロッティ、カレーラスの三大テノール・ショーを見ているかのような、本物のパフォーマンスでした。

中でも、みんなが知っているような曲を選び続けてきた中、最後の最後でイタリア語?のオペラ曲を歌ったところに感動させられました。

 

まとめ

去年は、William Close、Tom Cotter、Spencer Horseman、David Galibaldi、Olate Doggsと、ショー向けの”見せ方”が分かりやすいパフォーマンスが序盤から次々と登場し、歌手やダンスの居場所がほとんど無いくらいに派手なエンターテイメントを楽しめたのと比べると、今年は序盤は地味というか粗削りな才能が多く、もしかすると期待外れなのではないかと思いながら見ていたのですが、準決勝くらいになると、見せ方を追求しつくしたパフォーマンスや、選りすぐりの才能に厳選され、歌手が多めでしたが凄く楽しむことが出来ました。

それにしても、これだけバラバラで判断に困るパフォーマンスをきっちりと見極めて評価していくジャッジ達、特にHoward SternとHowie Mandelはエンターテイメントに対する教養が物凄いですね。

 

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