【映画】ソマリア沖の海賊問題を描いた『キャプテン・フィリップス』を見た感想。

公開日: 映画

phillips

ソマリア沖の海賊問題

予告編がおもしろそうだったのを覚えていて、飛行機の中で見つけて観賞しました。

『キャプテン・フィリップス』は、国際問題としても重要になっている”ソマリア沖の海賊”という問題をテーマにした作品です。調べてみたところ2009年にあった実際の事件が元になっているようです。

簡単なあらすじは以下の通りです。

ソマリア沖で物資を輸送する船が海賊に襲われ、船のキャプテンであるフィリップス(トム・ハンクス)がそれに対処するという内容になっています。

以下、ネタバレをします。

侵入を許してしまったものの、暗闇に隠れて海賊側のリーダーを捉えることに成功した船員たちは、海賊と交渉し、資金を提供する代わりに脱出ボートに乗り込ませて船から追い出します。しかし、キャプテンのフィリップスは海賊によって人質として脱出ボートに乗り込まされ、アメリカ海軍による救出を願うことになります。最終的にはアメリカ海軍が海賊側のリーダーを交渉という名目で海軍船に呼び出し、リーダー不在で統制がとれなくなった残りの海賊を遠距離射撃で同時に射殺して、フィリップスを救い出します。

民族紛争や宗教戦争に利権絡みで大国が介入するという正義・悪を決め難い紛争が頻繁に繰り返される現在の国際社会において、”海賊”と”テロリスト”はおおよそ”悪”という共通認識が世界的にあるのではないかと思うのですが、この作品は出来るだけ中立的な視点から一つのケースを描いています。

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ケースを描いて、思想は描かない

中立的にケースを描くということは、別の見方をすれば監督等の思想・メッセージは織り込まれないということであって、映画が今の社会問題を描写するという以上には何も伝えないという部分においては、見たあとに少し不満が残ります。

一方でリアルな分、終始ハラハラさせられる緊張感はありますし、アメリカ人のキャプテン・フィリップスの傲慢さ、狡猾さが滲み出ている点(克明に描かれているというよりは、文字通りにじみ出ているのです)は上手だなと感心しました。

怪我した海賊のひとりを手当させてくれと善意を見せる側面がある一方で、ストレートに要求を伝える海賊に対して、ひたすら嘘を付き、騙すことを続けるフィリップスやアメリカ人の海賊達を見下した傲慢さ・狡猾さは、一言でいえば不誠実なのですが、それはあるいは”悪”に対する正しい態度なのかもしれませんし、アメリカという国やその他の先進国を象徴しているのかもしれません。最後にフィリップスが動揺し混乱するシーンでさえ、そういった結末へと自分で導いておきながら動揺するフィリップスの都合の良さ、そしてそれがある意味で当然であることを思い知らされます。

そういう意味ではケースのリアルな描写によって、ソマリア沖の海賊という世界的な社会問題の様々な側面を浮かび上がらせるという観点からいえば、海賊達の村での生活部分等、見えにくい側面の描写がもっと丁寧であればなと思う部分もありました。

いずれにせよ、武力によって物資を強奪するという海賊は世界的に見て、やはり”悪”なのであり、それをなるべく中立的に描いたという意味では空腹感が残る仕上がりではあっても充分すぎる映画なのかもしれません。ただ、先進国の傲慢さというのは手放せるものでもなければ、手放して世界が公平になったからといって平和が訪れるわけでもありません。教訓があるとすれば、こうしたケースが起こらないよう、そもそも海賊に侵入させない”予防”が大切だということでしょうか。

 

参考

ソマリア沖の海賊(wikipedia)

ソマリア沖の海賊は悪か?襲われた貨物船の船長が見たものとは

 

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