【まとめ】ガザ地区で何が起こっているの?パレスチナ問題を調べてみた。

公開日: お金と社会

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7/13に始まったイスラエルのガザ地区への侵攻が激しさを増しています。

前回イスラエル軍地上部隊が侵攻してきた際には、パレスチナの民間人約1400人が殺害された。今回の侵攻ではすでに168人が死亡。そのうち80%が民間人で、21%は子どもだ(7月13日国連発表)。

【パレスチナ・ガザ地区住民の悲鳴】報道されない小規模な空爆は日常的に行われている

イスラエルによるガザ地区への大規模な侵攻は2006年、2008年にも行われています。上記の1400人が殺害されたのは2008年の侵攻で、これはアラブ側では”ガザ大虐殺”と呼ばれています。

僕はパレスチナ問題にずっと疎かったのですが、この機会に調べてみたので、まとめてみました。

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パレスチナ問題の基本

ユダヤ人のシオニズムとイスラエルの建国

そもそもパレスチナにはパレスチナ人、つまりアラブ系の民族が長い間住んでいました。第一次世界大戦まで存在したオスマン帝国というトルコ系の大帝国は宗教等に非常に肝要な国家であったため、パレスチナではアラブ人を中心に、様々な民族が共存していたのです。

他方でユダヤ民族は更に歴史を遡りローマ帝国より前の時代にユダヤ人の国家をパレスチナ地方に持っていましたが、ローマ帝国への度々の反乱で遂には滅ぼされてしまったという歴史があります。ユダヤ民族はその後、ヨーロッパ等に散って、各地で細々と生きてきましたが、産業革命・資本主義の時代を経ると、彼らは資本家として力を持つようになります。ユダヤ民族は自分たちの国家を持たなかったことから、世界中にネットワークを築き、早くから手形、貨幣、保険、株式、会計技術などのシステムや実学を次々と生み出し、商業民族となっていたのです。また、ユダヤ民族は戦争融資なども積極的に行ってきました。三十年戦争や普仏戦争、さらには日露戦争にまでユダヤ資本が絡んでいましたし(日本は1986年まで日露戦争の借金を払い続けていました)、世界の列強はユダヤ資本を借り入れることで戦争を行っていたのです。

ユダヤ民族がいかに資本主義において優れていたかが分かると思いますが、ヨーロッパではそうしたユダヤ人に対する恐れや妬みが広がっていきます。その最たる例がヒトラーだったのですが、その他にも様々な迫害がありました。そうした中、ヨーロッパでは19世紀以降に民族ナショナリズムが盛り上がっていたこともあり、ユダヤ人たちもナショナリズムが盛り上がる時代感の中で自分の国をもう一度持とう、パレスチナに戻って建国しようというシオニズム運動を展開してきたのです。

第二次世界大戦中のイギリスの二重外交は有名ですが、その後のバルフォア宣言(イギリスがパレスチナにユダヤ人居住地建設に賛成、支援を約束)によって、いよいよユダヤ人国家の建設が現実味を帯びることになります。そして、1947年にはパレスチナ地方をアラブ人地区とユダヤ人地区と国連管轄地区に分ける形で分割案が採択され、ユダヤ人念願のユダヤ国家がパレスチナに誕生したのです。

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(http://matome.naver.jp/odai/2138032922997955501)

イスラエルによるパレスチナ侵攻とその後の対立

国連で分割案が採択された翌年の1948年、イスラエルは独立宣言を行い、イスラエル軍がパレスチナ人の住む街や村に侵攻します。これに対して独立宣言の翌日にはアラブ諸国がイスラエルに宣戦布告を行い、第一次中東戦争が始まりました。イスラエルには勝ち目がないと思われていたこの戦争にイスラエルは勝利し、国連の分割案の範囲を超えてパレスチナ人を追いやり、イスラエルの領土を広げていきました。

その後、エジプトのスエズ運河国有化にアメリカやイスラエルが手を組んで干渉した第二次中東戦争ではエジプトが勝利しますが、1967年にはイスラエルが無通告で周囲各国の空軍基地を突然攻撃し、410機にのぼる航空機を爆破します。このようにして制空権を奪ったイスラエルは聖地エルサレム東部を含むヨルダン領ヨルダン西岸地区、それからエジプト領ガザ地区を征服したのです。これらの地域に住んでいたのはイスラエル建国時に侵攻されて逃げてきたパレスチナ難民でした。

アラファトとファタハによる闘争と和平

アラファトの登場

一方でイスラエル軍によるヨルダン川越境の撃退などでパレスチナ人の支持を集め始めたのがアラファトであり、このアラファトが率いていた組織がファタハでした。

PALAESTINENSISCHE, BEFREIUNGSORGANISATION, ZEIGEFINGER, GENERALVERSAMMLUNG

 

アラファトはパレスチナ地方の全域にパレスチナ人(イスラム教徒、キリスト教徒)と、ユダヤ人(ユダヤ教徒)が共存する民主的・非宗教的な独立国家を樹立することを訴えました。オスマン帝国の頃のようなパレスチナに戻ろうというわけです。しかし、宗教的には排他的であり、数で言えば少数派なユダヤ人にとって、この要求は到底受け入れられないものでした(本当に民主的な国家を作るとユダヤ人は少数派として政権を追われてしまいます)。

こうしてアラファト率いるファタハはパレスチナ解放機構(PLO)に参加し、イスラエルとの戦いを繰り広げていきます。イスラエルによる執拗な攻撃を受け続けながらも、PLOは1974年に国連におけるオブザーバーの地位を手にし、公的な機関として国際的に認知されるようになります。一方でイスラエルはPLOが逃れていそうなヨルダン、エジプト、チュニジア、レバノン、シリア、イラク等の周囲のアラブ国家に攻撃を加え続けます。

オスロ合意と和平の試み

1993年には遂に徹底的にパレスチナ人を攻撃し続けたイスラエルの立場が変容し、ヨルダン川西岸地区とガザ地区でパレスチナ人の自治を認めるというオスロ合意に至ります。(両方ともそもそもイスラエルの土地じゃないので不思議な話ではありますが。)

しかし1995年にはオスロ合意を締結したイスラエルのラビン首相がイスラエルの極右の青年に暗殺され、中東和平の難しさはあっという間に再び明るみに出ることになったのです。

2004年にはアラファト議長が亡くなり、2006年のイスラエルによるガザ地区爆撃によってオスロ合意は実質崩壊しました。

ガザ地区はどういう場所なのか

ガザ地区は壁で覆われた事実上の収容所

ガザ地区はパレスチナ人の自治区とは言っても、実際は収容所のようになっています。

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パレスチナ人はこの狭い居住地の中で自治を行っており、イスラエルのシャロン首相はこの地区からのイスラエル軍の撤収を進めていました。しかし2006年になると様相が変わり始めます。

2006年のガザ地区侵攻

ガザ地区で長い間PLOを率いてきたファタハ(アラファトがトップだった政党です)に変わり、パレスチナ人の力で国土を取り戻そうと主張するイスラム主義のハマスという政党がパレスチナ選挙で勝利します。また、ガザ地区からの撤収を進めていたシャロン首相が病気により退陣することになります。和平を試みてきた時代が終わってしまったのです。

イスラエルはファタハ率いるPLOを正式な政府として承認していましたが、パレスチナ人の分裂を図るために裏ではハマスを支援していたとも言われています。真相は分かりませんが、ハマスが力をつけてくると、今度はハマスを恐れて、ハマスによるパレスチナ政府を認めないという決断を下します。このようにしてガザ地区ではハマス、ヨルダン川西岸地区ではファタハが力を持つように仕向け、分裂を狙っていたのです。

こうした中、2006年6月10日にイスラエル軍のミサイルがガザ地区の海岸に着弾し、パレスチナ人8名が殺害されました。これに対してハマスはイスラエルとの停戦を破棄すると宣言し、小型ロケット砲でイスラエル地区への攻撃を行うようになります。

2008年のガザ大虐殺

そして冒頭の1400人が殺害されたというニュースの一文にもなっていがのが2008年のイスラエル軍によるガザ侵攻です。

イスラエル空軍がガザ地区全域に大規模な爆撃を行った後に戦車や歩兵などがガザ地区に侵攻し、ハマスがこれに応戦しました。

最終的にはパレスチナ人1400人が亡くなり、パレスチナ人の応戦によりイスラエル兵も10人とイスラエル市民3人が命を落としました。

ひどすぎる兵器「白リン弾」

そして現在のガザ地区侵攻

ファタハとハマスの和解

それでは今回のガザ地区侵攻はいったいどのような背景があるのでしょうか。

ひとつはファタハとハマスの和解があげられます。パレスチナ人の間で対立していたファタハとハマスが2014年の6月2日についに和解に至ったのです。こうしてイスラエルを国家として承認しないイスラム原理主義的なハマスを内閣に迎えたパレスチナの統一政府が誕生します。イスラエルは当然これを承認しませんでしたが、アメリカはこの統一政府を承認しました。

6月11日にイスラエル軍はガザ地区の都市部を空爆。武装勢力に加担している者1名を殺害したと発表。

今回のイスラエル軍事行動

そして、先月の6月30日にヨルダン川西岸で行方不明になっていたイスラエルの少年3人の遺体が発見されました。

そして今回、イスラエルはこれを政治的勢力による犯行だと断言し、パレスチナ人ガザ地区への攻撃を開始しています。

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イスラエル側の空爆は1200ヶ所以上に行われており、ハマス側の施設や基地はほぼ壊滅状態になっているとのことです。先日の空爆では障害者支援施設も破壊されたようで、パレスチナ側は多くの子どもや一般人に犠牲者が出ています。国連安保理も停戦を呼び掛けていますが、イスラエル側が攻撃を止める気配はありません。今後の情勢次第では更に戦火が拡大する恐れもあるため、イスラエルの動向には注意が必要です。
*イスラエル軍の数は自衛隊に匹敵。イスラエルとパレスチナの戦力比は日本全土VS和歌山県(警察)くらい。

イスラエル建国以来、イスラエルとアラブ諸国は力が均衡しておらず、イスラエルの軍事行動には抑制が働きにくい状況です。

イスラエル軍のガザ地区侵攻が空爆のみに留まらず、地上での侵攻にまで発展した場合、2008年のガザ地区侵攻のような虐殺が再び起こりうることになり、今後とも注視が必要です。

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