「音楽なら2億円で製作して、庶民的な価格で販売できる。服は現状、そうはいかない」。カニエ・ウェストが語る、服業界の抱える問題。

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・part1:「ドラッグ、お酒と一緒に消費される音楽よりも、人に影響を与えてしまう芸術作品を作る」。カニエが語る『YEEZUS』で目指したものとは。

・part2:「黒人が音楽スターとして活躍することを可能にしたのはマイケル・ジャクソンだった」。マイケルよりも上に手が届いたときに、カニエが感じたクリエイターとしての壁。

・part3:「自分を何様だと思ってるかって?さっき言っただろ、神様だよ!」。お前は何でも出来る、と言われて育てられたカニエの成功観。

・part4:「アウトプットの引き出しがたくさんあれば、一つ一つで我侭にならなくて済む」。カニエの向かう先は服のジョイント・ベンチャー?

 

「誰も俺に対して俺はデザインセンスがないとか理解してないなんて言う資格はない」

Zane:

ちょっとファッション業界について教えてほしいんだけどさ、今までの経験の中で君のビジョンをカタチにするにあたって一番大変だった事って何?

 

Kanye:

そんなこと話しても仕方ないよ。。

 

Zane:

いや、大事なんだよ。

次の話題に繋げたいから、気を悪くしないで教えてほしいんだけど、君は「彼らは生涯をかけて何か一つを作ろうとしている」って言ったよね、だから感謝しているって。

でも、もう君は一つの分野で飛び抜けて成功してて才能もあって、でも他の分野にも移行しようとしてる。

ファッション業界の人らにしてみれば、これは人間の性かもしれないけれど、「これは俺たちの人生なんだ」って戸惑ったりする事は誰にも理解しやすい感覚だと思うんだ。

君は何をそこで成し遂げようとしているの?

そして、こうしたファッション業界の人たちの戸惑いは、君の苦労してる理由に影響していると思う?

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Kanye:

俺はこれまでの10年間をこれに捧げてきたんだ。

80%の時間をファッションに、20%の時間を音楽にだ。

お前はなんで”Niggas In Paris(パリの黒人)”って曲があると思う?

それは黒人がパリにいたからだ!

俺は小さな中庭のついたオフィスをColetteの通りの向かいに持っていた。いいパタンナーさえ見つからないような所さ。

だから俺らはパリに居たんだ。

俺は1万時間を費やした。

俺はメンズの靴で明確でこだわったデザインを持っていた。誰も俺に対して俺はデザインセンスがないとか理解してないなんて言う資格はないね。

 

カニエのNIKEに対する愛憎

Kanye:

俺が小学4年生だったとき、授業中エアジョーダンの絵を描いてたんだ。

俺の母親はそれを俺に買い与える事が出来なかったんだけど、それで絵を描いていたら教室から追い出されたんだよ。

エアジョーダンを描いていただけでだ。

それで俺がNIKEと共同制作できる機会を得たとき、俺は感極まって、俺はこのYeezyに対して何をするべきかって考えたんだ。

俺はそのチャンスを得る為にNIKEのインタビューを受けたりすることも求められなかった。

理由もなしにNIKEと共同制作できるチャンスを得たラッパーは俺だけじゃなかった。

それがどういう意味かって言うと、俺はもう一歩先に進まなきゃ行けないってことなんだよ!

こういう風に考えてほしいんだ。

Yeezyを作ってもNIKEとその後、ジョイントベンチャーの契約が取れなかったってことは、”Jesus Walks”を出した後にアルバムを作らせてもらえなかったってのと同じなんだ。

さらに言えば、Drakeが最初のミックステープを作った後にレコード会社と契約できないのと同じ、2Chainzが1回しか客演バースを蹴らせてもらえないのと同じなんだよ。

「なんでお前はなんで怒ってるんだ?」って人は言うだろうな、だけど実際は2Chainzがいくつ客演で16小節を蹴ったか知ってるかい?

2Chainzがいくつ客演バースを蹴ったか知ってる!1年で100バースだよ!(笑)

100!

100も蹴らせてもらってるんだよ!(笑)

100!(笑)

 

「今のファッションは、みんなが買えるものじゃない」。カニエが感じるファッション業界の問題。

Versaceが買えない人はたくさんいる

Zane:

よしよし、じゃあ解決策を考えていこうよ(笑)。

君は、どうやってその扉を蹴破ってファッション業界に入っていくつもり?

 

Kanye:

俺はファッション業界に入っていくつもりはないよ。

俺はレベルの高い商品を、ファッションの世界じゃなくて、現実の世界に向けて作ろうとしてるだけさ。

だって、人は言うだろ、世の中は不公平だって。

Kanye Westじゃなきゃ、あるいはサッカー選手とデートしてる綺麗な女とか、両親が金持ちの奴でもなきゃ、毎日Versaceを着る事なんて出来ないってね。

でも、俺たちはみんなVersaceが好きじゃないか!

VersaceVersaceVersaceVersaceVersace!

俺たちはみんなVersaceが好きだ。Versaceがこの世で一番のデザイナーだよ。

でも、Versaceを買うには、成功しなきゃいけないだろ。

お前が凄く良いラッパーで、色んな壁を突破して、いい作品を沢山作る。

それから、Dame Dashとレコードの契約を取らなきゃいけない。

それも、良いラッパーってだけじゃ駄目だったんだぜ。敏腕のプロデューサーだから契約が取れたんだ。

Dameはダウンタウンでモデルやアーティスト達と一緒に居て、「yoこのガキ才能あるじゃねーか」って感じでね。

そこまで行かないとVersaceは買えないんだ!(身近な商品じゃない。)

クリエイターは、みんなと繋がりたい生き物なはずだ。

音楽業界のクリエイターがみんなと繋がっているように、ファッション業界のクリエイターも人と繋がりたいはずなんだよ。

でも、生地のシルクとかはみんなに買ってもらうには原価が凄く高いんだ。だからと言って、質を下げる事も出来ない。

俺は200万ドル(2億円)を費やしてレコードを作って庶民的な値段で売る事が出来る。

でも、素晴らしいドレスは、手縫いて大量に作る事は出来ないんだ。

ファッションのオフィスがどんなものか説明させてくれよ。

例えば音楽の世界ではアルバムの制作で完成間際に成ればスタジオに残るのは数人だろ。

エンジニア、マネージャー、アーティスト、レーベル会社の奴。

「マスタリングは明日やるよ、それは明後日だね」とかいいながら。

でも、ファッションのオフィスでは12人とか20人くらいの人が生活の全てを注ぎ込んで朝の4時とかまで働いている。

インターン生も一緒になって、ランウェイに出るギリギリまで調整をしながら、fashion monthの全ての20のコレクションが終わるまでの毎日を働き通している。

それがファッション業界の人が注ぎ込む心と魂のレベルだ。

でも、何が起こるかっていうと、その後が問題なんだ。

現実の一般社会の人、民主的な大衆、つまり、通常の仕事で手に入るくらいのお金しか持ってないけれど、イケてるものが好きな人たちの手に渡るのは、それと同じ裁断でも庶民的な値段に成るように作られたも違うものだ。

服において、NIKEやAppleと決定的に違うのは、NIKEの場合は誰かがNIKEより高い靴で部屋に入ってきても、自分が小さい人間に思えたりはしないことだよ。

 

Zane:

そうだね

 

Kanye:

そのNIKEを履いていれば最高のバージョンの自分のように思えるだろ?

でも、例えば自分がZARAのパンツを履いていて、Celineのパンツを履いた女の子が歩いてきたら、なんか惨めな気分に成るだろ?

それが問題なんだ!

 

Zane:

まぁご覧いただければ明らかだろうけれど、僕にとっては関係ない事かもしれない(笑)。

だって僕は12歳のときからおんなじ格好をしていて・・・

 

Kanye:

そうだね(笑)。

でも、俺は俺たちの事を話してる。

“New Slave”の事だよ。

ファッションが好きな奴らの事さ。

だって、俺たちはファッションを愛していて、それに囚われて(slave)いるんだ。

 

Zane:

それはよくわかるよ

 

カニエにはファッション好きの血が流れている

欠陥のあるキャラクターだと思われているように感じる

Kanye:

おれは5歳の頃からファッションを愛していたんだ。

母親がディスカウントストアに連れて行ってくれて、何が好き?と俺に聞くんだ。

でも、俺が好きなものは全て高すぎて買ってもらえなかった。

それが5歳の時だぜ。

俺は3週間くらい前に、おじいちゃんの葬式に行ったんだ。

それで、今一緒に仕事をやってる俺の従兄弟が立ち上がって、彼の母親が仕立屋だった事の話しをしたんだ。

彼はいつもどこでも一番いい服を着たかったって話。

俺の親戚や家族もいつも良い服を着たがってたんだよ。

でも彼の母親は仕立屋なんだぜ、黒人の仕立屋だぜ!

俺のおじいさんもハスラーだった。

彼は古いヴィンテージの家具なんかを借り換えたりして、他の人の役に立ちそうな物なんかと並べて店で売っていたんだ。

俺は今まで色んな人と座り合って「俺は店を持ちたい」って何回話してきた事か。

その度に「どういうつもりだ?」とかなんとか言われたけど、でも血に流れてるんだよ!

そういう血統なんだよ!

Wreck-IT Ralph(映画『シュガーラッシュ2012』)って見た事あるか?

 

Zane:

うん

 

Kanye:

あの女の子(Vanellopeの事)覚えてるか? あの子は、、、

 

Zane:

欠陥キャラクター(glitch)だった。

 

Kanye:

そう彼女は欠陥だった。俺もあの欠陥キャラクターと同じだって言いたいんだろ?

Kanye Westはあの欠陥キャラクターみたいだって言うんだろ?

彼女はずーっとあっちのビデオゲームの世界にいたんだ。

そういう血統なんだよ俺は!そう血が流れてるんだよ!

 

Zane:

君がマイクの前に座って、あるいはステージに上がって、君の言うべき事を言うとき、僕はいつもそれを見ているんだ。

そういったインタビューなんかがYoutubeに投稿されると、みんなが好き勝手に言う。

色んなコメントが出てきたのを見たよ。

ああいう人達が、君の事を欠陥キャラクターだと思ってると、君は感じているんだね。

 

Kanye:

そうだ、ああいう奴らがVanellopeの車を壊したんだ!(笑)

 

Zane:

でも、同時にたくさんの人が君が言うべきことを言っているのを聞いて喜んでいるんだよ。

感謝してる。そういう人達の事もちゃんと見てる?

 

Kanye:

うん、してるよ。100%ね。

でも、俺は全員に対してやってるんだ。

俺は、俺の意見に感謝しない奴に対してもやってる。

だっていずれそいつらも感謝するようになるからね。

もちろん、俺の意見に感謝する奴らに対してもやっている。

でも、もし誰も感謝する奴がいなかったとしても、空の上で感謝している誰かが居る事を俺は知っている。

 

Zane:

もちろん、僕は感謝してる。

 

Kanye:

ありがとう。

 

なぜ服にこだわるのか

Kanye:

人は俺の声が大きすぎると言うんだ。

なんで服にそんなにこだわってるんだ?

なんでアワードの結果にそんなにこだわってるんだ?

なんでそんなにあれにもこれにもこだわってるんだ?ってね。

でも、これは俺が”Otis”のビートを作るときに拘ってるという現象と同じことに過ぎないんだ。

”HAM”は皆に好かれなかった。Miami Heatはその頃ちょうど負けてた。

そして、俺はMercer(NYのホテル)に居て、みんなはスクリーンに「誰がThrone(棺桶)を見てるんだ」って比喩で書くんだ。レブロン・ジェームズの写真とかと一緒にね。

だから、俺は自分が自分のThroneを見なきゃ!ってことで”otis”を作った。

“Otis”がなければ”Niggas In Paris”は売れないと思っていた。

初めに玄関に花を届けておかないと駄目だって分かってたんだ。

“Otis”を出してから”Niggas In Paris”を出した。

だからちょっと待てよと。これは同じステップだなと。

「お前は世の中のためになりたいとか助けに成りたいとか言うけど、ファッションに拘ることが何で世の中のためになるんだう?」って人は言うだろ。

それは、裸で歩き回るのは違法だからだよ。

でも音楽を聴かないのは違法ではない。

これは重要な事だ。

靴は重要だ。毎日履く。

もし誰かが靴無しで道を歩いていたら、なにかあったんじゃないかと思うだろ。

でもヘッドフォン無しで町を歩いていても「よぉ、元気か?今日はヘッドフォン無しの日か?」なんて展開だ。

でも靴無しじゃ「おい大丈夫か?」だ。

 

Zane:

そうだね

 

Kanye:

家族と何かあったのかな。

「せめて靴下は?」「サンダルは?」「せめてスリッパと靴下は?」(笑)。

 

Zane:

僕はニュージーランド出身だからビーチサンダルはいいと思うけど(笑)。

 

Kanye:

そうだね(笑)。

でも、黒人にはビーチサンダルは駄目だ(笑)。

出身地なんて関係ないよ。

黒人ならビーチでもホットなエアジョーダンを履け、いいな(笑)。

 

「動かない奴らは何がその後に起こりうるかという妄想の奴隷になっている」。カニエ・ウェストの語る、理想の現実を追い続ける姿勢。に続く。

 

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