「プレハブ・ハウスのイメージを変えられたら、人はもっと安価に家を買える」。ファレルがプレハブ・ハウジングのプロジェクトに取り組む理由。

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part1:「色を明るくすることで、人の感情も明るくしたい」。ファレル・ウィリアムズの色へのこだわり

 

ザハ・ハディトとのプレハブ・ハウジングプロジェクト

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サブプライムローンのような問題の解決策は自分たちの中にある

クレイグ:さて次はファレルさんの本の中にも書かれてあったことですが、ザハ・ハディド(イラク・バグダード出身、イギリス在住・国籍の女性建築家)さんに、プレハブ・ハウジングを作る上で、彼女にコラボレートしてもらうよう頼んだようですね。これに関してはどこまで関心を持たれていたのですか。

ファレル:そうですね、これもまた独自の表現から始まったのですが、世界経済を見ていて、サブプライムローンのシステムが私たちの貪欲な態度や姿勢によって生活水準を下げていますね。それで思ったのは、この経済状況を打破する一番良い方法は私たちにある、ということです。よくこんなことを言われますよね。『問題を解くにあたっての解決策はいつもその問題の中にある。』
ところでなんだか僕の言っていること、はちゃめちゃですよね。でも、わかってくれますよね。

クレイグ:大丈夫ですよ。わかっていますよ。

ファレル:ちょっとプレッシャーですね。しかも太陽並みの光線を浴びていますので・・。本当に熱いです。

クレイグ:でもファレルさんはこの光線に慣れているんじゃないですか?私はこんな機会があまりないので慣れていないですが・・。

ファレル:なんだか僕、チキンの丸焼きのような状態です・・。(笑)

クレイグ:はははは(笑)

聴衆:(笑)

ファレル:だからですね、おっと音声が大きすぎましたね。プレハブハウスに関してなんですが、超天才である人物プルーヴェさん(フランスの建築家・デザイナー:ジャン・プルーヴェ 1901-1984)が、・・・

クレイグ:そうそう、直近で開催されたデザイン・マイアミでパトリック・セガンがチームを結成してプルーヴェさんのプレハブを、ショーの一部として組み立てるところから完成までを毎日披露・展示していたんですが、もうそれは信じがたいほど素晴らしかったです。

ファレル:本当にすごいですよね。

クレイグ:だから、デザイン・マイアミのファンたちはファレルさんの言いたいことはものすごくわかっているはずですよ。

プレハブ・ハウスのイメージを変えられたら、人はもっと安価に家を買える

ファレル:そうです。彼の歴史をひも解いても、彼のプレハブ小屋を製造してアフリカに送ったりするなど多大なる貢献をしましたね。
もうひとつ大事なことがあるのですが、近年私たちは携帯電話なしでは生きていけないようになってしまっていますよね。例えば携帯電話はもはや一人ひとりの生活の上でのリモコンのような役割を担っているのです。ほとんどのあなたの情報が携帯電話の中に入っていますよね、あとは支払いの役割もしてくれるから財布いらずです。もし何かを買いたいと思ったら携帯で、ピピッ(携帯で支払う時の音)、番号が認識されて支払いが簡単に完了されるんです。このように、私たちにとって携帯電話はすべての役割を担っているんです。携帯電話以外にもコンパクトなスマートカーがあったり・・。
残されたものと言えば、私たちがどこに住むか、ということにおいての考え方を変えるということですよね。伝統的に私たち人間は、500スクエア・フット(約28畳)の広さで機能できていたんです。

確かにモバイルハウスは恰好悪いというようなアメリカでもステレオタイプ的な考えがあります。プレハブハウスも、映画『シザー・ハンズ』に出てくるような面白味のないシンプルなお家というイメージですよね。そこで僕は思ったんです。人々にもっと質が良くて興味を持ってもらえるような、実際に見て欲しいと思わせるようなプレハブハウスを作ったら・・と。僕にそれができれば、人々はもっと安価で土地や家を購入することができます。もっと言えば、車のローンと同じような感覚で家が買えるようになるんです。30年かけて家のローンを払うんじゃなくて、例えば8年で払い終えられると考えてみてください。そして、どうやったらこの流れを生み出して人々に興味を持たせることができるかと考えた時に、ザハ・ハディドさんという人物にめぐりあったんです。

ザハ・ハディトとのコラボレーション

ファレル:プレハブハウスとは基本的に屋根があって四方に壁があって、2、3のフロアがあって、角が正しい角度になっている以外はほぼ直線的な構造になっています。しかしザハさんはこのような建物を好みませんよね。曲線を好み、角すら作らないこともあるほどです。彼女にお願いをしたのには、2つの理由があります。まずは、彼女はプレハブを作ったことがありません。もう一つは、彼女の建築する上でのエネルギーの注ぎ方と表現の仕方を考えた時、プレハブは彼女が建築するような家とは働きが全然違うということです。特に、住人がいかに快適に便利に過ごせるかということを考えなければなりません。ですので、彼女にとって今回の試みはある意味挑戦でした。
このような理由で僕は彼女にお願いをしたんです。自分の考えを彼女に伝えたら、気に入ってもらえました。そして次にあなた(クレイグさん)のところを尋ねました。あなたは本当に素晴らしい方です。例えば夢を大きく持っているところや、人脈が広く、付き合うべく正しい人をしっかりとわきまえているところ、目標を達成できるところ・・・。とにかく素晴らしいですよ。

クレイグ:私もいつもあなたに励まされるようなところがあるのですが、音楽にしてもアートにしてもデザインにしても、ファレルさんはコラボレーターを指名する高い能力を持っていると思うんです。ファレルさん自身コラボレートする時は、先生としての立場ですか、それとも生徒としての立場ですか。

ファレル:100%生徒の立場です。日々の生活で、もしなにも学んでいないとすれば、時間を無駄にしていることと同じだと思うんです。

キドルトとして生きる

『人間』という概念は意味がなくなった

クレイグ:『キドルト(Kiddo:子供+Adult:大人)』とはなんですか。

ファレル:『キドルト』とは人間です。まぁ、私たちすべて人間なんですが・・。近年で言う『人間』という概念はなんとなく意味のないものになっているような気がします。なんというか畏怖なことがなくなったというか・・。時間が与えられたギフトなんです。時間は現在なんです。そして現在はギフトなんです。畏怖なことがなくなったのが人間なんです。『キドルト』というのは、年齢に関係なくなることができます。たとえば、どんなに幼くても大人と同じ能力を持つ人もいます。要は、年齢に関係なく強い精神年齢を持ち、そこで目標を持って学ぶことができる人です。1日のうちのいつであっても安定していられるのです。パートナーが感情的になっていたとしても、なにかの本を読んで影響されても、興味のある事実、例えばリック・ジェイムス氏がニューヨークのバッファロー出身で・・など。要するに、彼らには学ぶ時間が確保できているのです。そしてこのような時間こそが私が好きな時間でもあります。

ファレル・チェアのプロジェクトについて

クレイグ:さて、もっとあなたの好きな作品についてお話したいのですが、その前に、私がデザイン・マイアミで出会ったあなたの作品の中でも大好きな作品を紹介したいと思います。

ファレル:お願いします。

クレイグ:それは、今スクリーンにも写し出されている椅子です。これは誰がデザインしたのですか。

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ファレル:僕は超天才の・・・

クレイグ:『ファレル・チェアー』ですね。

ファレル:僕はこの椅子を、パリの『デモーン・アンド・パリス』というチームと一緒に作りました。彼らは、これまでに見たこともないくらい素晴らしい革製品を作る人たちです。僕たちは『レザー・クラディド・バイク(革で覆われたバイク)』をデザインしました。かなり高級で、すべて革で覆われているんです。見た限りでは、継ぎ目がないです。ブルックリン・マシーン・ワークス社に依頼しました。彼らが作ったジェット機は驚くべきものでした。彼らと一緒にコラボレートできて本当に光栄でした。なぜなら私は音楽家なのですから・・。
アメリカでは、人によって見方が違うというようなことわざがあります。例えば、あなたが座っているところからはどのような景色が見えますか?もしあなたの靴を履いたら私はどう見えるでしょうか。このようなことわざによって明確にさせたいと思っています。たとえば、女性の脚が前、男性の脚が後ろにあって、愛し合っているような椅子を作りたいと思うんです。これが人によって見方が違うという例ですね。
どの角度から椅子を見るかによってもどの人が見るかによっても違ってきますよね。

クレイグ:ははは・・(笑)

ファレル:人によって見方が違うんですから、なにが正しいのかなんてわかりませんよね。

クレイグ:この大衆の前で暴露するような形になるかもしれないんですが、もちろん私は今ファレルさんがデザインしたこの椅子が大好きで、私のコレクションの中のひとつです。私はそれをエントランスに置いていますが、赤色でとても素敵な椅子です。

ファレル:ありがとうございます。

 

「インタビューが大嫌い」。ファレルがインタビューを嫌う理由とは。に続く。

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