ありきたりなラップのリリックに簡単にスパイスを加える5つの方法

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ラップをする人の場合、他のミュージシャンと違い、自分でリリックを書く人がほぼ100パーセントだと思います。

しかし、なんとなく書いたラップのリリックを次の日に見返してみると、なんだか如何にもありきたりでつまらないなと思ったりしますよね。

自分の世界観があるタイプの芸術肌の人は心配ないかもしれませんが、いわゆるヒップホップ的なことをやっている人ほどリリックはありきたりになりがちですよね。

僕は、おもしろいリリックを書くためには2つの大きなポイントがあると思っています。

  1. トピックがおもしろい(ストーリーや内容自体が新鮮だったり、共感できて面白い)
  2. そのリリックの表現がおもしろい

トピックが面白い場合は、それをストレートに分かりやすく書くほうが、面白いリリックに仕上がると思います。

ただ、よくあるセルフボーストなんかの場合は、そこでは差がつきにくいので(みんな俺がフレッシュな新世代で、ラップゲームを変えて未来を見せる的なことを言うので。)、特にリリックの表現が重要になってくるかなと思います。

では、ラップのリリックをちょっぴりオリジナルで魅力的にする方法を紹介していきたいと思います。

リリックにスパイスを加える5つの方法

1. 比喩を使う

ヒップホップではよく比喩が使われますよね。「俺は○○だから、まるで○○だ」みたいなのが多いと思います。

たとえば「俺が新世代のトップを走ってやるぜ」ということを言いたいときに、そのまま言うとクソつまらないですが、「俺が新世代のディープインパクト、10馬身差のつく韻書くぞ」なんて言ってみれば、ちょっとパンチラインっぽくなりますし、ぶっちぎりでトップを走っているイメージが浮かびやすくなりますね。

比喩が使いたいけれど思い浮かばないときは、僕はググります。

「トップを走る」とか「トップを走る 人」、「トップを走る キャラ」、「走るのが速いキャラ」とかでググりまくって、みんなが「あぁ分かる!」ってなりそうなものを探してみてください(笑)。こんなのとかが見つかります。

2. イメージしている情景を描く

リリックを書いているときに、なんとなく思い浮かべてる絵があると思うんですね。

ステージで汗流しながらマイクを持っているのか、VIPルームでギャルと高級なワインなのか、何を思い浮かべているのかは、人とリリックによりけりだと思いますが。

一方で、聴く側はその情景を共有はしていませんよね。

ですから、自分が伝わっていると思って書いたリリックが、実は意味不明で伝わらないことが多いです。

特にあんまりヒップホップと縁が無い情景を思い浮かべているときほどですね。

自分が書いたリリックのイメージまできっちり伝えることは難しいですし、そこにそんなに拘る意味はあまり無いと思うのですが、バースが埋まらないなんてときは情景を描いておくとリリックの雰囲気が伝わりやすい気がします。

たとえばJet Life feat.RAq / Jinmenusagiのバースでは、「俺たちは成功に向かうジェットライフに乗り遅れてないぜ」的なコンセプトだったのですが、僕は「(スタートアップの経営者が会社を急速にでっかくして株式上場を翌日に控えた夜に、)自分の部屋で一人で静かに興奮している場面」をなんとなくイメージしていました。

このバースは、自分の中でもその絵のイメージが凄く強かったので、そのまま「自分が乗ってしまった波の大きさを感じて部屋で一人グラスを傾ける」って描いています。こう書いておくと、みんなでパーティーしてるイメージは聴いてる側も浮かべないでしょうし、より他のラインが伝わりやすくなります。

Jet Life feat.RAq / Jinmenusagiが収録されている『#R2BA / Jinmenusagi』はこちらからダウンロードできます。

また、これも感覚ですが、思い浮かべている情景がビートとシンクロしていると、バースが魅力的になる気がします。思い浮かべている情景を映像としたら、そのBGMにこのインストが流れていたらマッチするなという感じの情景ですね。

3. 誰かにしゃべらせる

「俺は生意気だぜ」と書くところを、「小泉に言わせた、生意気なところがいいぜ」と書くみたいな感じですね。

誰かにしゃべらせると、パッと想像できるので、リリックに凄く味が出るし、言っている内容に説得力が出ます。

これはシンプルだけど物凄くスパイスが効くので、オススメです。

自分では言いにくいラインも誰かに言わせてしまいましょう(笑)。

4. 数字を入れる

「俺はワックラッパーよりもスキルフルだ」って言うところを、「俺はワックなラッパーの200倍スキルフルだ」みたいに言ったりですね。

前者だとワックなラッパーたちのちょっと上にいる感じですが、後者だとずば抜けてる感じがしますよね。

「俺はこれまでも、これからもラッパーだ」みたいなのも「俺は10年ラップしてきた。この先の10年もね。」みたいに書けますよね。

上手に数字を使うと、リリックが尖る気がします。

5. 適当に単語を一つ放り込んでみる

これはどっちかというと、バースが埋まらないときに良くやるのですが、適当に単語をひとつ放り込みます。

たとえば、今、目の前にペットボトルがあるのでペットボトルを放り込んでみます。リリックは適当にセルフボースト系だとします。

そうすると、「俺は振りまくった炭酸飲料のペットボトルみたいに爆発寸前」みたいなリリックが浮かびますよね。

上と同じくJet Lifeの歌詞では、「それで波に乗ってるつもりならピカチューみたいにお遊びなライフ」とかはピカチューを放り込んでます。

これはやりすぎると遊びに終始するバースになってしまいますが、ちょっとだけやるとスパイスになる気がします。

まとめ

ここまで書いていて思ったのですが、いかに映像や絵がイメージできるように書くかっていうのがひとつの鍵な気がします。

これらはあくまでも僕が良い感じだと思っている書き方ですし、内容ありきでの装飾の部分なのですが、もし参考になれば嬉しいです。

また、繰り返しになりますが、内容が本当におもしろいリリックだと思う場合は、変に表現に凝らずにストレートに伝えた方がいいと僕は感じています。

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ざっと書き方を解説してみましたが、それ以前にどんな風に書き始めればいいのか分からないという方は、他のリリックをたくさん読んでみることから始めるのもありだと思います。

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ラッパーの歌詞の書き方

以下の書籍では、有名なラッパーたちがどのように歌詞を書いているかが記されています。

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【参加アーティスト】
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【参加アーティスト】
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『音楽とことば あの人はどうやって歌詞を書いているのか』

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