対抗宗教改革とルーベンスとバロックのはじまり

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『ルーベンス展 – バロックの誕生』を見てきました。

僕は美術史をきちんと体系立って勉強したことがないので、いつも美術館行くたびにパズルのピースが少しづつ埋まっていく感じを楽しんでいます。その点、今回のルーベンス展も大満足でした。

対抗宗教改革とバロックの始まり

さて、ルーベンスは対抗宗教改革の時期の画家です。

近代より前の画家は、主に教会や王侯貴族から発注を受けて、絵画を製作しています。なので、昔の絵画ほど宗教画が多いんですが、対抗宗教改革の時期の宗教画というのは、それまでと違って臨場感があるのが特徴です。

宗教画というものを、めちゃくちゃ乱暴に時期を分けると、以下のようなイメージになります。

(1)ルネサンス以前

これはジョットの描いた「最後の晩餐」

ジョットは後期ゴシックと呼ばれる時代の画家で、ゴシックというのは「ゴート人の」という差別的な呼称です。ルネサンス以降の人が、ゴート人の野蛮な文化と蔑んだわけですね。

絵の印象としては、なんか全体的にツルツルとしてます。

(2)ルネサンス期

ルネサンスというと、ダヴィンチやミケランジェロ、ラファエロが活躍した時代。

上の画像はミケランジェロの「最後の審判」の一部です。

古代ギリシャ、ローマ時代の文化が中東経由で再流入したことで、美術のレベルが一気に跳ね上がり、ルネサンスが花開きました。

絵画に登場する人物の身体も生き生きと人間らしく描かれています

(3)バロック期

これは、カラヴァッジオの描いた「ホロフェルネスの首を斬るユディト」

この時代には宗教改革が巻き起こっており、プロテスタント vs カトリックの争いが繰り広げられていました。そんな中で、カトリック側はみんなの支持をプロテスタントに持っていかれないよう、自分たちの人気を再度確立する必要がありました。

そこで、この時期の宗教絵画は、高尚な雰囲気や構図から離れて、より世俗的でリアル、つまりみんなが身近に感じるようなものへと移行していきます

カラヴァッジオというのは、死ぬほど絵がうまいけれど素行不良だった人物で、町の居酒屋に入り浸っては喧嘩をしたりしていました。ついには人を切り殺して逃亡したこともあるほどです。そんなカラヴァッジオこそが「庶民的な感覚で宗教画を描く」という対抗宗教改革の要請には、もってこいの人物でした。

上のユディトも、めちゃくちゃリアルで世俗的ですよね。殺す瞬間を描かないでしょう、普通

こちらが1500年代に描かれたルーカス・クラナッハによるユディトです。

りりしくて、厳かで、宗教画っぽいですよね。

で、もう一度カラヴァッジオを見てみましょう(笑)

げええええ(爆笑)

さて、こうしてカラヴァッジオの鮮烈な絵画によって、バロック期というものが始まっていくわけですが、そうした影響を受けて活躍し、いよいよバロックへの道筋を開いたのがルーベンスなのです。

ルーベンスの宗教画

ルーベンスはイタリア人ではありませんが、イタリアへの憧れが強く、一時期イタリアに滞在しています。

そこで、古代ローマなどの影響を強く受けて、彫刻を熱心に研究して絵画に活かすなど、とにかくローマの影響を強く受けます。

対抗宗教改革的な文脈でいうと、たとえばルーベンスはキリスト教の聖人たちを「聖人っぽく」描くのではなくて、まるでギリシアやローマ時代の神々や英雄、貴婦人のように描きました。以下は聖アンデレ。

また、カラヴァッジオの影響を受けて、臨場感を持って、庶民的にリアルに描かれたキリストの死。

oh…。

このリアルさ、生々しさ、臨場感こそが、対抗宗教改革の時期における宗教画の醍醐味といえるでしょう。

ということで、興味がある方は、ぜひルーベンス展、行ってみてくださいね。

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