記事の目次
はじめに
地元コミュニティ関連のウェブサイトやサービスに興味がある方へ。
本記事では、以下の内容を書いています。
- 地元コミュニティの情報を投稿するサイトの大手「Craigslist」と「Nextdoor」の事業モデルについて
- その明暗の差が分かれている点と考察
最後までお読みいただけると、地元コミュニティサイトが取るべき事業モデルが分かるようになるので、ぜひお読みください。
written by @raq_reezy
地元コミュニティ情報の投稿サービス2種
インターネットが誕生して以来、地元情報を投稿するサービスというのは、たくさん立ち上がっています。
「インターネットで地元の人たちと繋がれたら」、「地元のコミュニティに関する情報を閲覧できたら」という根本的なニーズは消えることはないでしょうから、これらのサービスが出てくるのは当然です。
その中で、大きく伸びているサービスとしては、以下の2種類があります。
- 「Craigslist」(日本では「ジモティ」)のような「募集広告」を投稿するサイト
- 「Nextdoor」(日本では「マチマチ」)のような地元SNSサイト
それぞれ簡単に説明します。
クラシファイド広告型の「Craigslist」
まず、Craigslist(クレイグスリスト)のようなサービスは「クラシファイド広告サイト」と呼ばれます。
「ソファを売ります!」、「サークルのメンバー募集」、「アルバイト募集!」、「家を貸します!」など、地元の募集情報を誰でも投稿できるサイトで、それを見た人はその投稿者に連絡をすることができるというシンプルな仕組みです。
元々は、地元新聞などの「三行広告」欄がこうした役割を果たしていましたが、インターネットの方が情報が残るし、いつでも見やすいし、多くは無料で投稿できるということで、ずっと利用されてきました。
元々は、クレイグ・ニューマークが地元情報(サンフランシスコのベイエリア)を交換するためのメールリスト(LINEグループのようなもの)を立ち上げて、そこから発展したものです。クレイグが立ち上げたメールリストだから「クレイグスリスト」なわけです。なんと1995年からサービスを行なっている老舗サイトです。
日本ではデザインは結構違うものの「ジモティ」が最も似ているサービスです。
SNS型の「Nextdoor」
一方、NextdoorはいわゆるSNS型のサービスで、2011年にサービスが開始されました。
「どこに泥棒が入った」といった安全情報や、「新しいお店がオープンするらしい」といった口コミ情報など、これまではオフラインの井戸端会議で話されていたようなことをオンラインで行うサービスです。
スマートフォンによって、気軽にインターネットを使えるようになったことで「地元情報に特化したSNSがあっても良いよね」という形で普及していきました。現在では、世界中で毎週4,200万人が利用しています。
明暗が分かれる2種類のサービス
これらのサービスはどちらも巨大なユーザー基盤を誇りますが、その業績はくっきりと明暗が分かれています。
Craigslistは非上場企業であるため詳細な業績情報はありませんが、その売上は$6.6B(約7,000億円)で、従業員数はたったの50人だとされています。従業員一人あたり約140億円の売上を上げていることになり、これで赤字になりようがありませんから、物凄い利益率であることが想定されます。
一方、Nextdoorの売上は$200M(約260億円)程度です。従業員数は700人程度とされており、$138M(約160億円)程度の赤字です。
もちろん、Craigslistの方が老舗であり、Nextdoorの方が新興企業ですから、Nextdoorもいずれ黒字化するという意見もあるかもしれませんが、Nextdoorは直近売上成長率が寝てきていますから、この先どんどん成長するというフェーズではありません。下手をすると黒字化できずに経営破綻する可能性もゼロではありません。
日本でも「ジモティ」は成長、「マチマチ」はサービス終了
日本でも、同様の事象が見られています。
クラシファイド広告サイトの「ジモティ」が小規模ながらも成長を続けているのに対して、SNS型の「マチマチ」は月間200万人ユーザーまで成長しつつも2022年にサービス終了しています。
ユーザーの質が違う「クラシファイド広告型」と「SNS型」
さて、この差がどこから生じるのかといえば、そのサイトに集まるユーザーの差であるといえます。
クラシファイド広告型のサイトというのは、「地元でソファを売っている人はいないかな」、「地元のアルバイト情報がないかな」、「不動産を借りたいな」といったニーズありきでユーザーが探しにきます。これは言うならば「Googleのリスティング広告」みたいなものです。
一方、SNS型のサイトというのは、地元の防犯情報などを見にきているわけですから、基本的には「何かニーズあがって、サービスを訪れている」というわけではありません。これは言うなれば「インスタグラムのストーリーズ広告」のようなものです。
当然ながら、前者に広告を出す方が効率よくコンバージョンします。後者の方がコンバージョンは難しくなります。そうすると、広告主がユーザーの獲得にかけるコストが同一だと仮定すると(実際には刈り取り型広告よりも認知型広告のCPAが高いことを許容する場合が多いかとは思いますが)、仮に同じユーザーを集めていても、前者の方が高い売上が立つことになります。
Googleのリスティング広告というビジネスモデルがPC時代(ユーザーが少ない時代)から巨大なビジネスとなっており、FacebookのようなSNSがスマホ以降に巨大化したビジネスであることを考えても、それぞれで必要なユーザー規模が違うことが分かります。
「地元コミュニティ」というニッチに区切った場合のユーザー数では、前者の場合は黒字化のハードルを超えているものの、後者では超えているか怪しいというのが現状でしょう。
地元コミュニティSNSは高単価なマネタイズ方法が必要
地元コミュニティSNSを成立させようと思うと、単なるディスプレイ型広告という範囲を超えた、高単価なマネタイズ方法が必要となることが考えられます。
例えば、トクバイ(ちらしアプリ)やオウチーノ(不動産情報アプリ)などの地元情報メディアを運営しており、Retrip(旅行情報サイト)なども買収することで、地域情報の総合提供サービスを目指している「くふうカンパニー」は15億の営業利益となっています。
これは店舗向けにSaaSビジネスを展開しているからです。不動産会社や地元のドラッグストアやスーパーなどを相手に、月額数万円で広告(物件広告やチラシ、クーポン)を掲載し放題ですよというものです。
このような高単価なマネタイズが刺さった場合は、SNS型広告が伸びる可能性もないとはいえません。SNSの最大手であるFacebookも、現在はビジネスメッセンジャーを中心に再度成長軌道に乗せようとしており、こうした取り組みは今後増えていくでしょう。
まとめ
最後に、改めて今回の内容をまとめておきます。
- 地元コミュニティ情報の投稿サイトにはクラシファイド広告型とSNS型がある
- クラシファイド広告型はマネタイズ効率がよく、黒字化が成功する傾向がある
- SNS型はマネタイズ効率が悪く、黒字化が難しい傾向がある
- SNS型はディスプレイ広告ではなく、高単価なマネタイズ方法を模索する必要があるだろう
以上です!
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