作庭記とは
『作庭記』とは、平安時代後期に書かれた、日本初の本格的な庭園に関する書物です。
もともとは『前栽秘抄』と呼ばれており、江戸時代中期に塙保己一が編纂した『群書類従』にその内容が収録されたことで、作庭記として広まりました。元々の作者については、平等院鳳凰堂などをつくった藤原頼通の次男で、橘家の養子となった橘俊綱が執筆したものだとされています。
内容としては、平安時代の池泉庭園である「寝殿造系庭園」や「浄土式庭園」の作り方について詳しく説明されており、庭の東には青龍に見立てた遣水を、南には朱雀に見立てた池を、西には白虎に見立てた門を、北には玄武に見立てた山を置くとよいといった風水の知識も記されています。これらは、京都の盆地において、東から鴨川の水を引いたり、南風を池によって涼しくしたり、西日を門によって遮ったりといった住居の合理性も兼ね備えられています。
また、配植や滝石組などについてなども詳しく説明されており、本格的な内容となっています。
なお、枯山水という言葉が登場しますが、これは池泉庭園の中で水のない部分を指す言葉であり、侘び・寂びの影響で登場した室町時代の枯山水庭園とは意味が異なります。
他の作庭書としては、江戸時代に書かれた『築山庭造伝』なども有名です。
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関連参考書籍
本記事を書くにあたり、以下の書籍を参考にしています。日本庭園の種類や歴史、構成要素について、初心者にもわかりやすく解説されています。
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