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part1:「彼女は言葉への愛をくれたんだ」。JAY Zが語る小学6年生時の担任の存在。
part2:「18歳という統計的なファン層をターゲットにしない」。Jay Zが音楽業界で成功し続けてきた理由とは。
part3:「次の日にはリークするかもしれないアルバムを500万ドルで買い戻した」。JAY Zが眠れない日々を過ごしたBLUE PRINT 3の裏話。
part4:「多くの人がそこで過ちを犯してる」。Jay Zが他のアーティストとステージに立つ理由。
ゲットー育ちでは、いともたやすく違う道を辿っていたかもしれない
インタビュワー:
ジェイ、あなたが育った場所では、君が話した友達のように簡単に機会を失ってしまうよね。
Jay Z:
そうだね。俺の育った近所では、成功するなんて以前のレベルなんだ。生き抜くだけでもラッキーなんだよ。俺の友達は13年間も刑務所にいたんだ。もし音楽が正しいタイミングで俺をあそこから連れ出してくれていなかったら、俺の人生はいともたやすく彼と同じ道を辿ったかもしれない。とても簡単にだよ。俺たちは毎日一緒に過ごしていたんだ。
インタビュワー:
友達が捕まったとき、君はロンドンにいたと聴いたけれど、その話を聴かせてもらってもいい?
Jay Z:
もちろん。俺たちは違うことをしてたんだ。ストリートなことをたくさんしてた。ただ俺には音楽を作る才能があったんだ。それでジャズって男がいて、彼はレコード会社と契約してて、ロンドンにレコーデイングに行く機会があったから、俺は一緒に行かせてもらったんだ。その間に友達はパクられちゃったんだ。俺がそのときに捕まらなかった理由は、たまたま音楽をしていたからってだけなんだ。
ビジネスモデルが変わっても、原理は変わらない
インタビュワー:
なるほどね。
次はビジネスモデルについて話そう。先ほども少し触れたけれど、過去に正しいことをしたからといって、音楽ビジネスでは世界の変化に適応できていない部分もある。
ウォーレン、貴方はどんなアドバイスを持っているかな。貴方はワシントンポストやBuffalo Newsでの経験があるよね。IQを30ポイント分だけそれらのビジネスにつぎ込んだら、そのビジネスは成功したわけだ。
バフェット:
投資に関して言えば、あなたが学ぶことは全て役に立ちます。業界やあるビジネスがずっと良い状態であり続けるという訳ではないですが、ビジネスモデルについて考えることを学べば、私が20で学んだことも、25で学んだことも全てが役に立ちます。
ビジネスというのは根底の原理までが劇的に変わってしまうようなものではないのです。たとえば物理学に似ています。物理学で今現在やっていることは50年前は考えもつかなかったようなことでしょう。でも原理をしっていれば、良いビジネスの原理を知っていれば、良いマネジメントの原理を知っていれば、良い製品の原理を知っていれば、それを一つのビジネスで学べば、他のビジネスにも応用することができるのです。
そして、あなたは自分には分からないことが何かを学ぶことができます。何を捨て置くかを知ることは、何にフォーカスするべきかを知ることと同じくらい大切です。私は全てのゲームに勝てるとは思っていません。誰かに「どうすればボビー・フィッシャーに勝てるのか」と質問されれば、私の答えは「チェス以外のゲームで戦うこと」です(笑)。私はボビー・フィッシャーとチェスはしないのです(笑)。私は長い時間をかけて、何が得意で何が得意でないかを把握してきたのです。
Napsterを潰しにかかったのは俺たちの傲慢さが背景にあった
インタビュワー:
ジェイ、君の業界はニュース業界と似ていて、君自身も従来のレコード会社はNapsterに敗北したと言っていたよね。君はそういったことから何を学んで、どうすればこの環境を生き抜けると考えているかを教えてくれるかな。
何十年も正しかったことは、もはや正しくなくなってしまったよね。
Jay Z:
俺はビジネスの中でも大事なことは、変化を認識することだと思ってるんだ。みんなが価値を感じる対象はいつまでも同じじゃないんだ。インターネットっていう、とてつもなく大きなものが出てきただろ。それはあらゆる地形を変えてしまうものなんだ。
音楽の消費という面では凄く盛り上がってるかもしれないけれど、音楽業界の業績は下がってる。何かが行われなければいけないってことは分かるはずだ。
ヒット曲が全ての問題を解決してくれた時代もあった。ヒット曲さえあれば、何が起こっても関係ないって時代さ。でも、ヒット曲さえ出れば関係者全員の問題が解決されるってのは、今日ではもう真実ではないんだ。でもそういうメンタリティを長い間持っていたせいで、音楽ビジネスは未だにそこから抜け出せないんだ。
インタビュワー:
Napsterについてはどうかな。彼らはNapsterに関して大きな過ちを犯したと思う?
Jay Z:
Napsterが出てきて、ファイルがシェアされるようになって、その時点ではまだ抱き込んでコントロール出来たかもしれなかった。でも俺たち音楽業界がNapsterを潰しにかかったのは、俺たちの傲慢さが背景にあったんだ。今では何百万という数のNapsterの類似サービスが出てきてしまっただろ。 もうコントロールするなんて不可能だよ。
俺がビジネスで大事だと思うのは、変化に対して心を開くことだ。自分や自分の役割を無理に変える必要はないけれど、地形が変われば、俺たちがビジネスをする方法も変わるのが当然だ。俺たちは自分がどういう人間かを変える必要はないけど、どう立ち回るかは変えなきゃいけない。
さっきも言ったように音楽の消費自体は、これまでのどの時代よりも盛んに行われているんだ。
インタビュワー:
君が自分の音楽でやったことは、自分が歳を重ねるのと合わせて聴衆を引っ張り続けたということだったけれど、音楽のビジネスモデルを崩壊させてしまったものとはどう向き合っているの?
先ほどもレコード会社にいるときに、いくつかのことをしなきゃいけないと気付いたという話をしていたけれど、君はどうやって音楽ビジネスを作り直しているの?
Jay Z:
一つとしてはアーティストとじっくりと時間をとって向きあっているんだ。アーティストの育成を時間をかけてやってる。二つ目としては、より多くの種類のビジネスに関わるようにしてるんだ。たとえば昔はツアーを回るってのはあまりされていなかったんだ。今は360°のツアーが企画されたりしてる。
あまりレコード会社のバッシングみたいなことはしたくないんだけど(笑)。でも360°のツアーモデルひとつとってもレコード会社はやってこなかったことなんだ。レコード会社はツアーのやり方はしらないから、ツアーに関してはレコード会社と契約しても仕方がないことなんだ。俺たちは最大のコンサート・プロモーターと仕事をしてる。出版もやってるし、とにかく音楽に関わるたくさんの側面で仕事をしているんだ。俺たちは色んな方面で上達しつつある。成功するために色んな道を切り開いてるんだ。服、映画、出版、ほんとに色々やってるよ。
バフェット:
私はジェイとは競合になりたくありませんね(笑)。まだ金融には興味がないというなら助かった(笑)。
Jay Zが他のアーティストとステージに立つ理由
インタビュワー:
ツアーに関していえば、あなたは太っ腹で、例えばエミネムとかと売上をシェアすることを気にしないよね。
Jay Z:
そうだね、一つの理由としては俺自身にとっても楽しいことだからね。
二つ目の理由としては、俺にとって1+1=3なんだ。俺は売上をもらう唯一の人間じゃなきゃいけないとか、ステージで注目を浴びる唯一の人間じゃなきゃいけないなんてエゴはないんだ。俺は他のアーティストと一緒にステージに立つのが楽しいんだよ。キャリアを通して、そうやってきたんだ。
エミネムの前は、R.Kellyや50cent、DMXなんかともステージに立ってきた。俺はライブに来てくれる人に少しでも良いパッケージを届ければ、コンサートが終わった後でまた来たくなるはずだと信じてるんだ。
ライブに1回来てもらうってのは難しいことじゃない。でもそのライブが素晴らしくて、たくさん詰まったものでなければ、2回目に来てもらえるわけがないんだ。俺は多くの人がそこで過ちを犯してると思う。あるアーティストが売れててホットな瞬間だと、そのアーティストだけを全面に押し出しちゃうんだ。つまり、その名声や瞬間を切り売りしてしまうんだ。キラキラしたものだよ。キラキラしたものを愛してしまうんだ。ヒットしてるその瞬間を売るだけだから、ファンがコンサートに来ても欲してる体験が得られないんだ。
俺たちは期待を超える体験を提供してるんだ。エミネムだけじゃなくてエミネムとJay Zを見ることができる。人生で一度しか体験できないような経験を、毎回してもらうんだ。俺はそういった体験を創り出そうとしてるだけなんだ。
インタビュワー:
ウォーレン、君はジェイと競合にはなりたくないと言っていたけど、
Jay Z:
彼のはスーパー・ドゥーパー・冗談だよ(笑)
インタビュワー:
ははは(笑)。でも、ウォーレン、君はジェイにどんなアドバイスがある?
ジェイは寿命の短い世界でこれだけ長く成功し続けてるけれど、ビジネスにはもう競合が敵いっこないレベルがあるっていうよね。そのレベルに達するためにはジェイはどうすればいい?
バフェット:
彼はもうその域に達していますよ。だからずっと成功し続けてるわけです。彼には才能があります。才能は一番の強みです。インフレも税金も、才能を奪うことはできません。
私が学生に話すとき、こういう話をします。あなたは100万ドルの価値があります。私はあなたの残りの人生の総収入の10%を貰う為なら、MBAにいくための10万ドルを払います。これはつまり、あなたには100万ドルの資産価値があるということです。
さて、あなたがこれ以上に自分の資産価値を上げるためには、コミュニケーションが上手になる必要があります。言語力や執筆力です。そうすればあなたは自分の資産価値を50%引き上げることができるのです。自分を磨くことで50万ドル分の価値を得ることができるのです。誰もそれを奪うことはできません。
私は高校生や大学生に習慣を作りなさいと教えます。あなたたちは十分な頭の良さとエネルギーを持っているのです。あとは成功するための習慣を作りなさいと。あなたが尊敬する人を見て、どのような点を尊敬しているかをリストにしてみなさい。同じくらいの力、賢さ、才能を持っている人と比べてみて、何故その人を尊敬しているかを書き出してみるのです。それらはあなたにも出来ることです。
親切な人や、ユーモラスな人や、成果を人にあげる人は好かれやすいです。とげとげしてる人や、信頼できない人はあまり好かれません。あとは、あなたが決めることなのです。だから私はみんなに自分のモーターを持ちなさいと勧めるのです。
インタビュワー:
ジェイ、あなたはウォーレンに対して何かアドバイスはある?
Jay Z:
俺がこれだけ凄い男にアドバイスできることなんて一つもないよ(笑)。素晴らしい賢人だからね。
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