・このインタビューの元動画はこちら
・part1:「ドラッグ、お酒と一緒に消費される音楽よりも、人に影響を与えてしまう芸術作品を作る」。カニエが語る『YEEZUS』で目指したものとは。
・part2:「黒人が音楽スターとして活躍することを可能にしたのはマイケル・ジャクソンだった」。マイケルよりも上に手が届いたときに、カニエが感じたクリエイターとしての壁。
・part3:「自分を何様だと思ってるかって?さっき言っただろ、神様だよ!」。お前は何でも出来る、と言われて育てられたカニエの成功観。
未来指向な人間としてのカニエ・ウェスト
「インターネットが俺たちの上空、インターネットこそが未来」
Kanye:
物事は動いてる。
全ての音楽業界は氷河に直撃されたんだよ。
Sean Parker(*ファイル共有サービス「Napster」の創始者。)がその氷河を物凄い勢いで切り開こうとして、Steveでさえも「おいおいそんなに無料で音楽をばらまいちゃ音楽自体がなくなってしまうよ」って言った程だろ。
でも、そこからも明らかなように物事は現在進行形で変化していくんだ。
皆はこのインタビューを見て、「Kanyeは何が言いたいのか分からない」「俺はKanyeの言っている事が嫌いだ」なんて言うだろう。
「頭がおかしいし、あいつの歯が嫌いだ(金の入れ物をしているから)」なんてね。
「なんであいつは音楽に集中しないんだろう、彼の音楽は好きなのに」、
「昔のKanyeは好きだった」、とかなんとか言うんだよ、どうせね。
でも、そいつらが5年後、10年後にこのインタビューを見直したときに、「あいつはこれも言い当ててたぞ」、「これもだ、これもだ」、「これもいずれ起ると、変わると予測してた」って言うことになるんだ。
Zane:
君は未来指向だね。
Kanye:
俺は歩んできたキャリアで言えば、よくてポストモダニストだろうね。
でも、精神的には未来派なんだ。
Zane:
君が「これが未来だ」と言っているインターネットの事だけど、フューチャリストとしてはインターネットは全ての中のほんの一部でしかないわけだよね。
でも全ての動き方を変えるよね、音楽への配慮も必要だとおもうけど。
Kanye:
いや、インターネットの占める位置は大きいよ!
地球レベルだ。SF映画なんかを見ると全てが上空にあるだろ。
Zane:
うん、そうだね
Kanye:
それがインターネットじゃないか!
インターネットが俺たちの上空なんだよ!
インターネットこそが未来だよ!
俺たちはなんとなく将来は車が空を飛んでる時代を想像してて、まぁ車は空を飛ばなかったけど、でも映画を2秒で送れたりするだろ!
Zane:
うん納得。
お前がKanye Westのファンなら、お前は俺のファンなんじゃない。お前は自分自身のファンなんだ。
Zane:
じゃあ、君はインターネットが開発段階で、本当の可能性をまだ発揮していないと言っている訳だけど、今後それをふまえてポイントに成ってくる事はなんだと感じてる?
君の予測する事を聞きたいな
Kanye:
うん。。。
Zane:
せっかくだから、、、
Kanye:
このレコード(『YEEZUS』というアルバム)はそういう未来に向けての暗号みたいなものさ。
俺の音楽をまぁ聞いてみろよ。自尊心という暗号だよ。
自分が誰かって言う事を知る為の暗号さ。
もし、お前がKanye Westのファンなら、お前は俺のファンなんじゃない。お前は自分自身のファンなんだ。
俺はエスプレッソみたいなもんさ。
朝にショットで決めて、今日一日、自分の目標にしてる事や、頑張っていることが達成出来ると自分を信じさせる為のエスプレッソのようなものなんだ。
Zane:
ちょっと、その事について聞いてもいい?
君は自分自身をいたわったりする時間を持ってる?
自分の為だけの時間とかつくる?
なんていうか、君は自分がどういう人物かって事に自尊心もあるけど、それ以上に、より大きな事に、君の回りで動いている全ての事にとても多くの時間と労力を費やしているように見えるよ。
Kanye:
家族との時間は癒しだよ。
Kim(Kim Kardashian)が与えてくれた全てのものさ。
家族やサポートシムテムなんかだね。
彼女はとても大変な現実の中で、お金の事など考えず俺を愛してくれるんだ。
俺のような人間にはそういう人を見つけるのは難しい。
Zane:
うん、じゃあ結婚して家族を持って、そこから新たに君が学んだ事って何かある?
Kanye:
うーん、ちょっと今思いつかない、いい答えを出せるまでちょっと考える時間が要る。
Zane:
いいよ。
Kanye:
俺には色んな方面のあらゆる事に対して意見とか説明が出来るけれど、そういうプライベートな質問となると2・3日考える必要があるな。
Zane:
大丈夫気にしないで。
アウトプットの引き出しがたくさんあれば、一つ一つで我侭にならなくて済む
Kanye:
引き出しがいくつかあれば、ちょっと落ち着いて、その一つ一つに根詰めなくてもよくなるだろ。
例えば、Coachellaでパフォーマンスした時の事さ。
俺のステージには30人のダンサーがいた。パフォーマンスアーティスト、それから俺の乗るリフト、後ろにはローマの壁みたいなのがあって、俺はCelineのシャツを着ていたんだ。
でも、Watch The Throneのときは、Jay Zはいつも「ダンサーは要らない」って言っていたから、コーチェラでのライブみたいなセットは無理だって言ったんだ。
だから俺は「それで、いいよ」って言った。
おれはパリでファッションショーもやってたし、芸術的で豪華で派手なのはパリの方でやるから良いよって気分だったんだ。
Wath the Throneのライブセットで出来なくても、30人の女の子がステージに居てっていうのはファッションショーの方で出来るからね。
Zane:
でも、女の子が30人ってのはWatch The Throneに向いてるパフォーマンスでも無いってのも分かってたんでしょ。
Throneのライブでは、そういうパフォーマンスが必ずしも必要ではないと。
Kanye:
うーん、要するに俺がどういう風にしたいのかってことなんだ。
これは俺の世界なんだから。
Zane:
でも、あの時はJay Zとのコラボレーションだったよね。
君だけのヴィジョンとか作品ではなかったよね。
Kanye:
そうなんだよ。
だから、俺の世界をそこに持ち込むことは出来ないでしょ。
でも、俺はやっぱり自分の世界を表現したくて仕方ないという事実はあるわけだから、それはファッションショーの方で表現できる(=引き出しがいくつもある)っていうのは素晴らしいよね。
みんなは俺が今、苛ついているんだとか、俺がどうだこうだって好き勝手言うけれど、おれは打開策を見つけようとしてるんだよ!
俺が必要なのは、服を作るためのジョイントベンチャーなんだ。
Stella McCartneyとか、他の色んな人たちがジョイントベンチャーで自己表現をしてるみたいに、俺も自分のブランドでコラボレーションして作品を世に出したいんだよ。そういう引き出しが欲しいんだ。
そうすれば、Watch The Throneをやったときみたいに、あるいは”Blood on the Leaves”とか”Bound”をやったときみたいなハッピーなバイブスが皆好きだろ。音楽では、そういうのを届けられるようになると思うんだ。
Jay Zは俺よりも現実世界で欲しいものを手に入れているから、そうしたハッピーなバイブスのものが作れるんだ。現実世界で欲しいものを手に入れているっていうのは、Jayの夢とか希望とかやりたい事ってのが俺と比べたら、たくさん現実に成ってるってことだよ。
だから、俺もJayの年齢に成る頃にはJayと同じレベルに行きたいと死ぬほど思ってる。
世界に与えさせてくれないことに対する苛立ち
今回のYeezusの制作だってRick Rubin無しではなし得なかったんだ。
俺はあの禅マスターに来てもらって、よし、こうしようって言ってもらわなければ作れなかったんだ。
いいかい、俺は凄く苛ついてるんだよ。
俺にはやりたい事が凄く沢山ある。世の中に与えたいものがたくさんあるんだ。
カラーリングのアイデアもあるし、シルエットのアイデアもある。
でも、何万人もの人が「俺が何でそれをするべきでないか」について語ってくるんだ。
「お前は本物のデザイナーじゃないから出来ないだろ」って。
そうさ!
俺は本物のラッパーでもないさ!本物のミュージシャンでもない!ピアノも弾けない!
俺はアーティストで美大にも行ったけど、そこでも俺はヤワイ奴だと見下された。
俺がイタリア製の服とかが好きだからさ。
分かるか?
俺はピタピタのパンツをはきながらカメラに向かって悪態をつく(バースを蹴る)だろ、それと同じだ。
俺がファッションショーに行ってショーを見るだろ、それは俺がPhoebe Philoに感謝しているからだよ。
Raf SimonやRiccardo Tisciに感謝しているからだ。
俺は奴らを、世界を良くする為の作品を生涯をかけて作るクリエイターの仲間だと思ってる。
生涯をかけて何かを作ろうとしているアーティストを知り合いに持っている全ての奴らに言いたい、そういうアーティストに対してお前らが言うべき事はひとつしかない。
「ありがとう」だ。
「なんでそんなものを作るんだ!」とか「これはなんだ!」とか「どういう・・・」とか、違う!
俺らは生涯をかけて、俺らの時代の文化の為に成るような作品を作ってるんだ!
そういう人に対して言える事はたった1語だ、「ありがとう」さ。
「音楽なら2億円で製作して、庶民的な価格で販売できる。服は現状、そうはいかない」。カニエ・ウェストが語る、服業界の抱える問題。
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