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記事の目次
はじめに
ブロックチェーンとは何か知りたい方へ。
本記事では、Web3の構成要素であるブロックチェーンについて、わかりやすく解説しています。
この記事の内容
- ブロックチェーンとは
データを分散型で管理する仕組み。複数のコンピューターがデータを保存・更新し、常に差異がないかを相互に確認・修正し続ける。 - ブロックチェーンのメリット
誰か1人を信用してデータ管理を任せる必要がないので、改ざんや紛失に耐性があり、ネットワークも堅牢。データが個別企業のデータベース等に分断されていないため可用性も高い。 - ブロックチェーンのデメリット
複数のコンピューターが常にデータを保存・更新しつつ、差異を照らし合わせるため、無駄な処理が多く、データの更新に時間やコストがかかりやすい。また、データがオープンなためプライバシーが確保されづらい。 - ブロックチェーンの活用
改ざん・紛失から守りたいデータ(暗号通貨の残高など)の保存に適している。また、ブロックチェーンに参加しているコンピューターのリソースを使ってプログラム(スマートコントラクト)を動かすことができる。 - Web3向けブロックチェーンの種類
イーサリアム、BNBチェーン、ソラナ、ポリゴンなどが有名。他にも、アバランチやカルダノも存在している。
written by @raq_reezy
ブロックチェーンとは:仕組みをわかりやすく解説
ブロックチェーンとは、データを「分散的に管理」する仕組みです。
具体的な例で説明します。例えば、以下のようなケースのデータ管理を考えてみましょう。
ケース:太郎くんと花子さんのデータ管理
- 1日1回、太郎くんと花子さんはジャンケンをする
- 太郎くんはジャンケンに2回勝った
- 花子さんはジャンケンに4回勝った
- 先に5回勝つと、先生から100円がもらえる
この場合、大きく2種類のデータ管理方法が考えられます。
- 中央集権的な管理
先生がノートにデータ(太郎くんと花子さんの勝った回数)を記録しておく管理方法。この場合、太郎くんと花子さんは先生を信用して、データの管理を任せていることになります。 - 分散型の管理
太郎くん、花子さん、先生の3人ともが、それぞれノートにデータを記録しておいて、毎日それをみんなで確認して差異がないことを確認する管理方法。もしも差異があった場合は、差異がある1人のデータを無効として、残りの一致している2人のデータを正しいものとする。この場合、誰かを信用してデータ管理を任せる必要はありません。
ブロックチェーンは、上でいう2つめの「分散型の管理」の仕組みを取り入れています。
ブロックチェーンに参加しているコンピューター(=ノード)それぞれがデータを管理していて、その間に差異がないことを定期的に確認することで、安全にデータを保管・更新しています。
それぞれの記録しているデータに差異がないことをどのようなルール(頻度や確認方法、差異があった場合に何を正しいとするか等)で確認するかを専門用語で「コンセンサス・アルゴリズム」と呼びます。
ブロックチェーンの特徴:メリットとデメリット
ブロックチェーンのメリット
(1)誰かを信用してデータ管理を任せる必要がない
ブロックチェーンの最大のメリットは、誰かを信用してデータの管理を任せる必要がないという点です。
「信用できる人に任せれば問題ないのでは?」という意見もあるかと思いますが、利用していたサービスが終了することでデータが消えてしまうこともあるでしょう。日本政府という国家機関でさえも、2007年に明らかになった年金記録問題など、適切にデータを管理できていなかったケースもあります。
さらに、納めたはずと主張する国民年金保険料の納付記録が、社会保険庁のデータ(年金記録)や自治体の台帳に記録および記載されておらず、保険料の領収書を残していなかったことで客観的な納付証明ができず納付と認められないケースや、給料から天引きされていたはずの厚生年金保険料の納付記録(被保険者記録)が、社会保険庁のデータにないことが判明したケースがあった。これが、いわゆる「消えた年金記録」である。
wikipediaより
ビットコインやイーサリアムといった、データ管理に参加しているコンピューター(=ノード)の多いブロックチェーンは、過去にそのデータ自体が改ざんされたり紛失したことは一度もありません。
個々のユーザーが、秘密鍵(パスワードのようなもの)を流出してしまった結果、その人の保有している仮想通貨を盗まれたというようなことはあっても、根本のデータ自体が改ざん・紛失したことは一度もなく、データ管理手段としてのブロックチェーンの安全性が確認されています。
また、いくつかのコンピューターがダウンしていても、他のコンピューターが稼働していればデータを確認・更新等できるため、ネットワークが堅牢でダウンしにくいというメリットもあります。
(2)データがオープンで汎用性が高い
ブロックチェーン上のデータはオープンで汎用性が高いというメリットもあります。
例えば、各銀行の貯金残高のデータを考えてみましょう。三井住友銀行にある貯金残高のデータは、三井住友銀行のシステムを通じてのみアクセスすることができます。りそな銀行にある貯金残高のデータは、りそな銀行のシステムを通じてのみアクセスすることができます。そのため、ユーザーは三井住友銀行のサイトを見に行ったり、りそな銀行のサイトを見に行ったりしなければなりません。
しかし、例えば、イーサリアム上のトークンであれば、各ウォレットの残高はブロックチェーン上にオープンに存在しているため、いつでも横断的に簡単に閲覧することができます。
求人情報を掲載するケースを考えてみても、従来のインターネットであれば、リクナビやDODA、Wantedlyなど、各求人サイトの社内データベースに個別に求人情報が保存されており、それぞれには各サイトからしかアクセスできなかったり、情報の修正時には個別にそれぞれ修正する必要がありました。
ブロックチェーンであれば、みんながデータ管理に参加しているブロックチェーン上にデータを保存できるので、こうした不便も解消されます。結果、各種データが個別企業のサーバーに分断されていない、オープンなP2Pのインターネット体験(Web3)が実現されます。
ブロックチェーンのデメリット
(1)分散型でデータを管理するため処理に無駄が多い
分散型のデータ管理は、誰かを信用してデータ管理を任せなくてよい分、多くのコンピューターが常にデータを保存して、お互いに差異がないかを確認しあう必要があります。そのため、処理に無駄が多くなるというデメリットがあります。
こうした処理の無駄によって、データが更新されるまでに時間が掛かる、データの更新時にユーザーが支払う手数料が高騰するなど、スケーラビリティの問題が生じることがあります。実際、多くのブロックチェーンは、秒単位でデータを更新していく必要があるアプリケーションには不向きです。
(2)プライバシーが確保されづらい
また、データを多くのコンピューターがみんなで保存・管理するため、プライバシーが確保されづらいという問題もあります。
例えば、ブロックチェーン上で誰(どのウォレット)がどれだけトークンを保有しているかといった情報はすべてオープンです。匿名空間ではあるものの、銀行残高が常に公開されているような状態であり、抵抗を感じる人もいるでしょう。住所や電話番号といったプライベートな情報を保存するのにも不向きだといえます。
ブロックチェーンの活用
データベースとしての活用
ブロックチェーンの基本的な活用方法は、データベースとしての活用です。
特に、改ざん耐性などが高いことから、金銭的価値を持つ資産(暗号資産等)の残高などを管理するのに最適です。
他にも、改ざん・紛失すると困るようなデータ、もしくはデータベースがオープンな方が効率がよいデータ等も、ブロックチェーンでの管理に適しています。
スマートコントラクトの活用
最初に誕生したブロックチェーンである「ビットコイン」のブロックチェーンは、ビットコインという暗号通貨の残高データの管理・更新に特化したものでした。
しかし、その後に登場した「イーサリアム」などのブロックチェーンの中には、そのブロックチェーンに参加しているコンピューターのリソースを活用してプログラムを動かす機能がついているものが多くあります。こうしたプログラムを「スマートコントラクト」と呼びます。
スマートコントラクトを活用することで、例えば「500トークンを支払うと、ランダムなデジタルアイテムがプレゼントされる機能」など、ブロックチェーン上で出来ることが増えます。
データはブロックチェーンに保存し、様々な機能をスマートコントラクトで実装することで、企業のサーバー等を介さない、P2PのオープンなインターネットであるWeb3が実現されています。
Web3向けブロックチェーンの種類
Ethereum(イーサリアム)
概要
Ethereum(イーサリアム)は、スマートコントラクトを動かせるパブリックチェーンの中で最大のブロックチェーンです。
- Ethereum(イーサリアム)とは
基本情報
ティッカー | ETH |
発行上限 | なし |
合意方式 | Proof of Work |
公式サイト | https://ethereum.org/ |
BNB Chain(BNBチェーン)
概要
BNB Chain(BNBチェーン)は、世界最大の取引所であるBinanceが運用しているブロックチェーンです。
- BNB Chain(BNBチェーン)とは
基本情報
ティッカー | BNB |
発行上限 | なし |
合意方式 | Byzantine Fault Tolerance |
公式サイト | https://www.bnbchain.org/ |
Solana(ソラナ)
概要
Solana(ソラナ)は、決済ブランドのVISA並みのスピードで取引を高速に実行できることを売りにしているブロックチェーンです。
- Solana(ソラナ)とは
基本情報
ティッカー | SOL |
発行上限 | 約3億枚 |
合意方式 | Proof of History |
公式サイト | https://solana.com/ |
Polygon(ポリゴン)
概要
Polygon(ポリゴン)は、イーサリアムのスケーラビリティ問題を解消するために登場したサイドチェーンです。
- Polygon(ポリゴン)とは
基本情報
ティッカー | MATIC |
発行上限 | 1兆枚 |
合意方式 | Proof of Stake |
公式サイト | https://polygon.technology/ |
Avalanche(アバランチ)
概要
Avalanche(アバランチ)は、コーネル大学発、秒間4,500件のトランザクションを処理できる高速かつ安価なブロックチェーンです。
- Avalanche(アバランチ)とは
基本情報
ティッカー | AVAX |
発行上限 | なし |
合意方式 | Avalanche Consensus |
公式サイト | https://www.avax.network/ |
Cardano(カルダノ)
概要
Cardano(カルダノ)は、スマートコントラクトを動かせるProof of Stakeのブロックチェーンの一種です。
- Cardano(カルダノ)とは
基本情報
ティッカー | ADA |
発行上限 | なし |
合意方式 | Proof of Stake |
公式サイト | https://cardano.org/ |
まとめ
本記事では、以下の内容を解説しました。
- ブロックチェーンとは
データを分散型で管理する仕組み。複数のコンピューターがデータを保存・更新し、常に差異がないかを確認・修正し続ける。 - ブロックチェーンのメリット
誰か1人を信用してデータ管理を任せる必要がないので、改ざんや紛失に耐性があり、ネットワークも堅牢。データが個別企業のデータベース等に分断されていないため可用性も高い。 - ブロックチェーンのデメリット
複数のコンピューターが常にデータを保存・更新しつつ、差異を照らし合わせるため、無駄な処理が多く、データの更新に時間やコストがかかりやすい。また、データがオープンなためプライバシーが確保されづらい。 - ブロックチェーンの活用
改ざん・紛失から守りたいデータ(暗号通貨の残高など)の保存に適している。また、ブロックチェーンに参加しているコンピューターのリソースを使ってプログラム(スマートコントラクト)を動かすことができる。 - ブロックチェーンの種類
イーサリアム、BNBチェーン、ソラナ、ポリゴンなどが有名。他にも、アバランチやカルダノも存在している。
以上になります。
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- Web3の構成要素:スマートコントラクトとは?わかりやすく解説
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