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はじめに
Web3ブロックチェーン上に発行されるトークンに興味がある方へ。
この記事では、以下の内容を詳しく解説しています。
本記事の内容
- トークンとは
ブロックチェーン上に発行され、残高が管理されている資産。 - トークンの種類
ブロックチェーンにそもそも存在するネイティブトークン、スマートコントラクトによってブロックチェーン上に発行されるERC20トークンやERC721トークン(NFT)がある。また、ERC20トークンには、決済に用いるユーティリティトークン、投票等に用いるガバナンストークン、収益分配に期待するセキュリティトークンがある。 - トークンエコノミーとは
特定のトークンのやりとりで成り立っている経済圏。そのトークンの価値に関わる設計をトークンエコノミクスといい、トークンエコノミクスが上手に設計されているトークンエコノミーに参加することが大切。
トークンとは:意味や仕組みをわかりやすく解説
トークンとは:ブロックチェーン上で残高が管理される資産
トークンとは、ブロックチェーン上で残高が管理される資産を指します。
発行されたトークンは、誰(どのウォレット)がいくら持っているかという残高データがブロックチェーンに記録されていいます。また、各ユーザー(ウォレットの保有者)は、自分が保有しているトークンを他人に送信することができます。
トークンの仕組み:スマートコントラクトで管理
こうした残高データや送信機能(残高データを更新する機能)は、その多くが以下のようなスマートコントラクトによって記述されています。
トークンのスマートコントラクトのイメージ
- 残高データ(mapping)
- Aさん:50枚
- Bさん:100枚
- Cさん:70枚
- …
- 機能(function)
- 送信機能(入力:送信元、送信先、金額)
依頼者=送信元のときのみ実行され、送信元の残高を金額分減らし、送信先の残高を金額分増やす。
- 送信機能(入力:送信元、送信先、金額)
- 利用イメージ
- Aさんが送信機能実行を依頼(入力:送信元=A、送信先=B、金額=10枚)
依頼者Aさん=送信元Aさんで、Aさんは10枚以上のトークンを保有しているので送信機能が実行される。残高データはAさんが40枚、Bさんが110枚に更新される。
- Aさんが送信機能実行を依頼(入力:送信元=A、送信先=B、金額=10枚)
従来の電子マネー等はそれを発行している会社のサーバー上に残高データや送信機能がありましたが、トークンはそれがブロックチェーン上にあることが最大の違いです。ブロックチェーン上に発行されているので、発行会社によるデータの紛失・破損や倒産によって残高データが失われることがありません。
トークンの種類
ネイティブトークン
ネイティブトークンとは、そのブロックチェーン上に最初から存在するトークンを指します。
例えば、ビットコインのブロックチェーン上にはビットコイン($BTC)が存在しますし、イーサリアムのブロックチェーン上にはイーサ($ETH)が存在します。
ネイティブトークンは、主にそのブロックチェーン上におけるトランザクション手数料の支払いに用いられます。
例えば、イーサリアム上で送金やスマートコントラクトの実行をしたい場合、イーサリアムのブロックチェーンを維持・更新しているコンピューターノードに対して、送金やスマートコントラクトの実行といったトランザクションを行うように依頼します。このとき、コンピューターノードに対して支払う手数料(イーサリアムなら「ガス代」)がトランザクション手数料です。
ERC20トークン(仮想通貨・暗号通貨)
ERC20トークンは、スマートコントラクトによって生み出される仮想通貨・暗号通貨のうち、ERC20という規格に沿った機能を備えているものを指します。
例えば、僕が「RAQ MONSTERS」というゲームを作り、そのゲーム内通貨として$RAQというトークンをイーサリアム上にスマートコントラクトで作ったとします。その場合、この$RAQがERC20の規格に沿っていれば、ERC20トークンだということになります。
ERC20トークンが備えているべき機能
- totalSupply()
発行総量を確認できる機能 - balanceOf()
特定のアドレスの残高を確認できる機能 - transfer(address recipient, uint256 amount)
トークンの保有者が、送信先アドレスを指定してトークンを送信できる機能 - approve(address spender, uint256 amount)
トークンの保有者が、特定のアドレスに対して、指定量のトークン受け取りを許可する機能 - transferFrom(address sender, address recipient, uint256 amount)
「approve」機能で受け取りを許可された人が、実際にトークン保有者から指定量のトークン送信を受ける機能
仮想通貨・暗号通貨の多くは、ERC20トークンであり、イーサリアムなどのブロックチェーン上にスマートコントラクトで発行されています。
トークンには何の用途もないものもありますが、それでは価値がつかないので、主に以下の3種類のいずれか、あるいは複数の用途・機能が実装されていることが多いです。
ERC20トークンの用途・機能
- ユーティリティトークン
特定の決済に用いることができる - ガバナンストークン
特定事項の決定に関する投票に参加できる - セキュリティトークン
収益分配を受けることができる
それぞれ詳しく説明します。
(1)ユーティリティトークン
ユーティリティトークンとは、特定の決済に用いることができるトークンを指します。
ユーティリティトークンの例
$RAQは「RAQ Monsters」のゲーム内通貨で、ゲーム内でアイテムやモンスターの売買に使うことができるとします。このようなトークンはユーティリティトークンといいます。
(2)ガバナンストークン
ガバナンストークンとは、特定事項の決定に対して投票できる権利をあらわすトークンを指します。
ガバナンストークンの例
「RAQ MONSTERS」というゲーム内において、各プレイヤーがモンスターをお互いに売買したときには消費税が課税され、その税率は$RAQの保有者の投票によって決定されるとします。こうしたトークンはガバナンストークンといいます。
(3)セキュリティトークン
セキュリティトークンとは、証券性のある(収益分配を受けることができる)トークンを指します。
セキュリティトークンの例
先ほどのガバナンストークンの例のように「RAQ Monsters」には消費税あり、その消費税として集まった収益は$RAQの保有者に再分配されるとします。このとき、$RAQは将来分配を受ける権利であり、証券性があります。こうしたトークンはセキュリティトークンといいます。
ERC721(NFT)
ERC721トークンは、スマートコントラクトによって生み出される仮想通貨・暗号通貨のうち、ERC721という規格に沿った機能を備えているものを指します。
別名NFT(Non Fungible Token)と呼ばれます。
ERC721トークン(NFT)は、ERC20トークンのように数量・残高を示すものではなく、唯一性のあるものとそのオーナーの情報を持つトークンです。そのため、ERC721トークン(NFT)はデジタルアートやゲーム内のアイテムやモンスターなどをトークン化するのに便利です。
ERC721トークンが備えているべき機能
- ownerOf(uint256 tokenId)
特定のトークンの所有者のアドレスを確認できる機能 - balanceOf(address owner)
特定のアドレスのトークン数を確認できる機能 - approve(address spender, uint256 amount)
トークンの保有者が、特定のアドレスに対して、指定量のトークン受け取りを許可する機能 - transferFrom(address from, address to, uint256 tokenId)
トークンの保有者あるいは「approve」機能でトークンの受け取りを許可された人が、送信先アドレスを指定して、トークン保有者から指定量のトークン送信を受ける機能
ERC721トークンは、唯一性を表すため、ユーティリティトークンのように決済用途で用いられることはありませんが、ガバナンストークンやセキュリティトークンのように、投票や収益分配の機能が実装されている場合もあります。
トークンエコノミーとは
トークンエコノミーとは
トークンエコノミーとは、上で説明したようなトークンを用いた経済を指します。
例えば、「楽天経済圏」というと楽天ポイントがもらえる・使えるサービスによって構成された経済を指します。これと同じように、特定のトークンがもらえる・使えるサービス等によって構成された経済をトークンエコノミーと呼びます。
トークンエコノミーをさらに具体的にイメージできるよう、具体例を紹介します。
具体例:Play2Earn(プレイ・トゥ・アーン)
トークンエコノミーとして、最も分かりやすいものは「Play2Earn」(遊んで稼ぐ)のゲームです。Play2Earnと呼ばれるようなゲームでは、そのゲームを遊ぶことでトークン(ERC20トークンやNFT)がもらえます。
例えば、STEPNというゲームでは、スニーカーNFTを保有している状態で歩くことでGSTというトークンがもらえます。
GSTを使って、さらにレア度の高いスニーカーNFTを購入することもできますし、スニーカーNFTを買うためにGSTトークンを欲している人に対して、GSTトークンを売ったり、(手伝ってくれたらトークンをあげるなど)対価としてサービスを受けることもできます。
このように、Play2Earnのゲームの周辺には、特定のトークンによって成り立つ経済圏が成立していると言えるでしょう。
トークンエコノミクス
「トークンエコノミクス」(もしくは「トークノミクス」)は、「トークンエコノミー」とよく似た単語ですが、意味は少し違います。
トークンエコノミクスとは、そのトークンの価値に関わる設計を指します。
例えば「あるトークンXを持っていると、毎日同量のトークンXがもらえる」という設計のトークンがあったとします。この場合、どんどんトークンXの総量が増えていくので、その希少価値が失われて、あっという間にトークンXの価格は暴落してしまうでしょう。言い換えると、「トークンXはトークンエコノミクスが良くない」といえます。
このように、トークンエコノミクスが良くない場合、そのトークンで成り立つ経済圏(トークンエコノミー)に参加しても、あまり得することは少ないでしょう。自分がどのトークンエコノミーに参加するかを考えるにあたっては、そのトークンのトークンエコノミクスにも注意する必要があります。
まとめ
今回は、以下のような内容を解説しました。
- トークンとは
ブロックチェーン上に発行され、残高が管理されている資産。 - トークンの種類
ブロックチェーンにそもそも存在するネイティブトークン、スマートコントラクトによってブロックチェーン上に発行されるERC20トークンやERC721トークン(NFT)がある。また、ERC20トークンには、決済に用いるユーティリティトークン、投票等に用いるガバナンストークン、収益分配に期待するセキュリティトークンがある。 - トークンエコノミーとは
特定のトークンのやりとりで成り立っている経済圏。そのトークンの価値に関わる設計をトークンエコノミクスといい、トークンエコノミクスが上手に設計されているトークンエコノミーに参加することが大切。
以上になります。
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