電気自動車(EV)の普及に伴って需要が増えるリチウム生産銘柄4社の株価や業績を確認する

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はじめに

現在行っている「インフレ収束に向けたトレード」がひと段落した後の投資アイデアを時間をみつけて考えていきたいと思います。イメージとしては、債券ロングのポジションを持ってリセッション入りした後に、その債券を利益確定して、何を買っていくかという辺りの話をしています。

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2023年1月10日

普通に株式インデックスを買うとかでも全然良いのですが、最近は大きなリターンも狙おうというマインドに個人的になっているため、超過リターンを狙えそうな投資対象も探していきたいと思います。

さて、テック企業の成長に陰りが見えてきたなかで、何か大きな投資チャンスを見つけようと思うと、他の成長市場を見つけることから始める必要があります。そこで、上の記事に書いたアイデアとは違うのですが、まずはパッと思い浮かぶ電気自動車(EV)市場の成長に連動して、需要が増えていくであろうリチウムの生産企業を見ていきたいと思います。

written by @raq_reezy

電気自動車(EV)の市場規模

まずは、電気自動車(EV)の市場規模予測をStatistaで確認しておきたいと思います。

電気自動車の市場規模予想(〜2027年)

電気自動車の市場規模予想(〜2027年)

2022年から2027年の5年間で、$7,124Bから$16,206Bまで成長するので、市場規模はCAGR18%で成長することになります。

リチウムイオン電池の市場規模

続いて、リチウムイオン電池の市場規模を確認しておきます。

リチウムイオンバッテリーの市場規模(〜2026年)

リチウムイオンバッテリーの市場規模(〜2026年)

こちらは、2022年に$61Bから、2026年に$92Bなので、ざっくりと市場規模がCAGR15%で成長することになります。リチウムの需要も伸びていくと考えてよいでしょう。

リチウム生産企業4社の株価や業績を確認する

それでは、主なリチウム生産企業をざざっと見ていきたいと思います。

Albemarle(ALB)

まずは、アルベマール。アルベマールはリチウムのピュアプレイではありません。

アルベマール株価(2023年1月10日)

アルベマール株価(2023年1月10日)

株価収益率17倍は割高でも割安でもないという感じでしょうか。なお、フォワードPERは10倍なので割安といえそうです。

売上の推移をみると、今年から異常に伸びています。

アルべマーレの売上推移(2022年)

アルべマーレの売上推移(2022年)

オーナー利益(営業CF – CapEx)をみておくと、なんと毎年下落しています。これはリチウムの生産を年率20%ずつ増やすために積極的な投資を行っているそうです。

アルべマーレ業績推移(2023年1月10日)

アルべマーレ業績推移(2023年1月10日)

ROEは、20%を超える水準に回復しています。この傾向が続くのであれば、今の株価水準は割安だと思うので、深掘りして調査する余地がありそうです。

アルべマーレのROE推移

アルべマーレのROE推移

Sociedad Quimica y Minera de Chile(SQM)

続いて、ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリです。こちらもリチウムのピュアプレイではありません。

ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリの株価(2023年1月10日)

ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリの株価(2023年1月10日)

PERはなんと7.6倍で、フォワードPERは6倍です。今後が期待できるのであれば、この水準は当然ながら安いです。

こちらも売上は今年から急成長しています。

ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリの売上推移(2022年)

ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリの売上推移(2022年)

こちらの企業は、先ほどのアルベマールとは違って、オーナー利益の黒字を維持しながら経営されています。

ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリのオーナー利益推移(2022年)

ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリのオーナー利益推移(2022年)

ROEも非常に高くなっています。やはりリチウム企業は儲かっているようです。

ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリのROE推移

ソシエダード・キミカ・イ・ミネラ・デ・チリのROE推移

Livent(LTHM)

続いて、リヴェントです。こちらはリチウムのピュアプレイ銘柄です。

リヴェントの株価(2023年1月10日)

リヴェントの株価(2023年1月10日)

こちらはPERが21倍と少し高めになっています。フォワードPERは15倍程度です。高すぎるということはないものの、将来の成長を一定織り込んだ数値ではあるといえるでしょう。

売上推移を確認すると、直近はやはり高い成長率を見せています。

リヴェントの売上推移(2022年)

リヴェントの売上推移(2022年)

オーナー利益の推移をみてみると、こちらも積極的に設備投資を行っていることがわかります。

リヴェントのオーナー利益推移(2022年)

リヴェントのオーナー利益推移(2022年)

ROEは18%程度で、決して低くはないですが、上の2社に比べると控えめな印象です。

リヴェントのROE推移

リヴェントのROE推移

Lithium Americas(LAC)

最後に、リチウム・アメリカズ。こちらもリチウムのピュアプレイ銘柄です。

リチウム・アメリカズの株価(2023年1月10日)

リチウム・アメリカズの株価(2023年1月10日)

リチウム・アメリカズは赤字企業のため、PERがありません。

売上等もSeeking Alphaでは穴だらけのデータになっており、少し怪しかったので、こちらは以上にしたいと思います。リチウムのピュアプレイで、現在は赤字ということで、ぐんぐんと伸びてくれば得られるものは大きそうですが、相応のリスクがあると思われます。

結論

今回、ざっと4銘柄ほど見てみて、リチウムの需要が伸びていくことが期待できるのに対して、リチウム生産企業の株価はそこまで大きな成長を織り込んだ水準ではないことが分かりました。フォワードPERが10倍とか6倍というと、どちらかというと敬遠されている水準といえるレベルだと思います。

もちろんマーケットがそう判断しているのであれば、こうした企業の業績がすくすくと伸びていると考えることは間違っている、あるいは何かしらのリスクがあるのかもしれません。しかし、この水準に放置されているのであれば、深掘りして調べてみる余地はあるなというのが今回の感想でした。

ということで、時間があるときに、もう少し詳しくみていきたいと思います。

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