インフレが再加速する場合には「長期債 + 株式ショート」が候補

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*マクロ経済の考察は「Mercury’s」に移行しました

はじめに

以前から書いているように、僕はインフレ率の低下(による長期金利の低下)がしばらくはマーケットのテーマだと思っています。

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2022年内はインフレ率の低下がテーマ、やがて失業率上昇でリセッション相場へ

2022年11月30日

しかし、先日の雇用統計では賃金上昇が再加速しており、インフレが一筋縄には収まらないのではないかという懸念も出てきました。FEDは以前から「2023年の金利の最高地点はさらに高くなるかもしれない」と述べており、金利が再び上昇するケースも想定しておいて損はないと思います。

そこで、今回はインフレが再加速する場合にどのようなポジションを取ればよいかを考えてみたいと思います。

written by @raq_reezy

賃金の再加速が見られた雇用統計

先日の雇用統計では、平均時給の前年比は+5.1%であり、10月の前年比+4.9%から再加速しました

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11月雇用統計で見えたインフレ退治の困難さ

2022年12月5日

この雇用統計に対しては、雇用は思ったほど強くないというシーゲル氏のような意見と、さらなる利上げが必要になるというサマーズ氏のような意見が出ていました。

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シーゲル氏:雇用統計は労働時間が減少しており強くない、利上げ停止が妥当

2022年12月6日
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サマーズ氏:雇用統計は強く、景気のソフトランディングは難しい

2022年12月7日

その後の生産者物価指数(PPI)では、インフレ率の低下が確認できましたが、今後のインフレ率については、消費者物価指数(CPI)や雇用統計を引き続きウォッチしていくしかないですが、インフレが収まるということを決めつけるのではなく、インフレ率が変化するのであれば、柔軟に受け入れることが重要でしょう。

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生産者物価指数(PPI)は前年比+7.4%へと順調に低下

2022年12月12日

インフレが再加速すると経済はハードランディングになる

さて、上の記事で紹介したようにインフレが長引く場合は、もっと強力な利上げとなるので、その分、経済はハードランディングする可能性が高くなるでしょう。サマーズ氏は、以下のように述べています。

失業率が0.5%上昇すると、そのまま2%上昇する。一度ネガティブな状況に陥ると、雪崩のように崩れる側面があるからだ。それがどこかで実現してしまう現実的なリスクがあると思う。

それを織り込んでいるためか、今のところアメリカの長期金利は低下傾向にあります。

米国10年金利(2022年12月8日)

米国10年金利(2022年12月8日)

インフレの継続によって経済がハードランディングするのであれば、素直に長期金利の低下にかけて長期債を買う方法もあります。一方で、利上げで短期金利が上がっていけば、一定は長期金利も上昇圧力を受けるでしょう。そこで、個人的には長期債と株式のショートを組み合わせるのが良いかと思っています。

金利が下がるのであれば長期債でリターンが出ます。金利が上がるのであれば、株式が下がるのでショートでリターンが出ます。つまり、長期債と株式のショートを組み合わせることで金利の上下に対してはニュートラルなポジションを取ることができます。一方、債券も株式のショートも企業の利益減少には強いため、経済のハードランディングについては両方からリターンを得ることができます。

現在、すでに長期債のポジションは取っているため、もしもインフレが再加速する兆候が増えてきた場合には、株式のショートポジションを加えるようにしていきたいと思います。ちなみに、株式のショートポジションはSPXSでとるのが簡単です。

SPXSのチャート(2022年12月8日)

SPXSのチャート(2022年12月8日)

結論

雇用統計では、賃金の上昇率が10月から再加速したので、インフレが収まらないのではないかという不安が広がりました。

インフレが収まらない場合は、経済のハードランディングの可能性は高まる一方で、長期金利の見通しは難しくなります。そこで、金利の上下についてはニュートラルなポジションにしつつ、景気後退による利益を得られるポジションが候補となります。具体的には、長期債と株式ショートの組み合わせとなります。

本記事を執筆した12月9日時点では、インフレ率は下がっていくというのがメインシナリオなので、株式ショートのポジションは持っていません。

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