シーゲル氏:雇用統計は労働時間が減少しており強くない、利上げ停止が妥当

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はじめに

失業率は底で横ばい、賃金がまだ上昇しており、強い雇用統計だったと紹介しましたが、「永遠のブル」として知られるジェレミー・シーゲル氏は「雇用統計はレッドホットではなかった」として少し違った見方をしていたので紹介します。

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11月雇用統計で見えたインフレ退治の困難さ

2022年12月5日

written by @raq_reezy

労働時間に注目すると減少している

ジェレミー・シーゲル氏は、以下のように述べています。

とても大事なことは、みんなが労働時間のデータを無視していることだ。労働時間は減少した。減少したのは0.1時間だといっても、それは年間給与にして200,000ドルに相当する。経済にとって重要なデータには、労働人口だけじゃなくて、労働時間も含まれる。だから、ひどい雇用統計だったとは言わないが、強い雇用統計だったとも思わない。

以下のグラフの通り、週次の平均労働時間は34.5時間から34.4時間へと減少しました。

平均労働時間(2022年11月雇用統計)

平均労働時間(2022年11月雇用統計)

アメリカの平均時給は32.82ドルなので、0.1時間は3.28ドルに該当します。1年間は52週なので年換算すると150ドル超ですから、200,000ドルの給与減少だというシーゲル氏の計算がどこから来たのかは不明ですが、労働時間は2008年のリーマンショックや2020年の新型コロナショックのときも減少しており、労働時間の減少と不景気の間には一定の関係は見てとれます。労働時間の減少は経済にとってポジティブなことではないという点については疑う余地はないでしょう。

ISM製造業購買担当者景気指数は15年ぶりのマイナス

シーゲル氏の主張は、次回12月の利上げを最後にFEDは利上げを停止すべきだというものです。

私の考えは、12月に0.5%の利上げをして、その影響がデータで入ってきたら、来年2月の利上げは必要なくなるというものだ。だが、いずれにせよ、何が起こるか様子を見てみないといけないだろう。

その理由として、ISM製造業購買担当者景気指数のマイナスもあげています。同指数は、景気を測ることができる指標のひとつで、50よりも高いと景気は上向き、50よりも低いと景気は下向きと判断されます。11月の数値は49で2020年6月から15ヶ月ぶりに50を割り込みました

ISM製造業景況指数(11月)

ISM製造業景況指数(11月)

雇用統計の記事でも紹介した通り、実際に長期金利は下落しており、リセッションのリスクを織り込みにいくような動きを見せています。

米国10年金利(2022年12月4日)

米国10年金利(2022年12月4日)

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結論

一見すると、インフレ率低下の流れに歯止めをかけたような雇用統計でしたが、細かい部分をみるとシーゲル氏の言うように弱い部分も見られます

インフレはピークを超えており、来年からはリセッションが意識されるマーケットになっていくという大きな相場観を継続していきたいと思います。マーケットのテーマがインフレ率の低下からリセッションに移っていくきっかけとしては、やはり失業率の上昇を待つ必要があるでしょう。それまでは株式も良好なパフォーマンスを見せるでしょうから、引き続き、株式と債券を組み合わせたポートフォリオをメインとしていきます。

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