はじめに
引き続き、先日の米国雇用統計についての識者の見方を紹介していきたいと思います。
サマーズ氏がブルームバーグのインタビューにて、雇用統計について語っています。彼の見方は、今回の雇用統計は非常に強く、長期的には景気のソフトランディングが難しくなったと言います。
written by @raq_reezy
雇用統計は非常に強かった
サマーズ氏は、賃金の上昇に注目して、以下のように述べています。
年率換算で+7.5%の賃金上昇、過去3ヶ月の年率換算で+6%の賃金上昇、前年比で+5%の賃金上昇だ。つまり、賃金上昇率は高い。雇用市場は強い。欠員と仕事のギャップという点では、私たちはまだ前例のない領域にいる。そこから分かることは、FEDが望むレベルのインフレ率までは、まだまだ遠い道のりだということだ。
これはシーゲル氏が示した見方とは真逆となります。
シーゲル氏は労働時間の減少に注目していましたが、直近では賃金上昇率は再加速の様子を見せているため、サマーズ氏の見方もまた説得力があります。また、インフレが再加速すると経済のハードランディングに繋がるとサマーズ氏は続けます。
FEDの予測や市場が織り込んでいるよりも、さらなる利上げが必要となるだろう。(中略)私たちはみんな空港に行ったことがある。7:30出発だと言っていて、8:30出発、9:30出発と時間が遅延していった場合、出発は11時くらいだと私は見込む。それと似たようなものだ。私が間違っていることを望むが、インフレーションはみんなが思っているよりも長く続くだろうし、ソフトランディングの達成はみんなが思うよりも難しい。色んなメカニズムが入ってくるからだ。消費者はどこかで貯金が尽きて、消費が落ちる。そしてみんな家を売り始めて、住宅価格が落ち始め、みんなが家を投げ売りする。クレジットも尽きてしまう。
スタグフレーションを予想するサマーズ氏
インフレと失業率の上昇が同時に起こるとスタグフレーションと呼ばれますが、サマーズ氏は金利市場がスタグフレーションを織り込んでいると以前ツイートしていたのは紹介した通りです。
サマーズ氏は、インフレが収まらないうちに失業率の上昇を迎えてしまうスタグフレーションをメインシナリオとしているようです。
失業率が0.5%上昇すると、そのまま2%上昇する。一度ネガティブな状況に陥ると、雪崩のように崩れる側面があるからだ。それがどこかで実現してしまう現実的なリスクがあると思う。
結論
さて、僕個人のメインシナリオとしては、目先はインフレ率低下による金利上昇の一服がテーマで、来年にはリセッションが意識されてくるというものでした。
インフレが再加速して、長期金利が上がるということであれば、方針についての再考を迫られます。しかし、インフレによる利上げが続く場合も、リセッションが意識されるなら、短期金利は上がれど、長期金利は頭打ちの可能性もあります。
長期金利は3.4%台まで下がっていましたが、現在は3.57%まで戻しています。
インフレ率の行方を占うためには、次回の消費者物価指数(CPI)を待つこととなるでしょう。株と債券を組み合わせたポートフォリオを引き続き維持しつつも、しばらくはインフレ率や長期金利を注視していきたいと思います。
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