ガンドラック氏:物価連動国債(TIPS)やゴールドは現時点で好ましい投資対象ではない

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新債券王と呼ばれるガンドラック氏のポッドキャストから、彼の経済展望や投資対象についてピックアップして紹介しており、今回は物価連動国債とゴールドについての見方を紹介します。

物価連動国債(TIPS)とゴールドの値動き

物価連動国債(TIPS)は、インフレに強い資産クラスとして知られています。

物価連動国債(TIPS)とは、通常の債券としての利回りに加えて、物価に連動するという性質を持った国債です。通常の債券であれば、利回りが4%であればリターンは年率4%です。しかし、物価連動国債の場合はこれにインフレ率が加わってきます。インフレ率が4%であれば利回りは8%になり、インフレ率が-4%ならリターンは0%になるといったイメージです。ただし、実際にはマーケットで買うため、上の通りのリターンになるわけではありません。現状のインフレ率はすでに価格に織り込まれており、インフレ率が市場の予想よりも高くなるならリターンが出るし、市場予想よりも低くなるなら損失が出ます

ゴールドもまた、インフレに強い資産として知られています。

実際に2つの資産クラスを比べてみましょう。以下は、Portfolio1(青線)がTIPS100%のポートフォリオ、Portfolio2(赤線)がゴールド50%と現金50%のポートフォリオです。ゴールドの方が全体的に値動きが大きいため現金を混ぜて値動きを半分に薄めていますが、動き方としては非常に相関が高いことが分かります。

物価連動国債とゴールドの値動きには相関がある

物価連動国債とゴールドの値動きには相関がある

なぜ物価連動国債やゴールドへの投資は早いのか

ガンドラック氏は、物価連動国債について、以下のように述べています。

私は物価連動国債は(現時点で)好んでいない

これだけでは彼の意見の背景が見えにくいところですが、幸いにもゴールドについてはもう少し詳しく話してくれています。上で見たように物価連動国債とゴールドは基本的には相関関係にあるため、現時点でゴールドを好んでいない説明を聞くと理解が進むと思います。

ゴールドはだいたいビットコインと一緒に語られることが多い。今年の株や債券のボラティリティと比べて、過去6ヶ月のゴールドやビットコインのボラティリティの少なさは魅力的だ。ゴールドは1,700ドルあたりで居座っている。1,650ドルと1,800ドルの間で動くくらいだ。ビットコインは本当の通貨のように見え始めている。1時間で20%動いたりはしなくなった。1週間や1ヶ月で20%動くこともなくなりつつある。20,000ドルから±10%で動くくらいだ。ビットコインは政府が再度の財政出動をする場合にだけ保有したい。残念なことに、究極的にはそれは実施されるだろう。

ビットコインはデジタルゴールドと呼ばれることもありますが、ここでガンドラック氏はゴールドとビットコインを似たような資産クラスとしてまとめて語っています。そして、それらへの投資タイミングは今ではなく、政府が再度の財政出動を行うときだといいます。そして、それは当然ながら次のリセッションのタイミングです。

現在の利上げと社会の負債の量を考えると、次の不景気ではあまりに痛みが大きすぎて、また財政出動を行うだろう。それがドル暴落に繋がるかもしれない。財政出動や量的金融緩和を行うたびに、そのマグニチュードは前回よりも大きくなる。

量的金融緩和とは、中央銀行が国債を購入する行為です。政府は国債を中央銀行が購入してくれるのであれば、いくらでも国債を発行して資金を調達し、国民にばら撒くことができます。これはインフレに繋がるため、本来は避けるべき手法ですが、すでに世界各国では行われています。

さて、不景気に量的金融緩和とばら撒きで対応すると一時的に景気は好転しますが、国債の発行量は増えているため、金融引き締め時の利上げに対して、経済は脆弱になります。同じ1%の利上げでも、借金の量が2倍になっていれば利払いは2倍です。つまり、借金が多い経済というのは利上げに弱いわけです。そのため、量的緩和後に利上げが行われるたびに、経済はさらに深く傷つき、その不景気に対抗するためにさらに大規模な国債発行と量的緩和が行われるようになります。

これは逆戻りできない一方通行の金融政策であり、それはいずれ極度のインフレにたどり着きます。ちなみに、止まらないインフレに行き着くと、最終的には政府は国民の財産を没収することで事態の収集を測ります。

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政府の預金封鎖や財産没収と資産防衛の方法

2022年11月26日

しかし、その前にインフレによって通貨の価値が毀損するという事態が起こります。そのタイミングで物価連動国債やゴールド、ビットコインといった資産がインフレからの防衛に役に立つということです。

現在はまだ利上げを行なってインフレを抑えようとしているフェーズです。しかし、この試みは景気後退に繋がり、それが次の金融緩和からのインフレ再燃に繋がるというのがガンドラック氏の見方なのです。つまり、インフレに強い資産の購入タイミングは今ではなく、次のリセッションで再び政府や中央銀行がお金をばら撒く方向へと舵を切ったときだということです。

ガンドラック氏は、以前紹介したように、FEDの過剰な金融引き締めによってインフレ率がマイナスまで突入する可能性を視野に入れています。このようにインフレ率が大きく低下していくフェーズでは、まだインフレに強い資産への投資は早いというのが彼の見方です。

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一方、FEDはこのポッドキャストのあとに、徐々に金融引き締めのトーンダウンを開始しています。不景気の兆候が見えたら、柔軟に利上げを停止するよという態度を見せているわけですから、強行な利上げ継続によってインフレ率がマイナスまで落ちるという観測は後退してしかるべきでしょう。その代わりに、インフレは4%や5%といった高めの水準に落ち着くことになります。であれば、市場の織り込んでいる2%台の期待インフレ率は低すぎるため、今後は4%や5%といったインフレ率を織り込んでいく過程で、インフレに強い資産クラスが見直される可能性も十分にあります。そうした考えから、僕はゴールドを10%程度ポートフォリオに組み入れています。

期待インフレ率(2022年11月)

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