高インフレ・金融引き締め下の投資戦略【2022年前半振り返り】

RAq(ラッパー)のコラム

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高インフレ・金融引き締め下の投資戦略

アメリカでは、高インフレが続いています。

このような高インフレは前回が1970年代、その前は1930年代なので、40年〜50年に一度しか訪れないもので、もう僕の人生においては巡り合うこともないかもしれませんが、一応、学びを書き残しておきたいと思います。

大前提:高インフレ下の金融政策

大前提として、高インフレ下の金融政策を考えます。金融政策は、資産価格の推移を考えるにあたっての条件となるからです。

高インフレ下の金融政策は、ひとことでいうと以下のようになります。

高インフレ下の金融政策

  • インフレが収まるまで、金融引き締めを続ける

FRBが金融引き締めを行うとどうなるか

高インフレ下においては、通常の景気回復期と違って、FRBが異例のペースで引き締めを行います。そのため、株式相場は不安定になり、ボラティリティが増します。また、長期金利が上がっていくため、米国債に投資妙味が出てきます

つまり、FRBがせっせと利上げやQTで金利を引き上げるにしたがい、相場のリスク上昇を嫌う+米国債の投資妙味によって、他の資産が売られて、米国債が買われるということが起こります。

その結果が、以下の通りです。

  • ドル高になる
  • 株安になる

一方で、米国債投資も実質リターンでみると儲かるわけではなく、インフレ負けすることになるので、非常に投資が難しい時期となります。

「高インフレなので、インフレ資産だ」という感じで、ゴールドや仮想通貨などを買っていると、ドルと逆相関なので思ったような成果が得られないことになります。特に、仮想通貨は2022年時点においては、NASDAQの個別銘柄あたりをいじっている投資家と層が被っているため、ビットコインは半値になるなど大きく下落しました。

高インフレ期における投資戦略

では、高インフレが話題の2022年前半にどのような投資であれば報われていたかをリストアップすると、以下のようになります。

2022年前半にパフォーマンスの良かった投資

  1. コモディティ投資(原油、食料)
  2. 米国株のショート(特に金利上昇に弱いNASDAQのショートなど)
  3. ドルMMF(インフレ負けするが、ドル高の恩恵を受けやすい)
  4. 日本の不動産セクター(円安やインフレの中で投資妙味がある)

インフレ資産であるコモディティの中でも、実体経済の中で需要があるものが良いパフォーマンスでした。これはウクライナにおける戦争の影響もあるかと思いますが、まさに足元でCPIが8%などの数字が出ている中では、目先の実需で買われるものに素直に乗っかるのがベストだということでしょう。

また、米国株のショート、特にNASDAQ周りのインターネット銘柄などのショートは良いパフォーマンスでした。高インフレ下では、株価が下がっても、FRBは基本的には金融の引き締めを続けるしかなく、株には逆風が淡々と吹き続けます

また、円安の影響で、日本の不動産に投資妙味が生まれることもあり、日本の不動産セクターも2022年前半においてプラスのパフォーマンスでした。日本の不動産は、海外からの仕入れがないため、円安によるデメリットも受けません。唯一のリスクは、円安とインフレによる日本の長期金利上昇(による不動産セクターの金利負担上昇)ですが、これは日本の債券をショートしておくことで一定はヘッジできます。

金融引き締めが景気後退を引き起こした場合

やがて景気後退に至ることが想定される

では、高インフレはいつ収まるのかというと、FRBによる引き締めが景気後退を引き起こして、ようやく収まるのではないかと考えられます。

そのときには、上で書いたことが巻き戻り、以下のようになることが想定されます。

  • ドル安になる
  • 株が底打ちする

インフレはすぐに終わらない

しかし、そこでFRBがすばやく金融緩和に転じたなら、またインフレが勢いを取り戻す可能性もあります。1970年代には、何度もインフレがしつこく勢いを盛り返し、1980年にFRBのボルカー議長がボルカーショックと呼ばれる、強力な金融引き締めで景気とインフレの息の根を止めるまで続きました。

まだインフレの火が残っている中で、たとえばインフレ率が4%や5%といった数値の中で、景気後退を受けてFRBが金融緩和に転じた場合は、インフレの再加熱を意識して、ゴールドや仮想通貨などのインフレ資産のポジションを取ることが考えられます。また、ドルを売って、円に変えることも考えられます。

この場合も、FRBが再び引き締めに転じたときには、引き締めに対応したポジションに戻すことになります。

まとめ

FRBが金融引き締めを続けている間は、実需のあるコモディティや米国株ショート、ドルMMFや日本の不動産セクターが良い。

FRBが金融緩和に転じる場合は、インフレが残っていたら、ゴールドや仮想通貨などのインフレ資産のポジションを取る。また、金融緩和に転じる前にはドルを円に変えておくことも考えられる。

難しいのは、この間でどのようなポジションの取り方をするかという点ですが、以下のような順番で物事が進むと想定しています。

物事が進む順番

  1. 株価が下がる
  2. 景気が悪化する
    ドル高が一段落する
  3. インフレが収まる
    コモディティ高が一段落する
  4. FRBが金融引き締めから緩和に転じる
    株価が底を打つ

3と4の順番は、FRBがどこまで真剣にインフレを退治しようと思うかにもよりますが、1、2、3については、この通りに進むと思っています。そのため、ドルMMFポジションを最初に手仕舞い、続いてコモディティのポジションを手仕舞い、最後に米国株ショートのポジションを手仕舞えば良いのではないでしょうか。

この振り子が続く期間においては、株は上がったり下がったりと横ばいを繰り返し、インフレを考慮すると実質リターンはマイナスになりやすいのではないかと思います。債券も同様です。

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