マイナード氏:FRBの経済予測は過剰に楽観的、S&P500は3,000ドルまで下落する

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はじめに

(※急死された偉大なマクロ投資家、マイナード氏のご冥福をお祈りします)

今回は、スコット・マイナード氏のブルームバーグインタビューから、彼の見通しを紹介します。

written by @raq_reezy

インフレ率の低下に対して、金融引き締めが強すぎる

マイナード氏は、以下のように述べています。

(FRB予想の)GDP成長率が0.5%というのは過剰に楽観的だと思う。インフレ率が前年比+3.1%になる来年末にFF金利を5.1%に持っていくという厳しいマネタリーポリシーを彼らの言うように実行するのであれば、それはかなり強い金融引き締めだ。

FRBは、来年末時点でインフレ率が前年比+3.1%まで落ち着いており、それを実現するためにFF金利を5.1%に持っていくとしています。

しかし、改めて今年の利上げを振り返ってみると、FF金利を4%台まで上げただけで、インフレ率はすでに9%台から7%台まで下がってきています。そうすると、ここから3.1%まで下げるために、さらにFF金利を5.1%まで上げるというのは過剰だというのがマイナード氏の見方です。FRBが本当にこの利上げを実施するのであれば、失業率は2%以上も上昇するだろうと述べています。

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S&P500株価は3,000ドルまで下落する

マイナード氏は、FRBの利上げによって経済が強いリセッションに入った場合、株価は3,000ドルまで下落しうるといいます。

インフレによるコスト上昇や消費の減退を考えれば、S&P500企業の利益が10%減少することは予想することは十分に現実的だ。そうすると、S&P500企業の利益は200ドル〜220ドルになる。これは比較的マイルドな見立てだ。次に、リセッション時の株式市場のマルチプルを15倍とすると、S&P500株価は3,000ドルまで落ちることになる。

また、以前紹介した、ブラックストーン社のバイロン・ウィーン氏の株価計算表をみると、こちらではさらにひどい下落が予想され、企業利益200ドルで金利4.5%だと妥当な株価水準は2,190ドルということになります。

金利とEPSに基づくS&P500の適正水準(2022年10月)
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金利とEPSに基づく米国株(S&P500)の適正水準を確認する

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FRBは実際に5.1%まで利上げするのか

ここで問題になるのは、FRBは本当に有言実行で5.1%までFF金利を利上げするのかということです。

FF金利の影響を強く受ける、アメリカの2年債金利を見てみると、10月〜11月にかけてピークをつけたあと、すでに下落に転じています。

米国2年債金利(2022年12月22日)

米国2年債金利(2022年12月22日)

すでに短期金利が下落に転じているということは、市場参加者はFRBは本当に5.1%まで利上げすることはないと考えているといえます。言い換えると、FRBの強気な利上げ姿勢はあくまでもポーズであり、有言実行されることはないという見方が多数派だということです。

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FRBの鷹派スタンスはポーズなので、逆張りで買って問題ない

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結論

僕は、FRBが実際に5.1%まで利上げをする可能性は低いと考えています。

そのため、ハードなリセッションが来て、マイナード氏のいうように株価が暴落するかどうかは分かりません。しかし、いずれにせよ長期金利は上ではなく下だというのが、何度も書いてきたように、僕のメインシナリオです。また、FRBは5.1%まで利上げしないとしても、インフレをなんとしても片付けたいと思っているので、2023年は景気後退的になるでしょう。

長期金利が下がる分は、株でも債券でも取れるわけですが、リセッションの可能性を意識するのであれば、債券をメインに保有する方が安心です。そのため、債券をメインに保有しており、あくまでもリセッション時に債券でカバーできる範囲で株式を保有しています。

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