「インフレとの戦い」の終結後にくる、新しい相場のテーマを考える

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*マクロ経済の考察は「Mercury’s」に移行しました

はじめに

昨年から、相場のテーマは「インフレとの戦い」に終始しています。金利が上昇しつづける限りは、株にも債券にもマイナスであり、まともに投資ができないからです。

しかし、長期金利はすでにピークアウトしており、インフレ(少なくとも第一派)との戦いが終わるのは、あとは「時間の問題」だといえます。

米国10年債金利(2023年1月5日)

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そこで、さらにその先、つまりインフレとの戦いのあとの相場テーマについても、そろそろ考え始めたいと思います。

written by @raq_reezy

「インフレとの戦い」の結末

まず、「インフレとの戦い」がどのような結末を迎えるかを考えてみると、大きく2つの可能性があります。

  1. ソフトランディング
    インフレが収まるまでに、それほど景気は悪くならない
  2. ハードランディング
    インフレを退治する過程で、経済は大きく痛み、不況に突入する

著名投資家を参考にしてみると、ガンドラック氏は「FRBが利上げを続ける場合、ハードランディングする」との見方をしています。

リセッションが来るだろう。まず、住宅市場に景気後退が来るのは明らかだ。耐久消費財も買い替えの時期まで遠い。サービス業は、みんなリベンジ旅行にお金を使ったが、それはすべてクレジットカードの借金になっている。もう何ヶ月もリボ払い残高が増え続けている。米国民の家計には貯金があったが、それも無くなってしまった。今の状況は景気サイクルのかなり終盤だ。

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一方で、金利を再度見てみると、長期金利はピークアウトしたとはいえ、まだ3.69%もあるわけなので、不景気を織り込んでいるとまでは言えないでしょう。

米国10年債金利(2023年1月5日)

米国10年債金利(2023年1月5日)

現時点では、将来の相場テーマのアイデアを出す段階であり、そのどれかを決め打ってポジションを取る段階ではないので、ソフトランディングとハードランディングの両方の可能性を広く考えておくのが良いでしょう。

「インフレとの戦い」の次には何が来るか

ソフトランティングの場合

ソフトランディングの場合、インフレ率や金利は2%まで下がるということはなく、ともに3%程度の状況が続くと思います。その場合、失業率はそこまで上昇しないと思われるので、消費需要が消え去るということはないでしょう。また、消費需要が消えないということは、供給不足によるインフレ気味の経済状況は変わらないことになります。インフレ率が2%まで下がらないというのはそういうことを示しています。

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そういう状況においては、供給側の改善・効率化というのが相場のテーマになると思います。具体的には、以下のようなものです。

  • サプライチェーンの再構築
    今回のインフレの包括的な要因はお金の刷りすぎ・配りすぎが遠因ですが、直接の引き金となった原因のひとつに、グローバルなサプライチェーンの脆弱性があります。中国の工場に頼りすぎていたため、アメリカの港湾労働者がパンデミックで仕事放棄をして物流に影響が生じたり、中国が新型コロナでロックダウンをすると、供給が止まってしまったのです。これに対しては、アメリカ国内に工場などを戻すリショアリングが、中国から工場をベトナムやメキシコなどに移すサプライチェーンの分散化などが行われようとしています。
  • 生産効率化のテクノロジー
    供給が不足しているわけですから、もっと安く効率的に、たくさん作れる必要があります。人件費も高騰しているため、人をなるべく介さずに物を製造したり、サービスを提供できると望ましいでしょう。工業機械などは需要が伸びそうに思えます。
  • テックの人員削減・コストカット
    一方で、テック業界は人員が余っています。インフレ率や金利が高くとどまるということは、テック業界には引き続き逆風が吹くことを意味しています。その場合、テック業界は成長のために赤字でも投資することは厳しく、さらに人員を削減して利益を出す方向に進まざるを得ないでしょう。テック業界の人員削減・コストカットを支えるようなB2Bテクノロジーや、それらを利用してコストカットを大胆に進めたテック企業はポジティブな評価を受けるでしょう。
  • シェアリングエコノミー
    物が足りないのがインフレですから、物をみんなでシェアして利用すれば物不足は多少緩和されます。エアビーなどがあげられます。

工場等への投資を考えると、インダストリアルな工業株などに相場の流れがくるかもしれません。一例ですが、機械メーカーのキャタピラーは過去半年で39%も株価が上昇しています。

キャタピラー(CAT)株価(2023年1月5日)

キャタピラー(CAT)株価(2023年1月5日)

ハードランディングの場合

ハードランディングとは、何としてもインフレを抑えるために、失業率を上昇させて、完全に需要を抑え込んだ場合を指します。このケースにおいては、一旦インフレ率は2%以下まで低下していく可能性があります。

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その場合、経済は悲惨なことになるため、大胆な金融緩和が意識されると思います。そうすると、リーマンショック以降の相場と基本的には変わらないので、低金利の恩恵を受けるものが相場のテーマになるでしょう。

  • ゴールド
    インフレ率が2%以下まで低下して金融緩和が行われる場合、インフレ率は底打ちして反発する中で、名目金利は低く抑えられる状況になります。言い換えると、実質金利が大きく下がるということです。その場合、実質金利と逆相関の関係にあることが知られるゴールドは大きく上昇するでしょう。
  • ハイテク株
    リーマンショック以降の低インフレ+金融緩和の経済環境はハイテク株の黄金時代でした。インフレが完全に抑えられた上で、金融緩和が行われるのであれば、ハイテク株が息を吹き返しても不思議ではありません。
  • 新興国株
    アメリカの経済が悲惨な状況になって、金融緩和が必要になる場合、米ドルは大きく下落することが考えられます。その場合、為替リスクの減る新興国株は大きな投資機会が訪れるでしょう。

結論

以上のように、ソフトランディングの場合は工業株など供給側が相場のテーマになり、ハードランディングの場合はこれまでのようにゴールドやハイテク株、さらにドルショート的な取引が相場のテーマになることが考えられます。

これらは、いずれもインフレとの戦いのあとの話であり、しばらくはインフレ率の低下を見守る相場が続くと思います。その期間に、他にも相場のテーマになりうるセクターがあるか考えていきたいと思います。

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