はじめに
黒田総裁は、日本の長期金利を0.25%から0.5%まで引き上げることを決定しました。
日銀は19~20日に開いた金融政策決定会合で、大規模緩和を修正する方針を決めた。従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する。20日から適用する。長期金利は足元で変動幅の上限近くで推移しており、事実上の利上げとなる。変動幅の拡大は21年3月に0.2%から0.25%に事実上、引き上げて以来となる。
日経新聞より
これまで日銀は長期金利について、0.25%を超えないように無限に買い入れを行なっていましたが、この上限を0.5%に変更します。基本的に中央銀行は超短期金利をコントロールすることで長期金利にも影響を与えるものなので、長期金利を直接コントロールしていること自体が異常ではありますが、いずれにせよ大きな変化です。
今回の変更を受けて、実験的に日本の銀行株のロングポジションを開始しました。
written by @raq_reezy
円安の底打ちは確定的で、日本は投資妙味が増す可能性
長期金利0.5%容認の発表を受けて、ドル円は137円から133円まで、一気に円高にふれています。
そもそも150円にタッチしていた時期を考えると、すでに随分と円高に戻っていますが、今回の長期金利上昇の容認、それから岸田政権の増税といった金融・財政正常化への道のりは大きなトレンドとして認識されると思います。その過程で日本が大不況に陥ったりすると話は変わってきますが、基本的には金融・財政正常化は円の価格を安定させ、どちらかというと円高要因となるでしょう。
海外の投資家からすると、円安という為替リスクがなくなったので、日本はひとつの投資先として妙味が出てくる可能性があります。為替リスクが減ると、新興国株やフロンティア株の投資妙味が増すのと同じ理論です。
銀行株は長期金利上昇による収益改善の恩恵を受ける
海外の投資家が為替リスクの心配をせずに日本株に投資できる環境になったとして、次はどのような日本株が良いかという観点を考えなければいけません。
もちろん日経平均やTOPIXといった日本株全体を買う手もありますし、すでに底打ちをみせているグロース株も良いでしょう。しかし、グロース株は時価総額が小さいので大きなお金が流入するのは難しいし、TOPIXや日経平均は輸出企業も多いので円高の悪影響を受けかねません。
そこで、長期金利の上昇というテーマに素直に乗るのであれば、やはり銀行株が良いと考えます。銀行業は、預金(現在は金利0%)として調達したお金を貸し出すことで金利収入を得るビジネスモデルです。お金を貸すときの金利としては、長期金利(10年国債の金利)が基準になりますが、これが0.25%から0.5%へと上がるわけなので、銀行がお金を貸すときの金利も連動して上昇することが期待できます。住宅ローンなど、一部ではすでに先んじて上がってしまっているものもありますが、これから貸し出し金利が上がってくる部分もまだまだあるでしょう。銀行の金利収益は、長期金利の上昇と連動して増えるというわけです。
今回は「NEXT FUNDS 銀行(TOPIX-17)」というETFで銀行ポジションを取りました。組入銘柄は7割くらいが都市銀行で、3割くらいが地銀です。
結論
円高と長期金利上昇による業績改善という両方のメリットを受ける可能性あがる銀行株の買いポジションを開始しました。実は、今回の発表に先駆けて国内銀行株をちょびちょびと買い始めていましたが、今回それを利益確定するのではなく、さらに買いを増やしました。
一方、日本は長期的には人口減少による経済の衰退が懸念されることから、日本株をあまり長期で持ちたいとは考えておらず、しばらく長期金利の動向を見つつ、柔軟にポジションを解消しようと思っています。
なお、日本の長期金利は約0.4%まで跳ね上がりましたが、上限の0.5%に張り付くという状態ではなく、長期金利がこの水準で落ち着くようであれば、銀行株の上昇余地はそこまで大きくないかもしれません。
また、ゴールドも一部減らしています。元々、ドル安に対応するために円を持つにしても、円自体も安くなる心配があるという懸念から、一部をゴールドで保有していました。しかし、円安のリスクが遠のいたのであれば、ドル安に対するポジションは円キャッシュや国内銀行株で良いのではないかと思ったためです。こちらも改めてじっくり頭を整理したいと思います。
コメントを残す