ドラッケンミラー氏:グローバルマクロ投資は12〜18ヶ月後の世界を想像する

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はじめに

今回は普段の経済指標や金利のウォッチとは趣向を変えて、伝説のトレーダーであるドラッケンミラー氏の語るグローバルマクロ投資のコツを紹介します。

ドラッケンミラー氏は、ジョージ・ソロスのファンドに勤めていた伝説的なトレーダーで、ソロス氏が1990年頃にトレーダーの第一線から退いたあと、ファンドをマネジメントしていました。ポンド売りで「イングランド銀行を負かした男」として知られるソロス氏ですが、このポンド売りもドラッケンミラー氏のアイデアです。ドラッケンミラー氏は、最も優れたグローバルマクロ投資家の一人であるといっても過言ではないでしょう。

今回紹介するのは2022 Sohnにて行われたドラッケンミラー氏へのインタビューの一部です。

written by @raq_reezy

グローバルマクロ投資では12〜18ヶ月後の世界を想像する

インタビュー中に仕事への情熱を語る中で、ポロっと「グローバルマクロ投資が本質的にどのような活動であるか」を語っている箇所があります。

私は大学では怠け者だったし、自分をハードワーカーだと思ったことはない。しかし、私は自分のビジネスに情熱を注いでおり、もはや病みつきのギャンブラーのようなものだ。世界のあらゆるイベントが何らかの証券価格に影響を与えるという事実、また12〜18ヶ月後の世界が今とどのように違って証券価格に影響があるかを想像することがあまりに刺激的すぎるという事実が、私をハードワーカーのように見せているのだろう。

これは長期投資とは根本的に異なる活動であることが分かります。長期投資とは、企業や世界経済に資金を提供して、リスクに応じたリターンを手にする活動です。一方で、グローバルマクロ投資のようなトレードは、金融市場が間違っている点を見つけて、それをトレードを以てして指摘して正す活動です。個人的には、バグを見つけて指摘することで報酬をもらうような仕事に近いイメージを持っています。

しかし、現時点でみんなが知っていることはすでに市場に正しく織り込まれているはずです。つまり、みんなが間違えている可能性が高いのは未来のことであり、ドラッケンミラー氏は12〜18ヶ月後を正しく想像することで、金融市場の間違いから報酬を得られると述べています。一般的に金融市場は半年先を織り込んでいくと言われているので、そのさらに半年先を読みにいくのがちょうど良いのでしょう。

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未来は個別企業の情報からボトムアップで読む

では、その未来はどのように読めばよいのでしょうか。ドラッケンミラー氏は、個別企業の情報を集めて、ボトムアップで未来を予想するという手法を用いているようです。

株式マーケットは未来の経済活動について最新の情報を持っている。理由は定かではないが、株式は6〜12ヶ月ほど先回りする傾向がある。さらに先を読むのであれば、経済活動を先回りしたり遅れて動く業界を見ることもできる。住宅業界や小売業界などがある。マクロ投資家と呼ばれるが、私たちは個別企業の様子を聞いて、ボトムアップでマクロの経済観を組み立てている。経済を先回りする業界が上がったり下がったりすれば、それは美しいシグナルだ。

景気に先行する業界としては住宅や不動産、景気に遅行する業界としては小売があるとのことです。

また、債券市場(つまり長期金利)については、中央銀行が購入していることから、シグナルとして活用できなかったとのこと。

ここ10年か11年は債券市場は何もシグナルを発しなかった。なぜなら中央銀行が(債券を購入して)債券価格を操作しているからだ。

現在はQTが進んでいますから、市場のメッセージが以前よりは読み取れるようになっているでしょう。

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トレードで大切なのはポジションのサイズである

さて、トレードというと価格が上がるか下がるかを当てることが重要だと思われがちですが、ドラッケンミラー氏はトレードのサイズの重要性も強調しています。

私がジョージ・ソロスから何を学んだかと聞かれることがある。勤める前は、円やドイツマルクの価格の上下などを学ぶかと思ったが、私が学んだのはトレードのサイズが70%や80%ほどを占めるということだった。正しいか間違いかよりも、正しいときにどれだけ稼ぎ、間違っているときにどれだけ損失を抑えるかが重要だということを学んだ。

自分が市場を正しく読めているときはポジションを大きくしてしっかりと稼ぎ、市場を読めていない / 噛み合っていないなというときはポジションを小さくして損失を抑えることの重要性を語っています。ソロス氏は、自分自身がトレードの第一線を退いたあとは、トレードは若手に任せて、パフォーマンスが良い戦略を取っているトレーダーには大きな金額を運用させて、スランプのトレーダーは小さな金額を運用させるという手法で自身のファンドを運用していました。

上でも書いたように、ポンド売りのアイデアを思いついたのはドラッケンミラー氏でしたが、そのアイデアに沿って、巨大なポンド売りポジションを構築させたのはソロス氏でした。

結論

想像すべきは12ヶ月〜18ヶ月後の世界だということと、ポジションのサイズが重要だという意見は、とても参考になります。

後者については僕自身、去年はレバレッジETFも使ってポジションを100%以上に膨らませていましたが、今年は現金を半分くらい温存して小さめのポジションを構築しています。ポジションを小さくすると、例えば株価が上がったときに置いてけぼりをくらうため、ポジションサイズをだらだらと大きくしがちですが、グローバルマクロ投資においてはメリハリをつけてポジションサイズをコントロールすることの重要性を再認識しました。

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