米住宅市場大手レナー社決算:来年の第二四半期には賃金が下がり始める。住宅の供給不足は長期的に続く

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*マクロ経済の考察は「Mercury’s」に移行しました

はじめに

以前、ドラッケンミラー氏のボトムアップでマクロ経済の予測を行う手法を紹介しました。また、経済の先行きを占うにあたっては住宅市場の個別企業をみるのがよいということについても書きました。

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12月15日に住宅建築販売大手のレナー社が決算発表をしたので、経済の先行きを占う情報のひとつとして、確認しておきたいと思います。

written by @raq_reezy

住宅ローン金利の上昇が需要を減少させている

まずは、レナー社が示した来期のガイダンスを確認しておきましょう。2023年の第一四半期には12,000〜13,500件の新規注文を見込んでいるとのことで、これは2022年第一四半期の15,700件と比較するとダウントレンドです。2023年の通年見通しでも、2022年の66,400件に対して、60,000件〜65,000件の引き渡しを見込んでおり、こちらもダウントレンドです。

決算カンファレンスコールの中では、以下のように需要が減っていることが説明されました。

住宅市場全体が住宅ローン金利の大幅な上昇に反応しており、これが手頃な価格と住宅購入者の信頼感に影響を与えています。需要が強い地域は引き続きたくさん存在しますが、より困難な地域では、販売の勢いを維持または回復するために、基本販売価格を調整し、インセンティブを増やし、住宅ローン金利のバイダウンを提供する必要がありました。

FRBは今年の半ばから0.75%という過去に類をみない大幅な利上げを立て続けに3回も行いました。その結果、住宅ローン金利は7%といった水準に達しており、この住宅ローン金利も費用として計算すると、住宅価格はあまりに高くなってしまいます。また、金利が上がっていくことで不動産価格が下がるのであれば、今すぐに買うと値下がりリスクがあるので、しばらく様子を見た方が懸命です。

FRBはインフレを抑えるために利上げを行なっているわけですが、それは目論み通りに住宅市場に効いたといえるでしょう。

住宅の新規建築は25%〜33%減少し、供給不足が続く

一方、減っているのは需要だけではありません。供給についても減少するとのことで、CEOのスチュアート・ミラー氏は、以下のように述べています。

私たちの現在の見解では、2023 年には一戸建ておよび集合住宅の生産量が全国的に25%〜33%減少し、全国の住宅供給不足が悪化するでしょう。

需要がない中で、住宅をどんどん建てるわけにはいかないので、供給も当然絞り込まれるわけですが、需要がないのは上に書いたように金利が高いからです。しかし、金利を考えなければ、本来需要は強く、供給は圧倒的に足りていないといいます。そのため、金利が低下しはじめると住宅市場が再加熱してインフレが再燃する懸念があります。これは先日紹介したZillow Group創業者のスペンサー・ラスコフ氏の意見とも一致しています。この点は意識しておくべきでしょう。

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コスト削減効果が現れるのは第二四半期から

さて、収益の減少が見込まれるため、レナー社は積極的にコスト削減を進めており、取引業社等にも値下げを迫っているとのことです。こうした効果は第二四半期に現れるとしています。

先に述べたように、コスト削減に関しては、第一四半期から第二四半期に移行するにつれて、大きな動きが見られると思います。そして、それが起こるのは主に業界内で新規建築件数が劇的に減速したためです。労働力が解放されると人件費が下がります。それだけでなく、新規建築が減少すると材料も手に入りやすくなるため、材料費も下がります。

ここから分かることは、現在、住宅業界はコスト削減の波の真っ只中にあり、新規の住宅建築をどんどん絞り込んでいるということです。そうすると、いま住宅建設の工事を担当している人たちは、その仕事が終わる頃には、次の仕事はかなり減っているということになります。

人件費が下がったり、新しい仕事が見つからずに失業率が上がったりするのは、来年の第二四半期頃ということになるでしょう。来年の新規建築件数は25%〜33%も減るということなので、大きなインパクトが予想されます。

結論

住宅業界に限った話ではありますが、レナー社の話を聞く限りにおいては、賃金上昇が落ち着いて、失業率が上がり始める、言い換えるとリセッションが実感されてくるのは第二四半期になりそうです。であれば、マーケットは第一四半期にはリセッションを先行して織り込みにいく動きを見せるかもしれません。

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また、住宅の供給不足自体は根本的な問題として存在しつづけるため、金利が下がり始めると、住宅価格は再度上昇を始めるでしょう。FRBが金利を下げはじめた場合には、インフレ第二波への警戒が必要そうです。

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