サマーズ氏:債券利回りのオプションはスタグフレーションを織り込んでいる

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*マクロ経済の考察は「Mercury’s」に移行しました

アメリカの元財務長官で、2022年のインフレも的中させたラリー・サマーズ氏が、アメリカの債券利回りオプションがスタグフレーションを織り込んでいるとツイートしています。今回は、債券利回りのオプションの現状を確認しつつ、それが示している内容について考えましょう。

written by @raq_reezy

債券利回りのオプションが示す将来の金利

ラリー・サマーズ氏がツイートで示した、2026年時点での米国短期金利(1年債)がこちらです。

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現状のオプション投資家が織り込んでいる確率としては、2026年時点で金利が1%以下である確立は16%、2%以下である確率は31%となっています。一方、5%以上である確率は18%、6%以上である確率は10%となっています。

ラリー・サマーズ氏は、以下のように述べています。

3年後に1年債の金利が5%以上である確率と2%以下である確率はほぼ同じだ。また、6%以上か1%以下である確率は25%よりも高い。金利が低い可能性の方が高い。

私が市場から読み取ったことは、景気の低迷が長引く可能性が非常に高く、また、目標インフレ率を上回るリスクが続くであろうということだ。インフレ率が目標の2%を大幅に上回らない限り、金利が5%を超えると市場参加者は考えないだろう。また、経済が弱くなければ金利が2%以下になるとは考えないだろう。

市場参加者は、あまりに不確実性が高く、FEDがどう行動するかが読めないと言っているのだ。マーケット予想は謙虚に行うべきであり、FEDはその柔軟性を明確にする必要がある。私たちは不景気とインフレの両方のリスクに面している

不景気とインフレが同時に起こるスタグフレーション

不景気とインフレの両方のリスクに面しているというのは、一歩間違えるとスタグフレーションに陥るということです。スタグフレーションとは、不景気で失業率が高騰する中で、インフレが同時に発生する状況を指します。

今年はインフレが発生しましたが、アメリカの景気はまだ好調を保っていたため、FEDは金利を引き上げて、金融を引き締め、一旦はインフレを抑えることに成功しつつあります。しかし、まだインフレは7%前後の高い水準であり、これが目標の2%まで下がってくるには時間がかかるでしょう。

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米国のインフレと金利上昇は一段落して横ばいに向かう

2022年11月25日

インフレを完全に抑えるために金融の引き締めを続けていると、それがアメリカの景気をへし折ってしまうことになりかねません。以前紹介したジェフリー・ガンドラック氏のポッドキャストでは、インフレ率を急激に2%まで抑えた場合は、その勢いのままマイナスまで突き抜けてしまうであろうと述べられていました。オプションが折り込む3年後の金利が1%以下である確率が16%ということは、市場参加者の16%は3年後のアメリカが不景気に苦しんでいるだろうと考えていることを示しています。

9%から2%まで、インフレ率が7%も下がるのであれば、どういう論理によって、そこで止まると言えるのだろうか

(中略)

次の1年ちょっとでインフレ率が2%まで低下すると市場は織り込んでいるが、それだけの経済的な問題やデフレ要因のモメンタムがあれば、インフレ率はマイナスにまで突き抜けるだろう

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ガンドラック氏:利上げが続けばインフレ率の低下は2%で止まらず、マイナスまで突き抜ける

2022年11月27日

一方で、市場参加者の18%は3年後の金利が5%以上であると考えています。これは、3年後のアメリカにおいて、まだインフレが収まっていないと考える人たちも18%いることを示しています。こちらについても、ガンドラック氏のインフレ第二波のシナリオを紹介しました。

現在の利上げと社会の負債の量を考えると、次の不景気ではあまりに痛みが大きすぎて、また財政出動を行うだろう。それがドル暴落に繋がるかもしれない。財政出動や量的金融緩和を行うたびに、そのマグニチュードは前回よりも大きくなる。

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ガンドラック氏:物価連動国債(TIPS)やゴールドは現時点で好ましい投資対象ではない

2022年11月29日

1%以下のインフレ率と、5%以上のインフレ率が両極端に分かれているというのは、FEDの対応が読めないので両極端に予想が分かれているという見方もできます。一方で、単に時間差による違いに過ぎず、いずれも以下のストーリーを織り込んでいるという考え方もできます。

ガンドラック氏の見方に従えば、現在の金融引き締めによるインフレ率の低下は2%を突き抜けてマイナスまで下がり、その後に再度の金融緩和によって今度はインフレ第二波へと繋がるということなので、3年後のアメリカがこのどちらかのフェーズであると考えている人がたくさんいるというふうにも読み取れるわけです。

その場合、以下の記事で書いたように、一旦は超長期国債で金利の低下のリターンを取りつつ、不景気に入って、再度の金融緩和が行われるのに向けて、インフレに強い資産を買っていくという方法で対応するつもりです。

まとめ

今回は、ラリー・サマーズ氏の、債券利回りのオプション市場が、1%以下の金利(=不景気)と5%以上の金利(=インフレ)を同時に織り込んでいる、つまりスタグフレーションを織り込んでいるという指摘を紹介しました。これは基本的に過去に紹介してきた見方と大きく異なるものではなく、サマーズ氏もまたガンドラック氏と同じように、不景気と長期化するインフレを考えていることを示しています。

僕も同じく、不景気からのインフレ第二波というシナリオをメインに考えながらも、柔軟にマーケットを見ていくつもりです。

*マクロ経済の考察は「Mercury’s」に移行しました

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