今年に入って、ギリシャがデフォルトするするとだらだら続いていますが、いよいよお金がなくなったというところで、もともとギリシャ問題をよく理解できていなかったので、少し調べて、まとめてみました。
2009年10月、欧州債務危機が発生
ギリシャのデフォルト(債務不履行)の懸念が高まる。
ギリシャ問題の発端は2009年にまで遡ります。
2009年の10月にギリシャでは政権交代があり、全ギリシャ社会主義運動という政党のゲオルギオス・アンドレアス・パパンドレウによる政権が樹立されます。
その際に、前の政権(新民主主義党)が財政赤字を隠蔽していたことが明らかになったのです。
前政権では「財政赤字はGDP比で3.7%程度」と発表していたのですが、実際は12.5%(後に13.6%)であった事が発覚し、それを機にギリシャのデフォルト(債務不履行)が懸念されるようになります。
(「欧州債務問題の原因と経過」)
この結果、ギリシャの信用は大きく揺らぎ、ギリシャは破産するのではないかという懸念が高まります。
2009年12月にはアメリカの格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)がギリシャの格付けをA-からBBB+に一段階引き下げ、翌年2010年4月にはBBB+からCCCへ一気に3段階の大幅引き下げを行い不安を煽る。
その後2010年6月には同じアメリカの格付け会社ムーディーズが4段階の引き下げを行い市場の不安は一気に高まります。
(「欧州債務問題の原因と経過」)
財政再建策の失敗
2010年の1月にはギリシャ政府は財政再建策を発表します。
財政赤字を対GDP比2.8%以下にするなどとした3カ年財政健全化計画を閣議で発表するが楽観的な経済成長が前提であった。
2010年の2月、3月には財政再建策の撤廃を求めた大規模なデモが発生します。財政再建のために政府が支出を減らすと、公務員の給料が減ったり、景気が悪くなるためです。
2011年10月には、財政赤字削減目標が未達となる見通しをギリシャ政府が発表します。
財政緊縮派が票を伸ばし財政再建へ
その後、ドイツやフランスが支援策を発表します。
紆余曲折ありながらも、2012年6月の総選挙にて、緊縮財政を支持する第1党が票を伸ばし、連立政権の樹立に成功したことで、ギリシャは公務員のリストラや年金カットを含む財政再建へと向かうことになります。
2015年、ギリシャ問題が再燃
急進左派野党が緊縮財政の撤廃を掲げて政権交代
さて、いったんは収束したかに見えたギリシャの問題が2015年に再燃します。
SYRIZAという急進左派の政党が緊縮財政の撤廃を掲げ躍進。
ギリシャは、欧州債務危機が発生して以降、EUからの強い要請で緊縮財政を行ってきました。財政赤字は急激に減少しましたが、一方で景気がなかなか回復せず、2013年まで大幅なマイナス成長が続いていました。2014年にようやくプラス成長に転換しましたが、失業率は25%と高いままです。ギリシャ国民はこうした状況に不満を募らせていたわけです。
SYRIZAは政権交代に成功し、若々しい首相が誕生します。
アレクシス・ツィプラス
ところが、というか、当たり前ですが、欧州各国はこれまで通りの緊縮財政と借金の支払いを要求し、ギリシャの借金を減らす交渉はいきなり停滞することになります。
影響は限定的?
2009年~の欧州債務危機ほどの騒ぎになっていない背景には、ギリシャがユーロ圏には留まる(最終的には妥協して緊縮財政に戻る)との見方に加え、たとえデフォルトしたとしても、危機管理プログラムが整備されているということがあるようです。
しかし、こうした事態にもかかわらず市場は思いのほか冷静です。その理由は、新しく首相に就任した急進左派連合のチプラス氏が、EUとは緊縮路線の見直しについては交渉するものの、ユーロ圏にはとどまるとの発言を何度も行っており、ユーロ圏離脱を決断する可能性は低いと認識されているからです。
また、仮にギリシャがユーロ圏を離脱したとしても、市場に与える影響はやはり限定的といわれています。ギリシャ経済の規模が小さいこともその理由の一つですが、欧州債務危機を発端として、財政破たんに対する危機管理プログラムが整備されたことが市場に大きな安心感を与えています。
支払うお金がない
その後、再建策をめぐる交渉がだらだらと続きましたが、ついにギリシャは返済のためのお金がないと開き直りを始めます。
ギリシャ政府は24日、追加金融支援について国際債権団との合意に達しない限り、6月に国際通貨基金(IMF)へ返済するための資金はない見通しを明らかにした。
無いものは無いというわけです。
そして、お金に困ったギリシャは、ついにドイツが第2次世界大戦でギリシャに与えた被害を勝手に推計し、賠償金の要求を始めますが、ドイツはこれを一蹴。
第2次世界大戦中にドイツから受けた損害に対する賠償金の支払いをギリシャが執拗に要求していることについて、ドイツのガブリエル副首相は「ばかげている」と発言した。ギリシャ政府は賠償額を2787億ユーロ(約36兆円)と推計している。
ということで、いよいよギリシャの財政は厳しくなっているようです。
今後も動向を追っていきたいと思います。
ちなみに日本は?
日本は、GDP比での債務残高で見ると、ギリシャよりも借金が多い国となっています。
では、なぜ日本はギリシャのように騒がれないのでしょうか。
円建てで発行している
日本は円建てで国債を発行しています。
ですから、最悪、お札を刷ってインフレさせてしまえば、借金を返せます。
もし国債をドル建てで発行していれば、いくら自国通貨をインフレさせても、同時に自国通貨の価値がドルに対して下がっていくため、ドル建ての借金を返済できなくなってしまうわけです。
円で発行しているから大丈夫というわけですね。
ただ、いずれ返せなくなるとインフレが起きるので、給料を貰っておらず、現金の資産しかない人は資産が目減りしていくことになります。
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