はじめに
M&Aとは何か知りたいという方へ。
本記事では、以下のようなM&Aの基礎知識を解説しています。
- そもそもM&Aとは何の略?
- M&Aの意味や読み方は?
- M&Aをする理由や目的は?
M&Aについて、最初に学ぶべき内容を簡単にわかりやすく解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
written by @raq_reezy
M&Aとは何の略?意味や読み方を解説
M&A(エム・アンド・エー)は「Merger and Acquisitions(経営統合と買収)」の略称です。
会社や事業の買収あるいは経営権の取得を意味しており、具体的には、以下のような手法があります。
M&Aの主な手法
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 合併
- 会社分割
M&Aをする理由は?目的や動機を簡単に解説
企業はなぜM&Aをするのでしょう?会社や事業を買う側、売る側それぞれから、理由や目的を見ていきましょう。
M&Aの理由・目的(買う側)
M&Aで会社や事業を買う側の目的は、大きく4種類あげられます。
M&Aで会社や事業を買う理由・目的
- 時間を買うことができる
- 技術や人材を買うことができる
- 規模を拡大して効率化できる
- 事業を再生させて稼ぐことができる
それぞれ、詳しく解説していきます。
(1)時間を買うことができる
新しい事業を自分たちで立ち上げようと思うと、時間が掛かります。
まずは、人を採用しなければいけません。それから、サービスの開発を始めて、マーケティングを行い、黒字化まで行き着く頃には何年も経っていることも多いのが現実です。また、そもそも経営活動というのは他社との競争でもあるので、後から参入しても、市場が残っておらず、黒字化まで辿り着けない可能性も十分にあります。
それであれば、多少お金が掛かっても、自分たちがやりたいと思っている領域で、先行してすでに黒字化している事業を買ってしまおうという発想になってもおかしくありません。
(2)技術や人材を買うことができる
次に、買収対象の企業が保有している技術や人材が欲しいというパターンもあります。
具体的には、以下のような技術や人材を持っている企業が買収対象になります。
買収対象となる会社
- 既存事業の生産性を上げるために必要な技術や人材を持っている会社
- 新しい事業を立ち上げるために必要な技術や人材を持っている会社
対象企業の事業が上手くいっていない場合、こうした技術や人材を安く手に入れて有効活用できる場合もあります。一方で、必要な人材が買収後に会社をやめてしまうと意味がないため、社員などが会社に残るであろうことを確認する必要があります。
(3)規模を拡大して効率化できる
業界再編を目的として、M&Aが行われることも多いです。
市場が急速に拡大している時期には、多くの企業が黒字化を予想して参入します。しかし、市場の成長が減速してくると、市場規模に対して、企業の数が多すぎたということが往々にして発生します。そうすると、損益分岐点を超えず、黒字化が見込めなくなってしまいます。
こうした事象は縮小している市場でも発生します。これまでは十分な市場規模があったけれど、市場が徐々に縮小していく中で、各企業の売上が下がって、損益分岐点を割り込んでしまう、もしくは、利益率が下がってしまうといったパターンです。
このような場合には、企業の数が減ることで、一社あたりの売上が増えるので、利益が見込めるようになります。そのため、企業同士の買収や合併などが行われて、業界が再編されます。
(4)事業を再生させて稼ぐことができる
最後に、事業を再生させて稼ぐというパターンもあります。
単に、現在の経営者の能力が足りていない、もしくは環境や条件が悪いだけで、手を入れれば事業として成り立つと判断できる場合、赤字の事業や会社を取得して、事業を再生させることで利益を生み出すことができます。
PE(プライベートエクイティ)ファンドなどは、このように経営がうまくいっていない企業を事業譲渡や株式譲渡を通じて取得して、経営を改善し、利益を生み出すようになったら高いバリュエーションで売却するという方法で稼いでいます。このようなM&AはディストレストM&Aと呼ばれています。
M&Aの理由・目的(売る側)
次に、会社や事業を売る側の理由や目的を見ていきましょう。こちらも大きく4種類あげられます。
- 経営者がまとまったお金を手にできる
- 経営を誰かに引き継げる(事業承継)
- コア事業にリソースを集中できる
- 事業を飛躍的に成長させることができる
(1)経営者がまとまったお金を手にできる
まず、基本的に大きいのは、経営者がお金を手にできるという点です。
基本的に、会社と経営者というのは財布が別です。会社が儲かっていも、そのお金を自由に使うことはできませんし、そこから自分に大きな給与を支払うと、所得税が重くのしかかってきます。
例えば、会社の利益がざっくり1億円で、それを自分に報酬として払った場合、半分が所得税で持っていかれると、毎年、約5,000万円しか自由に使うことができません。一方、この会社が例えば利益の5倍(5億円)で売れた場合は、株式の譲渡所得税(20%)を支払っても、約4億円を一度に手にすることができます。
4億円あれば引退して楽しく余生を過ごしてもよいですし、次の会社を立ち上げて、また売却することで、どんどん資産を増やすこともできます。
(2)経営を誰かに引き継ぎたい(事業承継)
次に、経営を誰かに引き継げることを理由・目的とする場合もあります。
例えば、以下のような場合に、事業を誰かに引き継ぎたいと思う場合があります。
経営を誰かに引き継ぎたい理由
- 経営があまり上手くいっていない
- 事業は問題ないが、他のことがしたくなった
- 高齢で後継がいない
(3)コア事業にリソースを集中できる
企業が、複数の事業を行っている場合を想像してみてください。
規模の大きな事業や伸び盛りのコア事業もあれば、あまり成長していない小規模な事業もあるでしょう。その場合、コア事業以外を売却して手放すことで、コア事業に社員等のリソースを集中させるという判断がなされることがあります。
(4)事業を飛躍的に成長させたい
上の3つは、いずれも今の経営者が事業を手放したいという意味合いでしたが、必ずしも事業を離れたいという目的だけで会社が売却されるわけではありません。
さらに事業を伸ばすために、大企業に会社や事業を売って、大企業の一部門として事業を成長させたいという場合もあります。大企業のリソースや繋がりを用いることで、飛躍的に事業を成長させられる可能性があるためです。
たとえば、ソラコムというIoT向けのSIMを提供している会社は、ずっと玉川さんという方が経営されていますが、KDDIグループに売却されることで、KDDIのリソースを活用して成長しており、今でも上場を目指しています。
まとめ
今回は、以下の内容を説明しました。
- M&Aとは
「Merger and Acquisitions(経営統合と買収)」の略称。会社や事業の売買を指す。 - M&Aで買う側の理由・目的は?
(1)自分で立ち上げるのではなく、すでに出来上がっている事業を買うことで時間を買うため、(2)技術や人材を手に入れるため、(3)同業他社を買収して規模を拡大するため、(4)買った事業を再生させて稼ぐため、など - M&Aで売る側の理由・目的は?
(1)まとまったお金を手に入れるためため、(2)事業を誰かに引き継ぐため、(3)会社の事業を整理して、コア事業に集中するため、(4)大企業入りして、事業を飛躍的に成長させるため、など
以上になります。
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