「18歳という統計的なファン層をターゲットにしない」。Jay Zが音楽業界で成功し続けてきた理由とは。

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part1:「彼女は言葉への愛をくれたんだ」。JAY Zが語る小学6年生時の担任の存在。

part2:「18歳という統計的なファン層をターゲットにしない」。Jay Zが音楽業界で成功し続けてきた理由とは。

part3:「次の日にはリークするかもしれないアルバムを500万ドルで買い戻した」。JAY Zが眠れない日々を過ごしたBLUE PRINT 3の裏話。

part4:「多くの人がそこで過ちを犯してる」。Jay Zが他のアーティストとステージに立つ理由。

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幼少期から触れた音楽への愛と決断

インタビュワー:

君は26歳まで1stアルバムを録らなかったって言ってたけど、自分で音楽を書いたりはしてたの?

 

Jay Z:

してたね。俺はいつでも音楽の近くにいたんだ。

俺の両親はたくさんのレコードのコレクションを持っていたから、俺は小さい頃から音楽を聴いていたし、音楽を書いてたし、音楽への愛を持ってたんだ。

俺は音楽に集中は出来てなかったよ。近所や周りの環境に囚われてたんだ。でも、いつでも音楽と一緒にいたし、いつも音楽に帰ってきた。それで、ある日ついに決断をする地点に来たんだ。自分が好きなのは音楽で、音楽こそがやりたいことだ。そろそろ本気にならないといけないって。自分の全てを掛けるって決めたら、そこからは振り返らなかった。

 

インタビュワー:

それで君は自分が育った場所を克服することが出来たんだね。

何が起こったのかな。ドラッグ・ディールがあったりして、人生が台無しになる場所があって、でも君はそこには行かないって決断したわけだ。

 

Jay Z:

そういう決断は俺たちの多くが経験することだ。

俺はいつも人が周りにいたんだけど、そんなとても良い人たちも13年間刑務所に入ったりして、不正ばかり見てきて、そういう環境にいたら、どこかで決断をしなきゃと思うものなんだ。それで俺は愛する音楽に集中するって決めたんだ。それが結果として上手くいった。

 

その瞬間の真実を見つける、Jay Zの音楽論

インタビュワー:

継続性について話そう。多くの人が音楽を愛していて、2つか3つアルバムを作って、でも何らかの理由で辞めてしまう。それは君には起こらなかったよね。

 

Jay Z:

それはまたウォーレンが言ってた話に戻るんだけど、原点なんだよ。

音楽もまた株みたいなものなんだ。その瞬間のホットなものがある。ホットなエレクトロ・サウンドやホットなオートチューン使いの声ってのがあって、それからホットな、何でもいいんだけど新しくてエキサイティングなものがあるんだ。それでみんなはそれに従って感情的な判断をするんだ。自分の得意分野や自分のやるべき音楽があるはずなのに、新しいホットなものに飛びついてしまうんだ。でもそれは君のためのものじゃない。

俺の場合は自分の原則があって、自分に、自分が誰であるかに自信を持ってるんだ。もし俺がスタジオに行って、自分のその瞬間における真実を見つけたら、物凄い数の人が俺の言うことに共感できるはずだし、俺のやることを支えてくれるはずだよ。

それは、俺が一番新しいことをやっているからじゃなくて、俺の正真正銘の感情だからなんだ。俺がどう感じているか、どう世界を表現するかなんだよ。原点を持って、自分自身でいることだね。

 

インタビュワー:

君はアーティストとして、全ての新しいものと、みんなが新しいものに魅了されるという状況と戦ってきたということだね。

 

Jay Z:

そうだね、安っぽい光を浴びてるものと戦ってきたよ(笑)。みんなキラキラしてるものを愛してしまうんだ(笑)。

 

インタビュワー:

だからある意味では、君は歳を重ねるのと合わせて、聴衆を引っ張り続けてきたんだね。音楽のトピック自体も、君自身と合わせて育ってきたわけだから。一地点に留まるってのとは違うってことだ。

 

Jay Z:

その通りだよ。

だってヒップホップ自体がそもそもまだ出来て30年くらいの音楽なんだ。ヒップホップってのは凄く新しいジャンルの音楽なんだよ。だから俺たちはまだヒップホップという音楽が成熟するのを目撃していないんだ。まだ一度も、成熟したことはないんだよ。 だからみんな、ある程度の歳になっても、まだ若い層ってのを相手にラップしたがるんだ。ヒップホップは”若い奴のスポーツ”だったからね。

でも、18歳でヒップホップを聴いていた人ってのは28歳になってもヒップホップを聴いてるはずだろ。ただラッパーの方が、その人達に向けたラップをするのを辞めてしまうんだ。いや、辞めてしまっていたんだ。ラッパーがみんな、18歳という統計的なヒップホップのファン層を相手に語りかけていたんだ。 だから28歳になると聴くものがなくなっちゃうんだ。誰も君に共感できるものを作ってくれなくなるからね。

だから俺の場合は18歳を相手に作り続けることはしないってのが全てだったんだ。自分が好きな物を作って、自分の音楽を成熟させてということをして、ラッキーなことに俺にとってそれは正しい判断だったんだ。

 

ヒップホップは最初からずっと野心的な音楽だった

インタビュワー:

多くのアーティストは最後には全てを失ったり、レコード会社にとっては付け歯のようなもだったと気付くことになるよね。そうならないためには、音楽の才能があるということだけでなく、その才能をビジネスとして扱うことが大切だと気付いたのはいつ頃からなの?

 

Jay Z:

それは音楽業界の大きなトリックだと思うんだ。「君はアーティストでいたいなら、お金を稼いじゃダメなんだ」って説得してくるんだよ。実際には物凄いお金を稼いでる人がそう言うんだ(笑)。全部でっちあげてると思うんだよ(笑)。特にロック&ロールの世界だと顕著だよね。物凄いお金を稼いでるのに、全然成功してないかのように振舞わなければいけないんだ。そうじゃないと彼らのキャリアにとって傷になってしまう。

その点ヒップホップは最初からずっと野心的な音楽だったんだ。いつだってアーティストがやるべきでないことみたいな壁をぶち破ってきたんだ。

結局のところ、アートとビジネスをきちんと分けていれば、たとえば音楽を作るときにビジネスのことを考えてなければ、それで良いと思うよ。何故なら、音楽はどこかでリアルでないといけないからね。聴く人の心に触れないといけない。聴かれたときにリアルなものとして響かないといけないんだ。だからスタジオではアーティストとして音楽を作って、その後で世界にマーケティングをするというのなら、何一つとして問題はないと思うよ。一切おかしなことはないんだ。

 

「次の日にはリークするかもしれないアルバムを500万ドルで買い戻した」。JAY Zが眠れない日々を過ごしたBLUE PRINT 3の裏話。に続く。

 

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