当初はアルバム名が『To Pimp A Caterpillar』で頭文字がT(u).P.A.Cになる予定だった。ケンドリック・ラマーのインタビュー和訳。

公開日: インタビュー

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この記事はMTVのインタビュー動画を和訳したものです。

Translated by Peter Gardiner

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アルバム名は、当初『To Pimp A Caterpillar』となる予定だった

インタビュワー (Rob Markman)、アーティスト (Kendrick Lamar)

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インタビュワー: よう!Kendirck!

ケンドリック・ラマー(以下ケンドリック): よう!

インタビュワー: 今日、こんな形で会えたのは最高だぜ。

ケンドリック: そうだな!最近どうなの?

インタビュワー: いい感じだぜ!お前こそどうなの?

ケンドリック: いや、作曲で忙しかったよ!

インタビュワー: それもなんとなく伝わってきたよ。

ケンドリック: そうだろ。

インタビュワー: こういう機会はあまりないけど、必ずこういう時ってやってくるよな。アルバムができるたびにお前と話しているような気がする。ODのfreshmanカバーアルバムの時にもそうだった。

ケンドリック: あったな。何年か前の話でなんだか懐かしいな。

インタビュワー: Section 80の時にも少しだけ話す機会があったよな。

ケンドリック: そうだな!

インタビュワー: 前回、インタビューしたのは『good kid, m.A.A.d city』が発売される3日前だった。その時にアルバムがリークしていたから、話のネタを集めるために必死で曲をさがしてみたよ(笑)。

ベガスでやったインタビューも最高だったな。今回は『To Pimp a Butterfly』についてだな。

ケンドリック:  “Journey”(今回もいろいろあったぜ)

インタビュワー: 今回のアルバムで相当努力したのもわかるよ。アルバムが完成して発売されてからひと段落した時期はいつ頃だった?

ケンドリック: もちろん、ひと段落した時期はあった。ファイナルミックスの時だった。俺にとってアルバムを作ること自体がとてもスピリチュアルなプロセスなんだ。音楽にとても集中しなければならないから。その作業はとても大変で、今までに世界中で経験してきたことや、過去の会話や感情などをまるで自分がその場にいるような状態を想定しなければならないからな。自分が最初にインスピレーションを受けた時も、実際にその時だったわけだから。その時の記録をテープに残したわけでもないから、過去の記録を思い出すためにその時にあった人たちと6-7ヶ月から1年かけて話す機会を設けたりして、それだけでもすごい体力を使う。それが終わってからほっとした。まあ最高だったけど。

インタビュワー: 今回のアルバム『To Pimp A Butterfly』を作ろうと決めたのはいつごろだった?アルバムを作る前からコンセプトは決まっていたのか、またはスタジオでのレコーディング時や撮影の時に思い浮かんだものだったのか?

ケンドリック: アルバムのコンセプトは自分の中で決まっていた。ただ、タイトルは最後まで決めてなかった。タイトルがまだ決まってなかった時、『To Pimp a caterpillar』にすればどうなのって最初に勧められたんだよ。『To Pimp a caterpillar』はまさにこのアルバムの最初の名前で、その理由はタイトルの頭文字Tu-P-A-Cにあるんだよ。まあ、過去にTupacとのインタビューの意味も含めての事だったけど、結局、途中でButterflyに変えた。Butterflyの方が生きていく上での明るさを強調しているし、Pimpからは攻撃性を感じ取れる。言っていることはわかるかな?その他にも、この業界でうまいように利用されずに、アーティストとしての自分の人生を歩んでいけていることも、もう一つの理由としてある。

インタビュワー: なるほど。

ケンドリック: そこから更に別の話とつながっていくんだけど、時間があればもっと深く話せるんだけど。

インタビュワー: へぇ、『To Pimp a caterpillar』になっていたかもしれないのか。

ケンドリック: そう、caterpillar(いも虫)な。そのアイデアをくれたやつらに感謝だぜ。最高だよ。

インタビュワー: 感謝の気持ちがめっちゃ伝わってくるよ!

ケンドリック:うん。Top dogに紹介してもらった時には本当に驚いたぜ。普通だったらそんなこと考えないだろ!?

 

「もし自分が大金を手にしたらどうするか」等、学校で教えてもらえないことをアルバムで語っている

インタビュワー: 最初の曲”Wesley’s Theory”から始めよう。トラックリストやタイトルを調べたりしけれど結局、Wesleyが一体誰なのって思ったよ。だけど、この曲で”When I get signed, homie I’mma act a fool”って歌うとき、まさに、そのフレーズでどんなキャラクターなのかを感じ取れたよ。

ケンドリック:そうだな、このアルバムの中で一番好きな曲の一つだよ。まず、自分が契約を結んだ日からやりたかったこと思い出しながら、歌詞にその時の気持ちを表した。歌詞に込めている考えや気持ちは事実だから。お金を稼ぐようになっても、過去のメンタリティーを思い出せるように。わかるよな?俺は自分の仲間のためにも、そいつらが見たこともない外の世界を教えてやりたかった。デビューの時にあったそういう気持ちがこの曲を作る上での原動力になったんだよ。全ての出来事は貴重でまるでタイムカプセルのようだった。わかるよな?タイムカプセルと言ったけれど、実はこのアルバムのテーマが何よりも好きだ。もし自分が大金を手にしたらどうするか、とか、学校で教えてもらえないことをアルバムでは語っている。昔はいつも学校にいて、捕まらないように逃げまわったり、法律を破ったり。自分が成功した時に大金を手にするわけだけど、実際にどうすればよいのかが分からなかった。わからないままでいればまた刑務所に入れられるのかい?今度は脱税で。

インタビュワー: 歌詞で “Unexpected but I got a million-dollar check, like that”.(おもいがけず、いきなり100万ドルを受け取った)ってあるよな。

ケンドリック: あるな。

インタビュワー: その時は準備ができていないわけで、その話がWesley Snipesとリンクするんだ。

ケンドリック:(大金を稼いだ時)誰もがこんな準備ができていないんだよ。だから重要なんだよ。他の事に関しては普通に教わるけどな。

インタビュワー: じゃ、君はどうやって教わったの。曲“When I get signed, homie I’mma act a fool”(俺が契約を結べば、自分は好き放題にやる)って言うよな。君が演技しているとも思えないし、ものすごく自分を変えたようにも見えないし。俺には見えてないだけかもしれないけど、表に出していないだけなのか?しっかりしているイメージがあるからな。

ケンドリック:まあ、俺の場合は他人に教わったわけでもないが、代わりに神から教わったのかも。神に教わったような気がする。自分が100%知っているつもりで言うわけでもないけど、ステップごとに説明してみる。幸運になればなるほど更なる成功がやってくる。このようなことは学んでいくしかないし、お金の使い方もそうだ。自分が力を入れていることを受け入れたり、現状を受け入れたり。自分がいくら貧乏や裕福であろうと、その現状から逃げられないわけだから。そういうシステム(社会)だからこそ、音楽を通して子どもたちに教えたい。最終的には学校の教育じゃなくて自分次第だってことを。

インタビュワー: アルバムの曲を聞いていると、いろんなことを想像させられるけど、その理由は最初の曲とアルバムカバーにあるかもしれない。アルバムやアルバムカバーを通して解決策を探ろうとしているような感じになる。アルバムカバーでみんなふざけた感じで写っているけど、それを選んだ理由はなんだったの。何かを伝えているような気がするけれど。

ケンドリック:そうだな、まあ、理由はいくつかあるよ。まずはWesley Theoryの意味がある。なぜなら、その曲にインスパイアされてカバーを作ったから。そこで、自分の近所に住んでいるやつで、話したこともないやつらを無理やり外の世界に連れて行くことを表している。彼らには見せなければならないんだよ、それがホワイトハウス、アフリカやロンドンであろうと。

インタビュワー: そうだな。

ケンドリック: うん。だから彼らに見せないといけなんだ。それが一つ目の理由になるけど、まあ、もうちょい深くなるけどな。(笑)

 

「俺はゴーストライティングの仕事をしたこともあった」。ケンドリック、ゴーストライターについて語る。

ケンドリックはゴーストライターに言及するとき、今誰がゴーストライターを雇っている等ではなく、これから出てくる新しいアーティストに語りかけている。

インタビュワー: 次に進もうか、まだたくさん聞きたいことがあるからな。数週間も続けてアルバムを聞いていると質問が増えてくる。”King Kunta”を聞いていると何かのメッセージ性を感じ取れる。全曲の中、一番ラップがある、自分の胸をたたくような。おい聞けよ、お前らに知識を与えていても、俺はまだお前らの王様だからな!(冗談)

ケンドリック:まあ、いろんなとらえ方ができるよ。まあ、今回は、俺が普段書いているような歌詞のように複雑にしたくなかった。それでも、メッセージ性は残しているけどね。曲で使っている同韻語や構成はシンプルにしてある。(Markに対して)お前も結構、詳しいだろう。何か試しに言ってみてよ(笑)!今回の曲に関しては、本当にシンプルにしたくて、いろいろと自慢したかった。それと同時に、誠実性も取り入れようとした。今まで、俺はいろんな事で捕まった。黒人であるだけで自分や自分のご先祖様も捕まってきた。彼らはいろんなことで捕まってきたかもしれないけど、そのネガティビティを逆に誇りに思う。そして、自分の物にして他人に何を言われようと俺は王様だからな、って言う気持ちも伝えたかった。それもそうだけど、やっぱり自分のハート(自分の全て)を表現しているな。

インタビュワー: 曲の途中で”with a ghost wirter”(ゴーストライターと一緒に)って言っているけど、それって一体どういう意味なの。ヒップホップの世界ではゴーストライターを使うのが絶対にダメな時代があった。見つかったら、その時点で人生の終わり。でも、今では徐々にそういうことも受け入れられるようになってきたような気がするよ、ヒップホップの世界でも。自分もちょっと気になって聞くんだけど、この件に関して君はどう思っているの。

ケンドリック:俺はゴーストライティングの仕事をしたこともあった。だから、この仕事にはどれだけ努力や道徳性が必要かも分かっている。最終的にはこうしたゴーストライターをアーティストがリスペクトすることは大切だ。だけど、ライターたちをリスペクトするのもそうだけど、やはりこれから出てくる新しいアーティストは自分の仕事に責任を持って、ヒップホップのコードを誇りに思わなければならない(自分で歌詞を書かないといけない)。これは、すでにアーティストとしての基盤を作り上げた人たちのことを言っているわけではない。現代に生きる子供たちに向けての言葉だ。こういうことも教わってきた。けれど、時代に適したことを教わるだけではなくて、常にクリエイティブにならなければならない。できるだけクリエイティブになって、助けが必要になればその助けを受け、最後に相手に感謝する。それだけのことだよ。

インタビュワー: ゴーストライターって具体的にだれのことなの。それについて話せるかな。

ケンドリック:いや、誰がゴーストライターかは話せないな。

インタビュワー: 話してくれないだろうなって思っていたよ。(冗談)

ケンドリック:まあ、そうなんだけどそれが。。。

インタビュワー: 要するに、これからの世代のことだよな。

ケンドリック:これからの世代のことだよ。別に特定な人について語っているわけでもなく、これからの子供たちのことだよ。

インタビュワー: なるほどな。なるほどな。

ケンドリック:自分のペンにも感謝をし、誇りに思わなきゃ。だって、成長こそがすべてなんだから。

インタビュワー: そうだな、そういう考え方の持ち主で俺はほっとしている。どんな時でもお前が大目に見ていたこともそうだけど、とにかくその姿勢が聞けてよかった。お前を褒め称えてあげたい。

ケンドリック:ありがとうな。

 

コンプトンで生き残ったことへの罪責感があり、少しでもポジティブなことに影響力を使いたい。

インタビュワー: 君についてもっと深く知りたい。

ケンドリック: もちろん。

インタビュワー: このアルバムはある所へ導いてくれているような気がする。そして、俺にとって君がそのターニングポイントのように見える。アルバムの曲を聞いていてそれを感じ取った。これから本題に入ろうか。よくある話だけど、お互いのことをわかり合えていることもあって、テキストメッセージを送信したりすることもあるだろう。そんな特別な理由があるからとかじゃなくて、単純に火曜日だからとか。まあ、今日はそんなノリでいこう。曲の中で君がうつになったり自殺を考えたりしたと言っているけど、それがもし本当ならどんなの意味があったのか?何かそう考えるようなきっかけがあったの?

ケンドリック: あの曲は過去の出来事だけじゃなくて、たぶん、俺の人生そのものなんだよ。『good kid, m.A.A.d city』の時に書いたような出来事も含めて。今回のアルバムはあのアルバムほど攻撃的で暗い感じではないと思うけど。結局はコンプトン時代の記憶や、経験してきたことを取り出していく作業になった。まあ、コンプトンから離れる時の出来事を含めて、自分が経験してきた変化やそれを受け入れてきた自分のこととか。それが一番大変だったよ、変化を受け入れることが。俺が一度、ツアーでバスに乗れば、俺の育った町や家族に何が起こっているのかもわからないし、俺の手に届く範囲内にいるわけでもないからどうにもならないってこともある。(外の世界に出たらそれが当たり前だけど)最初はそれを受け入れることが出来なくて、健全な自分とそうでない自分の間に細い線が引かれるような感じだった。自分が混乱していくうちに気をつけないと、自分の心がやられていくこともあるし。そうだな、まあ、そういう出来事があるから息抜きすることが必要なんだ。だから俺は作曲をするんだよ。このアルバムがリリースされた時に自分にこう言った。この曲はこのアルバムには欠かせなかったと。言い方を変えるなら、今回のアルバムのテーマはリーダーシップなんだ。それは物事をどのように行使すれば良いのか。喜悪のために。お金や知名度をどうすればうまく利用できるのか、どう‘pimp’すれば良いのか。ポジティブに’pimp’するのかネガティブに’pimp’するのかとか。

インタビュワー: なるほど。

ケンドリック: 俺にとってポジティブとは、知り合ってきた人たちと経験したことを共有したりすることだったり、最後に”i”に戻ってきて、自分を愛することを歌うことなんだ。

インタビュワー: Good kid, m.A.A.d cityのボーナストラック’Black Boy Fly’に関心を持っているんだけど、曲の途中で君と同じ場所、コンプトンで育ったNBA選手、Arron Afflaloについて嫉妬しているっていうよな。それを聞いていると、彼もお前も同じCompton Caterpillarsに見えるけどな。

ケンドリック: そうだな。

インタビュワー: That turing the butterflies, he turns into a butterfly and there was a jealousy and an envy that he got out to see the world and make it out.
(Uからの歌詞。彼が蝶になって外の世界を知るようになってから嫉妬心やうらやみが出てきた)

ケンドリック: その通りだ。

インタビュワー: そこから君はA Friend never leave Compton for profit.(友達は利益のためにコンプトンを離れることはない)って言う。

ケンドリック: そう、そう。

インタビュワー: 俺はなんか生存者罪責感を感じるんだけど。

ケンドリック: 間違いなく生存者罪責感はあるよ、うん、アルバムには不快な感じで紹介されているよな。うん、そうだな、どうやって俺の影響力をポジティブな面に使えるか。俺がいつも関わってきた事をやっていたら、外から町に入ってくる人たちに対して見せる顔も無くなるからな。そうだな、俺がこんな事をしつつ、どうすればポシティブになれるのか。まあ、それが生存者罪責感の一部ではある。100%正直に言えば、ツアー中は常にこういう事を考えているよ。

インタビュワー: あれ。楽しんでいなかったのかい?

ケンドリック: 楽しんでいるって?もちろんさ、Kanyeのツアーとかな。だけど、Kanyeのツアが海外でスタートする前、いろいろやらなければならないことがあって、夏っていうのに俺の知り合い3人に不幸なことが起こった。

インタビュワー: そうだったんだね。

ケンドリック: ただの知り合いとかじゃなくて、本当に俺に近いやつらだったからな。こいつらは、幼いころから一緒に育ってきたから本当に辛らかった。俺は彼らの人生をまるで歩んでいるのかのようにわかるから、自分が混乱することもあった。言っていることはわかるよな、でもこういう現実も実際にあるわけだし、俺がツアーのバスから一回降りて、お葬式に参加したりすることもあった。自分の母親やおばにあの世に行った子供たちの話も報告した。

インタビュワー: 君の妹について。えっと、君の妹が妊娠したことで、彼女がまっとうな道を歩むことができなかったって歌っていたよな。

ケンドリック: そういうことなんだよ。俺の妹や従兄弟たちや、成長期の自分の周りにいる子供たちもな。どうすれば、こういった人たちの声となって世界中に現状や過ちを伝えることが出来るか。

インタビュワー: そうだな。

ケンドリック: そいつらは俺に一番近いからな。難しいわけだよ。あいつらにとっても難しい問題であり、途中で間違いを起こすかもしれない。相手が間違いを起こせば、自分が悪いんだなと、個人的に自分を責めているけどな。

インタビュワー: そうか、そんなプレッシャーを自分にかけていたのか。

ケンドリック: そうだよ。

インタビュワー: 相当なプレッシャーだな。

ケンドリック: 自分がわかっているようでわかっていないような。何で自分がそうなのかもわからないけど、おそらく自分が育ってきた環境に影響されているような気がする。

インタビュワー: ‘U’の次は’Alright’だったな。この曲を聞いていると前の曲で感じた辛い思いが急に、「俺が車を運転しながら聞いていたら突然、気持ちが楽になった」みたいな感じで変わるよな。実際にはそんな素早くいろんな出来事が起こるわけじゃないけど、いつ頃から自分自身が大丈夫だと思えるようなってきたと思う?

ケンドリック: 俺が大丈夫だと思えるようになったときか。そうだな、旅を重ねていくうちにそう思えるようになったかな。俺がアフリカに行ったときに現地の人たちが直面している問題を見て、彼らは自分の10倍以上に辛い思いをしてきたんだなと思った。俺が育ってきた環境よりも悲惨だった。アフリカに行った事によってすごくインスパイアされたし、南アフリカを訪問することでアルバムの曲をたくさん作ることが出来た。その時に気づいたんだよ。この状況を踏まえて自分がプラスになるのか、それとも自分が被害者意識を持ち続けるのか。わかるよな、それがおれのターニングポイントだったんだよ。

 

「赤の他人と話せた体験は、1ドル札を渡す価値以上のものがある」

インタビュワー: Ok.もっと詳しく聞きたいな。

ケンドリック: ああ、いいよ。

インタビュワー:それから「How Much A Dollar Cost」。君が引きつける、まさにヒップホップファンとして感謝したい気持ちがある。アルバムから何曲か聞いていると、途中で「えっ」ってなって巻き戻す時があるんだよ。

ケンドリック: そうだな、本当の話だからな。

インタビュワー: 続きをおしえてくれ。

ケンドリック: ヨハネスブルグの話になるけど、いつもその時の事でアイデアが出てくるんだ。自分の想像力を生かしながら、過去に出会ってきた人たちについて書いたりしてな。そこで現地にホームレスや浮浪者を見た瞬間に思ったのが、彼らが人間ではなく死にかけている天使であったらどうなのか。わかるよな、こういったことが、俺が現地にいた証拠になるわけだよ。それで、ちょうどガソリンを入れていた時に彼を見つけたんけど、俺は彼を無視した。もし、俺が育ってきた町に彼を見かけたら、ただの乞食にしか見えないからな。

インタビュワー: そいつらと関わりを持ちたくないわけだな。

ケンドリック: そうなんだよ、関わりは持ちたくない。もし、俺がお金を渡してもその使い道はわからないわけだし、いくら説得してもどうせ違うものに一瞬で使い切って終わるわけだよ。そう思っていたんだけど、いざ彼と話してみると、最初に彼が”God Bless You” (幸運を祈ります)と言ってきて、ここはお前のコロニーでもあるんだよって言われたよ。俺はびっくりして一瞬思ったのが、こういう出来事は他人に1ドル札を渡す価値以上の物があるな、って。人生の中で赤の他人と話せることって貴重だよな。俺が彼と話せたことで感謝したい。

インタビュワー: なるほど。

ケンドリック: 神を通してな、わかるかい。その時、神が彼と話しているように感じ取れて、それも俺と引き合わせるためにな。すごくリアルな旅だったわけで、こういう出来事を貯めておくようにしているんだよ。世界中の人たちへ発信するためにもな。そうやって’How much a dollar cost’みたいな曲が出来上がるわけさ。

インタビュワー: このアルバムで面白いと思ったのが、君がホームレスやこじきを通して神と会話しているように感じ取れるところだよ。君がLucyと話している場面もたびたび出てくるよな。

ケンドリック: あーあ。

インタビュワー: ルシファーの悪魔だな。

ケンドリック: うん、面白いだろ。

インタビュワー: 両面が見えているって言うことだな。

ケンドリック: そうだな。今までにアルバムや曲を作り上げることができたのはポシティブなエネルギーがあったからだけではなく、ネガティブなエネルギーもあったからだよ。それも善悪のやつもな。俺らには常に誘惑があるわけで、その誘惑をアルバムで表現することが自分にとって貴重な財産でもあるんだよ。アルバムを出すことが自分にとって財産ということは、自分の声を届けるだけでなく、声を上げられない人たちのためにもなれるからだよ。Lucyが俺のお気に入りの一つであるのは、善悪という物を見て見ぬふりをするのではなく、真剣に自分自身を気づかせてくれるからだ。俺が思い浮かんだことは俺の目の前で起こっているわけで、それを届けなければならない。

インタビュワー: なんだかんだ言って、ちょっとSnoopを思い出させるよな。

ケンドリック: そうだな。

インタビュワー: “Murder was the case“

ケンドリック: その通り。

インタビュワー: 今はルシファーや悪魔について話してもらったけど、それには彼が感じていた誘惑もあったわけだし、何かの隠喩だと思うんだけど。現代社会では、そういう誘惑は2次会で見られるよな、お酒と女とかで。

ケンドリック: うん、そうだな。

インタビュワー: 裏で取引があったり、汚いお金があるわけだよな。

ケンドリック: 本当、その通りだよ。俺らは毎日犠牲になるわけだよ。わかるよな、こういうことで悩まされるのも大変なんだよ。うん、俺がSnoopと話している時もそうだけど、彼が今までに経験してきた苦難を理解した上で話していたからな。彼が名誉や富を手に入れた時や、強い欲望を手にした時。だから、俺も彼からなんらかの影響を受けていると思うよ。確実に影響は受けていると思う。

(PART2に続く)

「”世代の声”としての立場に責任を持たなければいけない」。ケンドリック・ラマーのインタビュー和訳(PART2)。

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