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俺の友達や知り合いはまだそこにいる

「俺のパートナーがまた近所のやつらにやられるかもしれないと思うとすごく憎しみを感じて、自分が何とかしなきゃならないと感じる」。仲間がまだコンプトンにいるKendrickの葛藤。

インタビュワー: 君にとって一番の試練は何だったと思う。自分の信念が本当に試されるような出来事は無かったの。

ケンドリック・ラマー(以下 ケンドリック): まあ、それは自分がどれだけ本気でメッセージを届けようとしているかと関係してくるよな。例えば、今回のような本格的なリリース向けのアルバムとしては2枚目になるわけで、今回、自分がどのようなアルバムを作り上げるかを考えた時、簡単のようで難しいプロセスだった。2枚目のアルバムには普通、ヒットしそうな曲を詰めていくのが普通だけど、今回はそんな誘惑に惑わされることなく、自分らしいアルバムを作ることにした。かなりの勇気が必要だったけど、これも自分らしさでもあるからな。

インタビュワー: よくNASの『illmatic』と君の『good kid, m.A.A.d city』が比較されるよな。あのアルバムを聞いていて、君がLauryn Hillと一緒に音楽活動をしていくのかと思っていた人たちが結構いたんだよ。その道を選択しなかった君も立派だと思うけど、あえてその道を選んでいたとしても面白かったかもしれないな。

(補足)NASはストリートの生活を詩的に描写したデビュー作『Illmatic』で高い評価を得た後、2枚目のアルバム『It was written』ではLauryn Hillを招くなど、聴きやすさを意識したものを製作しています。

ケンドリック: そうかもしれないけど、俺は自分のペースがあるんだ。これは俺の長期的戦略でもあるからな。

インタビュワー: Michael Jordanみたいにそんな怒らないで!軽く聞いたでけだよ!

ケンドリック: わかってるよ (笑)。とにかく、俺には自分のペースがあるってことよ。

インタビュワー: わかった。

ケンドリック: 自分のペースもそうだけど、今回のアルバムでは特にそれが必要だと思ったよ。

 

黒人を肌の色だけで判断するのではなく、ひとりひとりを違う人間として見てもらいたい

インタビュワー: The Blacker the Berry.

ケンドリック: いいね。

インタビュワー: この曲は最後まで聞いていても、また巻き戻して聞き直さなきゃいけない曲だよな。最初の2つの節では、怒りや不安を全面に出していて、黒人が受ける差別や自分自身が受けて来た差別について語っているけど、3節目から急に変わるよな。

ケンドリック: うん。

インタビュワー: そこで焦点が変わるよな。3節で君は誰と会話しているの。

ケンドリック: その質問を聞いてくれてほっとしているよ。俺にとってな、多分な、大半の人たちは、俺がただ、話していたり、ラップをしていると思っているのかもしれないけど、それは違う。これは全部、俺の経験なんだ。俺が“When gang banging make me kill a nigga blacker than me?”(集団で集まった時に、自分よりも黒い黒人を殺したくなるな)って言うときは、俺の人生、俺の経験について語っているんだからな。

インタビュワー: なるほど。

ケンドリック:わかるよな?

インタビュワー: 黒人全員がそんな経験をしたり、または、ギャングの経験をするとも限らないからな。

ケンドリック: 俺はコミュニティーに対して話していないし、コミュニティーについて話しているのでもない。自分がコミュニティーなんだよ。アルバムのカバーにいる俺の友達や知り合いはまだそこにいるわけなんだよ。わかるかい、俺がどれだけあいつらを別の場所へ連れて行きたいと思っていても、(過去の出来事は)引きずるわけだよ。そういうやつらだからな。自分がその歌詞を書くということは、自分に向けたものであるわけで、今現在も、怒りや憎しみを感じるわけだよ。俺のパートナーがまた近所のやつらにやられるかもしれないと思うとすごく憎しみを感じて、自分が何とかしなきゃならないってなるわけだ。

インタビュワー: その気持ちは自分の中にあって、自分の中で感じるものなのか?

ケンドリック: 常に感じているよ。俺はこの業界にまだ3-4年しかいないけど、コンプトンでは20年も過ごしてきたんだ。忘れられないよ。それと、俺がこの歌詞を歌う時に思うのは、黒人は肌の色だけで判断するのではなく、ひとりひとりを違う人間として見てもらいたいということ。これは俺の歌詞をしっかり理解してくれていない人たちに向けて言っているわけであって、別に雑誌に対して批判しているわけではない。俺の音楽を聞いて、歌詞を読んでくれている人たちに向けて批判しているんだよ。作品について語る前にまず俺のことを知ってもらいたい。まず理解してもらいたい。なぜなら、俺はいろんな経験をしていて、いろんなことを見て来た。俺は自分のコミュニティーを壊すこともしてきたからな。

インタビュワー: なるほど。

ケンドリック: だから、お互いに理解を深めるためにも是非、勉強してもらいたい。

インタビュワー: 今の心境を言ってくれてありがとう。音楽に対する批判を見て思ったのが、おそらくその曲のメッセージはとても考えられたに違いないってこと。

ケンドリック: そう、そう。

インタビュワー: それか、それ以上の意味が詰まっているとかな。.

ケンドリック: その通りだよ。

インタビュワー: なんか、今のことが聞けてかなり明確になって、すっきりしたよ。

ケンドリック: うん、そうだな。でも俺らのリーダ達もすぐつぶされるよな。

インタビュワー: そうだな、その話もしなきゃな。

ケンドリック: 俺からしてみれば、かなり怖いよ。本当に怖いからな。

インタビュワー: それについて詳しく話さなきゃな。もっと深い話がありそうだ。まあ、取りあえず、次の2曲について話を聞きたい。正直に言うけど、俺が最初に”i”を聞いた時、その瞬間で好きになった。もう、なんだかいろいろと合う感じがしてさ。

あのな、仕事へ向かっている途中でその曲を聞きながらツイッターをしているときにloudバージョンが流れて驚いたよ。何でloudバージョンを選択したのか。Loudバージョンは嫌いだな。俺は、何でそんなことをしたのかって思いながらツイッターでつぶやいていたよ。俺はこのloudバージョンが好きでは無いってことを。

ケンドリック: うん、うん、うん。

インタビュワー: 曲の終盤になってやっと理解ができたよ。君がフリースタイルを維持しながら大勢に人たちがいる中での喧嘩を止めようとすることも。何で君はスタジオバージョンではなく、loudバージョンの”i”を変わりに選んだのか?

ケンドリック: まあ、それはアルバムを作る前から決めていたことで、俺の理想のアイデアでもあったからな。俺は最初から何をしたいのかが分かっていた。やることはもう決まっていた。アルバムのコンセプトと一致させる必要があった。100%正直に言うと俺は、映画のワンシーンのようにいろんな事が見えて、それを基に歌詞を書いているわけで、俺にとって第二の天性である能力だよ。どのように伝えたいのかはもうわかっているわけ。いくらグラミー賞を2回受賞したとしても、俺は常に自分のスタイルでアルバムを作る。まあ、人によって、「こいつは何でこんな感じにしたんだ」って言う人も出てくるかもしれない。けど、俺にはそう聞こえているから、そうしているわけだよ。

インタビュワー: 自分のメッセージは伝わっていると思うし、かっこいいと思うよ。自分を愛していると言ってそこから。

ケンドリック: あーあ。

インタビュワー: 人々とつながって、自分を愛すべく理由を明らかにしたよな。

ケンドリック: そうだよ。

インタビュワー: 最後のフリースタイルの感じがかっこいいよ。なぜなら、今までに聞いたことが無いような感じで深く入りこんでいたし、多分、NEGUSの事だよな。エチオピア語で王権を意味する言葉。君はその言葉に基づいて、取り返そうとしているのか。Nワードとネガティビティとかも関係してくると思うし、セッション中にもそれをやろうとしたように見えたよ。

ケンドリック: 君の言うとおりだよ。確かに、やろうとした。まだ、しっくりとこない感じはあるけど、そこが始まりだよ。実は俺のパートナーでもある、Taz Arnoldに感謝しなければならないんだ。音楽を作る過程での感謝だけじゃなくて、もちろん会話をしていく上での過程もな。そこから生み出されたインスピレーションもあるし、俺が最初に注目した人でもあった。

インタビュワー: 最初は調べなきゃわからなかった。ただのラップじゃないってわかっていたし、気づいたらもう調べていたって感じだったよ。

ケンドリック: そうか、そうか。

インタビュワー: うん、本気で調べたよ。

 

“世代の声”としての立場に責任を持たなければいけない

インタビュワー: この曲の面白いところが、オクラホマ大学で起きた事件と同じ日にリリースされたことだよな。これはただの偶然なのか。今回のように、そういう事件と同じタイミングで曲がリリースされた時と、”n”ワードが悪用されると大きなスキャンダルが起こるっているテーマで曲が作られているのもあって、自分の心境はどうなの。同じタイミングで衝突しているようなものだからな。

ケンドリック: 同じタイミングでリリースされると、このメッセージが伝わりやすいよな。俺も100%リアルに話すよ。俺はこのアルバムで何について語りたいのかをあらかじめ決めていた。この業界に入ってから自分の周りや、自分の育った町にいるコミュニティーとの一体感を感じられるようになり、すごくポシティブに物事を捕える事ができるようになった。そういう事件が起きている時と同時並行に曲を作る作業なんて無理がある。そうだったら俺のアルバムがリリースされていなかっただろうし、今からスタジオで正式にレコーディングを始めなければならない。結局、自分じゃなくて、神が頑張ってくれているわけで、物事がこのように進んでくれたことにほっとしている。メッセージが伝わりやすくなるわけだし、常にこういうニュースを見て被害者意識を持つよりは良いわけだからな。

インタビュワー: なるほど、君は被害者にはなりたくないわけだな。

ケンドリック: 俺は被害者のように感じたくないんだ。

インタビュワー: わかったよ。Ok. 伝わってるよ。

ケンドリック: 俺は被害者のように感じたくないんだ。この話をすると長くなるから、とりあえず最初にこのアルバムを出すことから始めようとした。

 

インタビュワー: 最後の曲、Mortal Manなんだけど、この曲にはいろんな人からの影響が反映されているように感じとれる。途中でNelson MandelaがRobben islandで犯罪者として捕まっていた時の話もな。Nelson Mandelaもそうだけど、Martin Luther King Jr.、Malcolm (X)とMichael Jackson に対しても、自分らのヒーロ(英雄)として称えている事もな。”When shit hits the man, is you still a fan?”「メディアから批判されても、君はファンに変わりはないよな」。って言うけど、君はその発言と同じ方向に進んでいると感じていたりするの。なんか、君の人生もそうかもしれないけど、この世代の声になってきているような気がするよ。

ケンドリック: そうだな。

インタビュワー: それと、Nelsonも偉大な人であったわけだし、Martin (Luther King Jr.), Malcolm(X),とMichael Jacksonと同じ方向に直進しているようにも見える。こんな事を聞くのは失礼かもしれないけど、君はその役割を全うしなければならないと考えているのか。

ケンドリック: まず、最初に言っておかなければいけないのは、MandelaやMartin Luther King Jr. のように成し遂げるには何年もかかる。だけど、この時代だからこそ、子供たちと毎日顔を合わせる以上、自分に責任を持たないといけないと思っている。俺の音楽が彼らの心を救えると”i”でも言ったように。自分が好きであろうと嫌いであろうと、自分が考えている事に対して責任を持たなければならない。この世代のためにもな。

インタビュワー: 有名人がまるで世界の終りのように、誤解を招くような扱われ方をされることに関して恐れたりとかしている?

ケンドリック: 当然さ。

インタビュワー: それは、君は本当にそう思っていることなの?

ケンドリック: それな。1回、俺に言わせて。本当の話だからな。とある日に、批判が書かれている記事が出で、みんながその内容を読むわけだけど、それに対して怒りを覚える人たちも実際にいるわけだよ。彼らが言ったのが、「一週間前にリリースされたMortal Manの曲は君が書いたのか」。結局は同じことなんだよ。同じことが言いたいわけだよ。我々は、結構、感情的になりながら怒りをあらわにするけど、全体像が見えていない人が多いわけよ。このような事で我々の時代よりも前のリーダたちは苦しい目にあってきたわけ。

インタビュワー: 君が特別に見えるのはなぜか?

ケンドリック: イエス・キリストにも同じようなことがあったよな。彼も俺らと同じ人なんだよ、だから、曲名をMortal Manにしたんだ。それと、事実を受け入れるのもそうだけど、リスナーにも深く考えさせてもらいたい。相手に対して思いっきり愛しているよと言える事や、自分の音楽やメッセージを真剣に信じている事もそうだよ。そういうことなんだよ。

インタビュワー: そういうことだったんだね。えっと、急いで聞くけど、君はArron Afflaloに嫉妬していたんだな(笑)。

ケンドリック: そう、そう、そう(笑)。

インタビュワー: ちなみに、現在、俺はKendrick Lamarに嫉妬していて、なぜなら俺はこのジャーナリズムやインタビューの仕事を10年もやっていたけど、Tupacをインタビューする機会は一度も無かった。気づいたら、君がTupacとインタビューをしていたよな!ずるいよ!(笑)。

ケンドリック: それな。あれは俺のもう一つの財産だ。俺がドイツにいた時にレコーディングを入手して、インタビューを通してわかったのが、彼との年の差があるのにもかかわらず、基本的な考え方はPacと変わらないんだな、ってこと。そこで、彼が君に渡したいものがあると言って、バスの中に入り、(Pacに)質問を聞きながらもらったジョイントを吸っていたよ。インタビューでわかったのが、その時にPacが答えてくれた内容が、今日のためになる答えであったってことだよ。

インタビュワー: なるほど。

ケンドリック: 時間と時代だな。俺は、世界の人々に聞いてもらいたい、大規模な感じで皆に聞いてもらいたい。俺にその機会を与えてくれたPacのお母さんに対する愛もそうだし、感謝の気持ちでいっぱいだ。彼女の息子の声を使わせてくれたことに関してもそう。彼は贈賄者のように俺を誘導してくれたけど、それが果たして良かったのかもわからない。俺は彼のメッセージを続けて発信していきたいと思うし、それをさせてくれている彼にも感謝しているよ。

インタビュワー: そうだな、君は常にPacと近い関係にあったよな。君は自分の人生の中でPacのおかげでとても恵まれて、助けてもらったりもしたんだな。以前、話した時に自分が幼いころに”To live and die in LA”を見たという話をしたよな。

ケンドリック: そうだな。いや、California Loveだったな。

インタビュワー: California Loveか。

ケンドリック: 最初に見たビデオだったよ。その話で思いだしたけど、Compton Swapの上でKing Kuntaを撮影した時の話をするよ。我々がその現場で撮影をしている時に、町の子供たちが下から見ていたんだ。その時に、俺の親友が「こいつらはPacの撮影の時にいた子供たちだからな、今は君を見ているよ」って教えてくれた時に、これはやばいって思ったよ!だって、15年後にPacと同じ事をコンプトンでやっているわけだからな。

インタビュワー: そうだな。

ケンドリック: 美しいよな、うん。

インタビュワー: わかった。もっと話したいが、君は忙しいのはわかっているし、これからもいろんな人と会うわけだから。この貴重な時間をありがとう。

ケンドリック: こちらこそ、ありがとう。

インタビュワー: 君が今回のアルバムに対する気配りや注ぎ込んできたエネルギーを評価したい。レコーディングで注ぎ込んだ努力があったように、我々も真面目に聞きたいと思うよ。

ケンドリック: それはありがたく思うよ。

インタビュワー: 巻き戻して、聞いて。。

ケンドリック: そのためのアルバムであるからな。俺はそうさせたかったわけで、複雑にしたかったんだ。俺が最初のアルバム、good kid, m.A.A.d cityを作った時に、リスナーの中にはいろんな人たちがいるのはわかっていたけど、それでもいろんな困難を乗り越えながらも自分のメッセージを伝える事ができたと思う。今回に関しても、自分は100%のものが出せたと思うし、君やいろんな人たちに理解してもらえていることにとても感謝している。

インタビュワー: これからもよろしくな!

ケンドリック: おう!

 

『 To Pimp A Butterfly』、まだ聴いていない方はぜひ聴いてみてください。

 

・参考

これで丸分かり!去年からシーンを沸かし続けているケンドリック・ラマーとは?

【PICKUP】ケンドリック・ラマー『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』は傑作だった~Kendrick Lamar “To Pimp A Butterfly” / キープ・クール・フール

【解説】To Pimp A Butterfly / しょたぞブログ

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