今注目のテクノロジー集団チームラボも作品を出しているということで、東京都現代美術館で開催されているミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えてという展覧会を見てきました。
個人的に最近テクノロジー×アートのところに少し興味が沸いていてですね、きっかけは石井裕さんがLEXUSとコラボした作品”TRANSFORM”がきっかけなんですけど、その解説で「テクノロジーはネイチャーにエンヴィーしているので、やがてそれを真似ようとしはじめる」というコンセプトをおっしゃっていてですね、言われてみればテクノロジーでの芸術が自然(ネイチャー)を表現したり模写するというのが面白いなぁと。
アナログな芸術である絵画なんかもずっと自然を表現してきたと思うんですね。僕はアートには詳しくないのでどの時代からかは分からないのですが、少なくとも長い間芸術は自然を描いて、神やキリストを描いて(神というのは西洋では物凄く自然な存在だったわけです)というものだったと思うんです。それが、やがて大衆や社会、心の内といったものを描く方向に向かっていったと。
一方でデジタルな美術というのは、もう見るからに人間の臭いや人工の臭いがぷんぷんするわけですけれど、それが自然を表現し、近づいていくというところにロマンがあるなぁと思うわけです。言葉にするとすごく薄っぺらく聞えますが。
それはアートとして見る限りは凄く不毛だと思うんですね。上のTRANSFORMの例でいえば、テクノロジーを使って波を表現したりしていて、そこに何の意味があるんだと言ってしまえば、そこまでなわけです。アートというのは受け手の心の中に何らかの感情や現状への違和感を掻き立てる以外には、得てして必要性や意味がないことが多いですから、それでいいとも思うんですが。
一方で自然現象を理解し、活かし、再現性を持たせるということは人間の発展にとって欠かせないコンセプトだったわけです。エジプトでは定期的な氾濫がないと穀物を育てられなかった。氾濫は人間にとって災害であったけれど、その災害がないと穀物が育てられないわけです。けれど自然を理解して、人間の手で作り変えることによって、灌漑技術とダムの建設でエジプトはたしか19世紀だと思うのですが、そのくらいになって、ようやく氾濫を取り除きつつ農業を可能にしたわけです。人間は神の国まで届くピサの斜塔を作ろうとして以来、あるいはアダムとイブが神の国から追放されて以来、”自然”への挑戦、テクノロジーを用いた”自然”への回帰を止められない生物なのだと思うんですね。そしてデジタルな美術はその象徴なのではないかと感じるわけです。
そういうこともあってテクノロジーによるネイチャーの表現にロマンを感じるのかなぁと思うのですが、とにかく、そういうわけで東京現代美術館に上記の展覧会を見に行きました。
ミッション[宇宙×芸術]-コスモロジーを超えて
ということで上記展覧会に行ってきたのですが、ひとことで言ってしまえば思ってたのと違いました(笑)。
チームラボの作品は物凄くてですね、木に鳥が留まり、また羽ばたいていく、やがて桜が咲いて、蝶々が木の周りを舞うといった様子がメガネなしの3D映像で壁一面に映しだされていたり、物凄いサイズの滝がデジタル映像で表現されていたりしたんですね。
これが3Dの桜の木のほうですね。(『冷たい生命』by チームラボ)
こちらがもうひとつの滝のほうですね。どうやって作るんだ!
他にも真っ白な部屋に黒い物体と描写のみで表現を加えたものとか、凄いなぁと思う作品が多かったのですが、それ以外に結構宇宙関連の写真とか映像とかロケット系の展示とか美術以外のものが多くてですね、あーそりゃあ宇宙芸術=デジタルな美術ではないよなぁと、当たり前のことに気付きました(笑)。
東京現代美術館は地下の図書館も凄い!
というわけで展覧会を見終わって、美術館内をふらふらしていたのですが、なんと地下に図書館があってですね、こちらがまた凄かったです。
ピカソ、モネ、ルノワール、アンディ・ウォーホル、あまりアートに詳しくないので名前が出てこないのですが、およそ名前知ってる芸術家のでっかい作品集のカタログが片っ端からあるんですね。
しばらくパラパラと色々捲っていたのですが、芸術勉強してまた行きたいなぁと思いました。
ということで
この展覧会、デジタルな美術が好きな人なら半分、宇宙も好きな人ならさらに楽しめるのではないかなと思います!
詳しくは東京現代美術館のホームページで確認してみてください。
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