「色を明るくすることで、人の感情も明るくしたい」。ファレル・ウィリアムズの”色”へのこだわり。

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ダクラ社CEO・クレイグ・ロビンス氏、ファレル・ウィリアムスとの対話(元の動画はこちら

 

色を明るくすることで、人の感情も明るくしたい。ファレルの”色”へのこだわり。

クレイグ:ファレル・ウィリアムさんです。話題の著書『プレイシス・スぺイシス アイヴ ビーン』、素敵ですね。こちらはカバーの色が3色あるんですよね。

ファレル:はい、そうです。

クレイグ:ピンクと青と・・・。

ファレル:んー、緑なんですが、、なんというかその・・・。

クレイグ:特別な色ということですね。

ファレル:なんというかミントのような色というか、ライトターコイズ(トルコ石)色というか皆さんがどう捉えるかは分かりませんが・・。まぁ、アートの世界ですからね。まぁ確かなのは、ウィリアムス家のチョイスということですかね。

クレイグ:なるほど。それでは、気になっていることをお尋ねしますが、なぜ3つの色を今回選んだのですか?色はあなたにとってどういう意味があるのでしょう。

ファレル:どちらかというと機能的な意味でしょうか。私はいつも複数色を重視しているんですが、人々に色の選択肢を提供するように心がけているんです。そして面白いことに、そうやって提供していくうちに、人々はその中から好んだ色を見つけ出して、その色を集めようとすらするんですよね。人々がそのような流れで好んでくれることがありがたいんです。なにせ私は作家ではありませんからね。自分の作品やパフォーマンスを表現する良い機会を人々に与えるような人間なんです。こういう自分のやり方が好きですなんですよ。

クレイグ:そしてクリエイティブな観点からも、仕事をするプロセスの中で、そのような色は例えば音楽においても意味があるようですね。

ファレル:その通りです。色っていうのは、人々へ感情的な影響を与えるものだと思うんです。感情を表に出させてくれる役割というかなんというか・・・。だからもっと軽い色であってもらいたいんです。重すぎたり深すぎたりする色ではだめなんです。なぜなら音楽業界でも本を出版しますが、とにかく色が深いんです。僕の中では、人々には明るく、そして楽しくあって欲しいんですよね。暗い人生を送るのではなくて・・。だからこそ色を明るくすることによって、人々の感情も明るくしていきたいと思うんです。この説明でみなさんに伝わればいいですが・・。

クレイグ:ごもっともです。

 

自分とは異なる分野で自分よりも多くの知識を蓄えている人とコラボレートするのが好き

クレイグ:ファレルさん、あなたは驚くべき様々なキャリアをお持ちですね。パフォーマーとして、プロデューサーとして、ファッション界のリーダー、ブランドデザイナー、そして今は作家としても。なぜこのような多くのプロジェクトを手掛けているのでしょうか。

ファレル:実は根源にあるのはすべて音楽なんです。僕は音楽活動をするようにその他の活動も行っています。音を収集することとか、なんというか自分自身の建物を“レゴ”(LEGO建物などを組み立てることができるおもちゃ)で組み立てていくような感じですかね。その中で、カラーコーディネートをしたり・・・。ちょっと前に戻らせてください。例えば、なんらかのアイディアが浮かび、なにかが物足りないなと思った時に、そこから図式的にはどうなるだろうかと頭の中で描いてみるんです。そしてカラーコーディネートをして組み立てていきます。

そうして、椅子を一脚作ることが一曲の歌を作るのとあまり変わりないということに気づいたんです。椅子には留め金があって、曲にもフックがある。脚があって座や背もたれがあります。角の部分やネジの部分、接着部分など・・音楽でいうコードの構造と同じですよね。でももちろん自分たちで科学的根拠の元でデザインを変えてもいいんですよ。例えば留め金部分が座や背もたれになったりとかね。表現や描写の仕方は個人の自由ですからね。デザインが個々で異なることは全然構わないんです。

クレイグ:なるほど、じゃあ私はきっと椅子は作れないですね・・。

ファレル:ははは(笑)いやいや、いつもクレイグさんの作品は素晴らしいですよ。

クレイグ:まとめると、ファレルさんは常に独自のクリエイティブなプロセスを持っていて、その中で自分を表現することによって、その意味合いにも多様性が生まれているということでしょうか。

ファレル:まったくその通りです。そのような形で違ったプラットフォームを形成しています。ところで、音楽をコラボレートしているように実は音楽以外の世界でもコラボレートすることがあるんですよ。例えば、私は人とコラボレートするのが大好きなんですね。自分とは異なる分野で自分よりもより多くの知識を蓄えている人なんかいいですよね。とにかく僕はそのような人々から新しいことを学びたいんです。要は、僕が何かを学べるような人とコラボレートするということです。例えて言うならば、大学に無償で通うことができていると思ってください。僕はよく子供達に言うんです。幸せになりたいんだったら、お金のかからない自分が夢中になれるようなことを探しなさい、と。そしてそこから2つのことに絞っていくんです。ひとつは無償の人間愛を育むこと、もうひとつは実際に働いてお金を稼いでみること。いくら稼いでいるなんて関係ないんです。要は、僕たちが過ごしている時間が貴重なんです。自分の好きなことに時間を費やすことができるって素晴らしい人生だと思いませんか。僕はいつもこういう考え方をしているんです。

 

プロデューサーには2種類ある

クレイグ:それでは、音楽プロデューサーって、何をする人なんですか。ファレルさんにとっての音楽プロデューサーを教えてもらっていいですか。

ファレル:2つのタイプがあると思います。ひとつは、スタジオに入っていき、音の調整などを行うプロデューサー。例えば、ベースの音が大きすぎるとかドラムの音が小さいと指示したりだとか・・要はオーディオ・スペースと音を等しくすることです。そして、ドラム担当やボーカル担当と会話をすることでさらに指導していきます。彼らが話す言語で話しながら、彼らから内側にあるものを引き出すんです。そして彼らとの対話の中には心理的な感情も伴います。

それから、もうひとつのプロデューサーは、曲の素材・材料となるものを提供できるような人です。例えばそれは自身の経歴などから提供されたりもします。私はどちらかというとこのタイプのプロデューサーです。ほとんどの曲を作詞作曲していますし、クリエイティブなプロセスの中でコラボレートしたり・・、例えると、家具をただ移動するだけでなく、組み立てることもする、ということなんです。

クレイグ:では・・・、

ファレル:僕はどちらのタイプも重要視しています。例えば世界のクインシー・ジョーンズさんなんかも相当数の作詞作曲を手掛けていて、音楽プロデューサーの中では神的な存在で、尊敬していますね。

クレイグ:ということは、ファレルさんは独自のクリエイティブなプロセスの中でプロデュースしているということですね。

ファレル:はい、そうです。

クレイグ:ということは、音楽をプロデュースしているとき、あなたはコラボレーターでもあるということですね。だから、あなたが様々な分野で行うコラボレーションはすべて音楽作りと繋がっているということですよね。

ファレル:はい、その通りです。

クレイグ:だからこそファレルさんは、他の人々とのコラボレートで知られているということなんですね。私はファレルさんの作品の中でもとっぴな作品を覚えています。今スクリーンに映し出されている作品なんですが・・、こちらもコラボレーターとしての代表的な作品ですよね。

ファレル:ありがとうございます。

クレイグ:3年前ですかね?あのアートバーゼル(アートフェア)・・。もうすごかったです。

ファレル:年代を覚えるの苦手なんですよね・・・。

クレイグ:私もです。でも2つのことは覚えているんです。なぜならかなりのヒットを生みましたからね。そして、アフターパーティで実際にパフォーマンスしましたよね?

ファレル:はい、そうです。

クレイグ:とても素晴らしかったです。

ファレル:ありがとうございます。

 

村上隆とのコラボレーションの中での役割

クレイグ:それでは、村上(隆)とコラボレートしたとき、その中でのファレルさんの役割はどんなものでしたか。それから、コラボレートしない時の役割はどうでしたか。

ファレル:僕は、これからお話するようなとっぴなアイディアを思いついたんです。僕らは生きていく中で、世の中の些細なことをすべて当たり前のこととして受け止めていますが、そんな些細なことが喜びをもたらしたりするんですよね。だから、そんな中でも僕は自分を特に幸せな気持ちにさせてくれる7つのものをピックアップしたんです。

それはよく人々が見過ごしそうな物なんですが、例えばジョンソン&ジョンソンのベビーローション。僕はあの匂いがものすごく好きなんです。子供の頃を思い出させてくれますよね。カップケーキも好きでしょ。世の中にはフライドポテトにケチャップをつけて食べられないところなんてないですよね。最初僕がこのようなことを考え出した時、周りの人々は、理解できない様子でした。

でも考えてみてください。このアイデアは、偉大なるアーティスト、アンディ・ウォーホルがキャンベル・スープの缶でしたことと同じなんです。キャンベルのスープ缶というありきたりなものを全然違う特別な物に魅せた。なぜなら見慣れた風景とはあまりにもかけ離れたイメージだったからです。このように私も違うものに見えるような見せ方をしたいと思うようになったんです。

まずはダイアモンドをすべての物にくっつけようというのが、その見せ方のアイデアでした。まずもって僕は、高価な宝石などの“Bling”という言葉にうんざりしていたんです。以前僕も宝石で様々な表現したことがあったんですが、人々は僕を見て、Blingをつけてるやって言ったので、僕はこう言いました。

「そのBlingを全部、もっといい方向に変えてみせるよ。」

ときには、イケてる表現のためには、やり過ぎることも必要なんです。

だから、ネックレスを作る代わりにミニチュアのペプシの缶を作り替えようとしました。エナメルとホワイト・ゴールド、ホワイト・ダイアモンドなんかを使って(多分ホワイト・ダイアモンドだけを使ったと思いますが)。

要するには、貴重な金属や石を使うことだったんです。それで人々が違った風に反応してくれたらな、と思いました。

案の定反応は、「すごい!ピンク・ダイアモンドにジョンソン&ジョンソンのベビーローションに・・斬新だな。」

でもそれはすべてジョークなんです。それがアートの1作品なんです。

そうなんです。その人々の反応が作品だったんです。

それが、僕がアート作品から望んでいたことでした。

ところが、僕の作品を見た人々は「わお、それどこで売るの?クリスティーで?」といった具合で、その人々の反応に僕は全然理解できませんでした。

でも唯一そんな僕を理解できたのは隆(村上隆〔たかし〕:日本の現代美術化、ポップアーティスト)でした。僕は隆にこう言ったんです。「ねぇねぇ、今度キャリーケースか小さいキャビネットみたいなのを作ろうかと思ってるんだ。」

隆は僕にこう返しました。「キャリーケース?キャビネット?どーでもいいけどさ~。・・・」

クレイグ:はははは~(笑)

ファレル:「・・・とにかく説明してくれ、君のやろうとしてることはだいたいわかってるからさ。」

僕はいいよと言って、さきほどあなた方に説明したようなことを彼に説明したんです。要するに、それは怪獣のようなものなんです。そしてその怪獣は社会なんです。怪獣は間違った理由で僕の好きなものを食いつぶすんです。

僕は隆に例えばトイレなんかを作ってもらうことで、社会の反応を見たかったんです。彼も僕の考えと同じでした。人々は物ではなく、Blingという言葉が好きなだけだということに。まさに社会は自分の好きなことをのみ込んでしまうような怪獣のような存在なんです。

クレイグ:私はいつも、ファレルさんが歌詞をその怪獣の口の中に入れていると思っていました。

ファレル:それまたおもしろい考え方ですね。

 

「プレハブ・ハウスのイメージを変えられたら、人はもっと安価に家を買える」。ファレルがプレハブ・ハウジングのプロジェクトに取り組む理由。』に続く。

 

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