「自分を何様だと思ってるかって?さっき言っただろ、神様だよ!」。お前は何でも出来る、と言われて育てられたカニエの成功観。

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・このインタビューの元動画はこちら

・part1:「ドラッグ、お酒と一緒に消費される音楽よりも、人に影響を与えてしまう芸術作品を作る」。カニエが語る『YEEZUS』で目指したものとは。

・part2:「黒人が音楽スターとして活躍することを可能にしたのはマイケル・ジャクソンだった」。マイケルよりも上に手が届いたときに、カニエが感じたクリエイターとしての壁。

 

音楽以外のアート・デザイン分野にも進出したいカニエ・ウェストの苦悩

(カニエの提案したレザージョギングパンツがFENDIに受け入れられず、現在それが販売されている話に関して、)

 

Zane:

あのレコードの中でもその事を言ってるね、その事をとても明確に歌った曲もあるよね。

 

Kanye:

俺がこれを見てる皆に説明したいことがある。

俺は最高の音楽を作れる。

だけど、俺は一つの創作のジャンルだけに捕われていてはいけないんだ。

でも、それが出来ない一つか二つの理由はもう分かってる。

 

Zane:

どうして出来ないって思うの?

 

Kanye:

いいや!お前らはそこが分かってないんだ!お前らは分かってない!

俺は”Yeezy”(Kanyeがプロドュースしたナイキのエアジョーダン)を作った。

Ebayで9万ドルの値もついて、皆が死ぬ程欲しがった。

でも、次の日ナイキは俺に電話してこなかったんだぜ!

俺がナイキの会社に行ったら、「私たちはどうやってアナタとアレをコントロールしたらいいか考えあぐねている」って言われたんだぜ。

もし、お前が建築家で、例えばGaudiで、頭の中に色んなアイデアがあって、建物を建てたくて、でもどうしてもカタチにする事が出来なかったら、どうなる?

 

Zane:

でもそれがプロセスってもので、それが目的で、そこに意味があるんじゃないの?

 

Kanye:

お前は俺の言っている事の意味が分かってないな。

 

Zane:

いや分かろうとしてるんだけど・・・。

 

Kanye:

俺はクリエイターとして、あのYeezy(靴)のレベルのものを作った。

でも、更に作る事は出来ないんだ。サポート無しで1人で作る事も出来ない。

だから俺が、”clean water was only served to the fairer skin”(*『YEEZUS』の収録曲”New Slave”より。「きれいな水はきれいな肌の人にだけ、つまり白人にだけ」)って歌うのは、じゃあ俺らはchitlinで商品を作るのかよって話さ。

*chitlin:南部でよく食べられる猪の臓物で出来た黒人のソウルフード

つまり、Tシャツだよ!勿論それなら沢山作れるさ!

Tシャツなら俺らの自由にやれる。

でもそれ以外なら・・・「もうお前のトゥルーマンショーのボートは壁に当たったんだよ」って言うのかよ。

*「諦めろ」という比喩

 

実績は残しているのに、音楽以外では世間に評価してもらえないという不満

Kanye:

でもな、俺が音楽やその他全ての創作を自由には出来ないって事以外にもっと興味深いのは、「ヘイ!俺はKanye Westのことが嫌いだ」なんて言う奴が居る事さ。

お前もそういう意見聞いた事あるだろ?

奴らは分かってない!

俺は自分の高校のバスケチームのユニフォームを作りたいんだぜ!

(つまり、人の役に立とうとしてるのにという葛藤。)

そのステップを踏んでから次のステップへ行く、それから市全体のユニフォームを作って、それがかっこ良くて売れて、ゆくゆくは10億ドルの会社の重要人物になって10億ドルのステップを踏む、でとうとう初めての1兆ドルの会社の柱になるんだ!

でも、会社の会議の席に座って最高に革新的な映像に関するアイデアを提供しても、、、

そうそうEs Devlinと共同開発したWatch The Troneのセットの上に座って思ったんだ。

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(watch the throneのセット)

サラウンドサウンドシステムで、スクリーンが上下左右前後ある映像セットを作りたいって。

だから、Gold Diggerなんて本当はあんまり演りたくなかったけれど、お金の為に演って、3つのカメラクルーと一緒にカタールに行って映画を撮ったんだ。

Nate BrownやVirgilやMatt WiliamsやNabilもいて、そういう有名な奴が俺のクルーさ。

3つのカメラクルーで5日間撮影して30日編集に費やした。それでカンヌで上映したんだ。

amfARの前日のビーチで。

Rem Koolhaasのエージェンシーと一緒にピラミット型の会場を全てデザインした。

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雑誌のエディターを中に入れてさ、そしたら皆スタンディングオベーションだったよ。

それで一年後にNew York Timesのインタビューでそれをやったことを話したんだ。

でも記事には成らなかった!

そして、一週間後に、奴らはGeorge LucasとSteven Spilbergに「次の時代の劇場のあり方はどうなるか」とか、「チケット代は高くなるだろう」とか、「サラウンドシステムがどーだ」とか、「だぶんゴーグルに秘訣があるんじゃないか」とかなんとか。

ちょっとまてよ!!

先週、俺はまさにそれを話す為にインタビュー受けたじゃないかって!

俺が発明したじゃないか!俺が作ったじゃないか!

 

ミュージシャンはプロモーションにしか関われないことへの閉塞感

俺がアレをWMEに打診する前にSarah Newkirikに言われたんだ。WMEに持って行く前にAri Emanuelに会いに行けって。

で、俺は奴と座り合って「Ari、俺は発明家だ」って言った。

そしたら奴は「いいかい、君はセレブリティーだ、だから基本的にコレから起こる事はこうだ。商品がある、お前がココに居る。商品とコミュニケーションできれば君はそれからお金を稼ぐ事が出来る。そして、君はここに着地する(ジェスチャー付き)。gagaを見てごらん、彼女はポラロイドカメラのクリエイティブ・ディレクターだよ」って。

俺もgagaの曲で2・3曲好きなのもあるさ、でもあいつがカメラの何を知ってるって言うんだ!!

だから、ミュージシャンは何か他の商品をプロモーションする事でお金を稼ぐ。

「ここにドリンクボトルがあります、赤いバージョンがあって、David Beckhamのバージョンもあります、それから青バージョンもあります」ってね。

だから、(ミュージシャンが関われる範囲は)俺に言わせりゃ全てパッケージの問題なんだ。

俺はそのとき全てがどういう風に機能してるか思い知ったんだ。

俺は音楽をやりたいけど、次のステップに持って行きたい。

 

「さっき言っただろ!俺が自分のことを何様だと思ってるか、神様だ!」

俺たちは”Classism”という概念を作った。

それは”racism”(人種差別)の従兄弟のようなもので、人種差別主義者を押さえ込むようなものさ。

もう一つ俺たちが長い間、温めてきているものがあって、それは”self-hate”(自己嫌悪)って言うんだけど、コレを使えば人種差別主義者に成らなくても済むんだ。これはその人自身に機能する。

例えば「俺は神だ」(I Am A God)って俺が言うだろ。

他の奴は「自分の事を何様だと思ってるんだ」って言う。

でも、俺は言っただろ!俺が自分のことを何様と思ってるか、神様だ!

神だと思ってるってはっきり言ったよな!

じゃあ俺が「俺はniggerだ!」って言った方がよかったか?

それとも「俺はギャングスターだ」って言ってほしかったか。

「俺はピンプだ!」はどうだ。

そういうパッケージやそういう色の方が俺みたいな奴にはお似合いだよな!

俺みたいに船で連れてこられて、名前が最初の奴隷の雇い主の名字の奴が「俺は神だ!」なんて言ったら「頭おかしいんじゃないのか?」って思うんだろ?

 

自分が興味のわいた事は、何でも自分の思い通りに成し遂げることが出来るか

Zane:

君は以前、ホテルを作ったり、人々の想像の範疇を超えたものを作りたいって言っていたよね。

人々はアーティストとしてのKanye Westを知っていて、そして君がファッション業界に移行した事も知ってる。

でもコレって一般の人の理解を得るのは難しいかも、だって皆が君のようなモチベーションを持っている訳ではないから。

君にとってそういう考え方は普通の事?

つまり自分が何か興味のわいた事は、何でも完全にモノにする事が出来ると信じてる?

 

Kanye:

いつもそう感じてるね。

自分自身をどう自覚しているか、それが人々が一番に捕われている事なんじゃないかな?

その自覚のせいで前に進めなかったりする。

もし「お前は何も出来ない」と教えられて育てられたらそいつは何もしないだろう。

俺は「お前は何でも出来る」と言われて育てられた。

Kanye West、現在36歳、コレからの10年に注目してろよ。

おれはもう一つ皆に言っておきたい。

沢山の奴らが俺の事を誇大妄想者で自己優先的な奴だと思ってる。

でも本当はそれとは真逆で俺は皆の助けに成りたいと思ってるんだ。産まれてからずっとだ。

俺の父親はブラックパンサーで、パパラッチの報道写真ジャーナリストだった。実家には彼の写真現像暗室があった。

7年前、彼はドラック中毒者の真相を突き止めるためホームレスのシェルターに住んでいたんだ、ホームレスでもないのに。それから彼はgood waterっていう組織を作ってドミニカに移住した。そこで人を助ける為に、人身売買や強要犯罪について活動した。

彼は今もドミニカにいてこの瞬間も活動してる。

俺の母親はアフリカ系アメリカ人初の英米学科の議長だった。

どんなに多くのアワードやビルボードの賞を貰っても、俺の両親が俺を認めたり背中を押してくれる事以外に俺を突き動かせる事はないんだ。

それが俺っていう人間だ。

そして、俺は今このスタジオにいてインタビューを受けてる。

あいつはもう駄目だとかとか言う奴も居るけど、俺はココに居る。

なんでココに居るのか分かるか?

『YEEZUS』は全然ラジオでプレイされなかったにも関わらず。

 

Zane:

いや、そうでもないよ。

 

Kanye:

ちょっとだけだろ、ナンバーワンのレコードには成らなかった。

だから俺は今一緒にツアーしてる会社に行ったり来たりして、俺はそこら中をツアーで回りたいって言ったんだ。

でも、クリエイティブにやる方法が見つからなかった。

だからWatch The Throneの時のようにやってみようぜっていったんだ。

そしたら奴らはそれはちょっと難しいって言うんだ。

なんで難しいんだ?って言ったら、契約違反に成るからっていうんだ。

要するに、俺がツアーのチケットを売りさばけなかったら、俺が借金を背負うことになるってことだ。

(*Watch The Troneの時はJayZと一緒だったので別事情だった。)

奴らは俺を崖っぷちに立たせたんだ。

だから俺は言ったんだ、「賭けてやるよ」ってね。

初日にシカゴだけで9000枚の前売チケットを売ってやった。

Watch The Throneの時の2倍だぜ。

皆は立ち上がって「俺らはKanyeの言っている事に賛成だ!俺らはNew Slaveが好きだ!」って表明したってことさ。

 

“New Slaves”はリリックの一節のせいでラジオで流してもらえなかったと感じるカニエ

Zane:

でもオーディエンスはいつも君の事応援してるよ。

 

Kanye:

うんいやどうかな

 

Zane:

でも僕はラジオパーソナリティーで君の音楽が好きだよ

 

Kanye:

俺は君の事だけを言ってるんじゃないんだ。

俺は他のラジオ曲でYeezusを軽くあしらった奴らに言ってる。

もちろん、もしかしたら単純に曲が気に入らなかったからだけかもしれない。

俺のアルバムに”Get Lucky”みたいな曲は入ってなかったからね。

でも、俺には”fuck you and your corporation, ya’ll niggers can’t control me “(『YEEZUS』の収録曲”New Slaves”より / 「お前とお前の会社なんて糞食らえ、お前らが俺をコントロールできると思うなよ!」)っていうあのファーストシングルの歌詞が引っかかって、ラジオで流してもらえてないと思うんだ。

 

Zane:

この曲(『YEEZUS』の収録曲”Black Skinhead”を聞きながら)なんかは、ラジオでヒットしそうな曲に聞こえるよ。

でも、君はさっきアルバム制作過程の初めは迷っていたと言っていたよね。

このレコードはそういうフラストレーションから出来上がっていると。

これは舗装されたレールをぶちこわす為のレコードなんだって。

僕はKanye Westのファンとして、その表現のほうが、ラジオでヒットさせる為のレコードっていう作品よりも好きだな。

 

Kanye:

おれは一度も”ラジオでヒットさせる為のレコード”だとは一言も言ってないんだ。

 

Zane:

いやいや、僕が言いたいのは、君が言ったようにラジオでヒットしそうなレコードよりも、舗装されたレールをぶちこわすようなレコードの方が好きだよってこと。

 

Kanye:

(Black Skinheadを流している)

ちょっと一時停止してくれ!

これ(Black Skinhead)が、問題の曲(New Slaves)から”fuck you and your corporation”の一節だけを引いたような曲だよ。

 

Zane:

僕は好きだけどな。

 

Kanye:

でも、君はまだ俺の言ってる事が分かってないんだ。

この曲は、例の”New Slaves”から”fuck you and your corporation”を引いてしまった曲なんだよ。

だって、俺をコントロールできないってことは、奴も、奴も、奴も、コントロールできないってことだろ。

そうして、ついに情報化社会が始まるんだ。

Steve Jobsがインターネットを使えるものにしただろ、今は情報化社会なんだ。

俺たち物事のほんの表面をさわっただけで、何も知らないに等しいんだ。

 

Zane:

そうだね

 

「アウトプットの引き出しがたくさんあれば、一つ一つで我侭にならなくて済む」。カニエの向かう先は服のジョイント・ベンチャー?に続く。

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