記事の目次
はじめに
読書に効果やメリットがあるのか知りたい方へ。
この記事では、以下の内容について説明しています。
この記事の内容(読書の効果)
- 読書の効果・メリットの紹介
- 語彙力や文章理解力が上がる
- 人生の満足度や自尊心が高まる
- 社会への理解が深まる
- 考える力や発想力が鍛えられる
- 他人の考えや気持ちがわかるようになる
- コミュニケーション能力が向上する
- 寿命が伸びる可能性
- 年収が上がる
- 読書の効果が感じられないときの対策
多くは因果関係というよりは相関関係の調査・研究ですが、研究のソースも含めて紹介していくので、ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
written by @raq_reezy
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読書の効果・メリット(1):語彙力や文章理解力が上がる
読書量と語彙力や文章理解力の間には、正の相関関係があることが広く知られています。
複数の読書量推定指標と語彙力・文章理解力との関係を調べた国内研究では、小学校1~6年生の児童992名に対して調査を実施。小学校の図書貸出数など、6つの読書量推定指標と語彙力および文章理解力との間の相関関係を調べた結果、いずれの読書量推定指標においても、語彙力や文章理解力と正の相関関係があることが分かっています。
僕たちは、日々メールやチャットなどテキストベースのコミュニケーションで仕事をしているので、語彙力や文章理解力が高いことは大変重要です。
読書の効果・メリット(2):人生の満足度や自尊心が高まる
リバプール大学の読書・文学・社会研究センターにおける2015年の研究は、読書と人生の満足度や自尊心の間に正の相関関係があることを示しています。
こちらは、さまざまな点について5段階評価を自己申告してもらい、読書を週に30分以上「する層」と「しない層」でその結果を比較した研究です。
5段階評価で4か5という高い数値を自己申告した人の割合は、人生の満足度においては、読書習慣がある層で55%、読書習慣がない層で48%と約7ポイントの差がありました。また、自尊心については、読書習慣がある層で51%、読書習慣がない層で46%と5ポイントの差がありました。
その背景として、難しい状況に対応する能力、決断力、計画や優先順位を整理する能力、友だちと過ごす時間をつくる力などにおいて、読書習慣がある層の方が4や5を自己申告する人が多く、読書がこうした能力を高めることで、人生の満足度や自尊心に繋がっているのではないかと推測されます。
読書の効果・メリット(3):社会への理解が深まる
ベネッセの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所が2019年に行った調査では、全国の小学5・6年生を対象に、いろんな種類の本を読むことの効果を調べています。
様々な調査結果が紹介されていますが、4教科の成績への影響を調べると、いろんな本を読んでいる生徒ほど全体的に成績が高い傾向がみられましたが、中でも社会においては上昇幅が大きいことが分かりました。
先ほどのリバプール大学の研究においても、社会に包摂されていると感じる人の割合は、読書習慣がある層で42%、読書習慣がない層で31%と10ポイントの差があったほか、社会参加意識を感じる人の割合は、読書習慣がある層で32%、読書習慣がない層で20%と12ポイントの差がありました。
さまざまな本を読むことで、社会の仕組みなどへの理解が深まり、自分が社会の一員だという意識が高まることが推察されます。逆に、読書をしないと、社会の仕組みなどが理解できず、社会からの疎外感を感じて生きることに繋がる可能性があります。
読書の効果・メリット(4):考える力や発想力が鍛えられる
先ほどのベネッセ教育総合研究所の調査では、考える力や発想力とも相関関係が見てとれます。
まずは、いろんな本を読む層とそうでない層を比べると、いろんな本を読んだ層では75.9%が「難しいことを考える力がついた」と回答しており、いろんな本を読まない層との間には約40ポイントもの差が見られました。
リバプール大学の研究でも、読書習慣がある層の方が「難しい状況に対応する能力」や「計画や優先順位を整理する能力」が高いという結果が出ていたことからも、読書を通じて、複雑な物事を構造化して考える力が身につくことが推察されます。
また、アイデアの発想力においても、いろんな本を読んだ層では78.9%が「新しいアイデアが浮かぶようになった」と回答しており、約39ポイントの差が見られます。
アイデアは、様々な知識の掛け合わせで生まれるので、さまざまな本を読む習慣が発想力の向上に繋がるのは自然と理解できます。
読書の効果・メリット(5):他人の考えや気持ちが分かるようになる
他人の考えや気持ちへの理解とも相関関係が見られます。
ベネッセ教育総合研究所の研究によると、いろんな本を読んだ層では「いろんな人の考えを知ることができた」と回答した割合が8割以上にも達し、いろんな本を読まなかった層との間には約40ポイントの差が開きました。
また、リバプール大学の研究においても、「他人の気持ちを理解できる」と回答した割合は、読書習慣がある層では65%となり、読書習慣がない層を17ポイントも上回りました。
他人が書いた本を読むという活動を通じて、他人の考えや気持ちに触れる機会が広がり、他人への理解に繋がることが推察されます。
読書の効果・メリット(6):コミュニケーション能力が向上する
ベネッセ教育総合研究所の調査では、「自分の考えを人に伝えられるようになった」と回答した割合はいろんな本を読んだ層で約7割となり、こちらも39%程度の差が開きました。
本人は自分の考えを話しているつもりなのに、周囲からは文句を言ったり・喧嘩を売っているように思われる人がいたりしますが、そういう人も読書をすることで、軋轢を生むことなく、自分の考えを他人に正確に伝える能力が身につくと考えられます。
また、リバプール大学の研究の方では、少しおもしろい質問があり「初対面の人と会話をするのは簡単ですか」、「初対面の人との会話を楽しめますか」という質問に対して、読書習慣がある層では、それぞれ47%、38%が肯定的な回答をしており、読書習慣を通じて、知識や話題が増えることで、初対面の人との会話もスムーズになることが伺えます。
初対面の場などで雑談のネタに困るという方にとっても、読書は効果的だということが推察されます。
読書の効果・メリット(7):寿命が伸びる可能性
読書量と寿命の間に相関関係があるというイエール大学の研究者らの論文もあります。
読書習慣がない層の方が急激にグラフが下降しており、読書習慣のある層の方が生存率が高い傾向が読み取れます。
後述するように、年収が高い人ほど本を読む傾向などもあるので、年収の差などがむしろ要因である可能性もありますが、一応、読書習慣と生存率には相関関係があるというデータが出ています。
読書の効果・メリット(8):年収が上がる
読書習慣と年収の間に相関関係があることも広く知られています。
以下は、出版文化産業振興財団が行った、年収と毎月の読書量に関する調査の結果です。0冊の割合は年収が上がるにつれて減っていき、3〜7冊程度の本を読む層は年収が上がるにつれて増えていくのが分かります。
こちらも本を読む人は年収が高いという相関関係で、本を読むから年収が高くなるという因果関係ではありません。しかし、少なくとも年収が高い人が本を読んでいるのは事実であり、高収入層と同じ知識や考え方をインプットするのに読書が役に立つことは間違いなさそうです。
読書と年収の相関関係については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
文部科学省による読書の効果に関する資料
文部科学省は、平成23年度「生涯学習施策に関する調査研究」の中で、読書の効果に関する研究結果をまとめています。
読書の効果やメリットというよりは、読書に関連する研究全般のまとめといった感じですが、いくつかピックアップして紹介します。
読み聞かせ等の効果
55 人の子どもとその母親を対象に18~42 カ月の期間調査を行いました。
その結果、子供の興味は、母親が文章をそのまま読むことや非メタ言語による発話(同一の言葉での説明)とはある程度関連がある一方で、メタ言語による発話とは強く関連していることが分かりました。
また、家庭での読み書きの実践は、受容性言語の発達促進につながり、子供が興味を持つことによって、文字の知識を得ることが促進されることが観測されました。
図書館があると読書量が増える
アメリカの統計データを利用した研究で、図書館を利用することで、読書に費やす時間が1日平均でおおよそ27分増加することがわかりました。さらに、親が子供に本を読んであげる時間や、 子供と読書をする時間が、約14 分増加することも判明しました。
読書に費やす時間が増えたことによって、逆に減ったのは家庭でテレビを見る時間で、約59分減少しました。その他の活動に費やす時間への変化は特に見られなかったため、図書館を利用すると、テレビを見る時間が読書時間に置き換わるということが分かりました。
図書館職員の重要性
アメリカの公立小学校の3年生及び6年生、5万人以上を対象としたデータの分析で、図書館職員(というより、読書のアドバイザーのような存在?)の重要性について、データが出ています。
司書教諭のいる学校の3年生や6年生は読書を楽しんでいる傾向があり、訓練を積んだ図書館職員のいる学校では、6年生の大部分がおおむね読解力テストでレベル3以上の高評価を獲得していることが分かりました。
その他、さまざまな論文が紹介されているので、気になる方はぜひ文科省の資料をご覧ください。
読書の効果がないと感じたときの対策方法
読書をあまり好きになれない、読書の効果やメリットを感じづらいという方もいらっしゃるでしょう。中には、デメリットを感じる人もいるかもしれません。
そんなときには、読書をやめてしまうのではなく、読書のやり方や考え方を変えてみるのもひとつです。
読むジャンルを変えてみる
読書の効果がないなと感じたときには、読むジャンルを普段と少し変えてみるのがおすすめです。
たとえば、もしも自己啓発本ばかり読んでいたら、やる気は湧いてくるけれど、実際の知識や教養は増えないので、それが役に立つ場面は少ないでしょう。そこで、少しアカデミックな本や教養本も取り入れてみると、知識が増えたり、深く物を考える力がついたりと、新しいものが得られるはずです。
上で紹介したベネッセ教育総合研究所の調査でも、「いろんな種類の本」を読むことと様々な能力の向上との間に相関関係が認められていました。ぜひ、普段とは違うジャンルに挑戦してみましょう。
読む量を効率よく増やす
読書で身につけた知識が役に立つ場面がないと感じている方は、読書量を増やしてみるのも良いかもしれません。
というのも、実用書を除くと、何か本を読んで教養を身につけたからといって、それが明日からすぐに人生の役に立つということは、実際のところあまりないからです。
一方で、iPhoneやMacbookで有名なアップル社を創業したスティーブ・ジョブズは、大学時代にたまたま文字のフォントについての講義を聞いていたことが役に立って、MACにおいて美しいフォントをつくることができた話は有名です。
彼はスピーチで以下のように述べています。
私たちは、過去を振り返って点と点を結ぶことはできても、未来を見据えて点と点を結んでいくことはできない。だから、あなたはそれぞれの点(努力や経験)が何かしら未来につながると信じるしかない。あなたは、自分の思いや運命、人生、カルマ、なんでもいいけれど、それを信じなければいけない。このアプローチが私を失望させたことは一度もなく、私の人生をかけがえのないものにした。
このように、読書を習慣にして、日々多くのインプットをしていることが、あとで振り返ってみれば点がつながるように役に立つわけです。
もちろん読書量(インプット量)が多いほど、それが役に立つ場面というのは増えてきます。そのためには、効率よく読書量を増やすことが重要です。本を1冊最初から最後まで丸ごと読まなくても、その本の重要な部分だけをつまみ読みしても良いし、速読の技術を身につけるのも良いでしょう。「flier」のような要約サービスを利用する手もあります。
いろんな方法で読書量を増やしてみると、読書が役に立つと感じる場面が徐々に増えてくるかもしれません。
無理のない範囲で継続する
逆のことを言うようですが、「読書を人生の役に立てるんだ」とあまりに力が入って、読書疲れを起こしている場合は、少し気を緩めて、無理のない範囲で継続することも良いでしょう。
一時的にたくさん読書をすることよりも、継続的な読書習慣を身に付ける方が、最終的には読書量が多くなります。
電車の中でツイッターやソーシャルゲームをするかわりにKindleで読書をしたり、寝る前に30分間だけ読書をするなど、良い読書習慣を身につけて、長い目で効果やメリットを享受するという視点も大切でしょう。
まとめ
今回は、読書の効果やメリットについて、以下のような研究や調査を紹介しました。
- 語彙力や文章理解力が上がる
- 人生の満足度や自尊心が高まる
- 社会への理解が深まる
- 考える力や発想力が鍛えられる
- 他人の考えや気持ちがわかるようになる
- コミュニケーション能力が向上する
- 寿命が伸びる可能性
- 年収が上がる
僕も、めちゃめちゃ読書家というわけではないですが、無理のない範囲で日頃から読書を楽しんでいます。ぜひ、みんなで読書を楽しんでいきましょう!笑
本を読む時間がない人には「flier」がおすすめ!
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