太宰治のおすすめ小説・作品ランキング13選とあらすじ・レビュー【読書好き59人が選んだ】

太宰治

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はじめに

太宰治の小説・作品で、おすすめが知りたいという方へ。 RAQ MAGAZINE 編集部では、読書好き59人に「一番好きな太宰治の作品は?」という独自アンケート調査を行いました。この記事では、その集計結果をもとに、おすすめの作品や読者の口コミ・感想を紹介します。 太宰治の小説・作品を読もうと思っている方は、ぜひ参考にしてください。

そもそも太宰治とは

太宰治(1909年 – 1948年)は、昭和を代表する文豪です。 自殺未遂や薬物中毒など自己破滅的な行動を繰り返しながらも、第二次世界大戦前後に作品を積極的に発表。ベストセラー作家となりました。

太宰治の人生

太宰治(本名:津島修治)は、1909年に青森県の大地主である父・津島源右衛門の息子として生まれました。父の源右衛門は衆議院議員や貴族院議員、銀行の頭取、陸奥鉄道の取締役などを務めた成功者で、太宰治はいわゆる「おぼっちゃま」でした。 太宰治は、小学校では開校以来の秀才中学校でも成績優秀で卒業まで級長を務めるなど、優秀な子どもとして育ちました。また、中学校時代に芥川龍之介や菊池寛などを読んで、小説家を志すようになりました。 しかしその後、尊敬していた芥川龍之介の自殺を知り、衝撃を受けた太宰治は学業を放棄するようになります。芸妓・小山初代との恋愛や左翼思想への傾斜、自殺未遂などを経ながらも、なんとか東京大学に進学して上京。作家・井伏鱒二に弟子入りしました。 しかし、太宰治の生活はさらに乱れていきます。地元に残してきた小山初代に身請け話が持ち上がると、小山初代を東京に呼び寄せます。名家の息子が、芸妓を東京にまで呼び寄せて同棲を始めたことは地元で大きな騒ぎになり、太宰治は本籍から除籍されてしまいます。同時期に銀座のカフェで知り合った人妻の田部あつみと入水自殺を図るも、自身のみ生き延びています。 井伏鱒二の指導のもとで執筆活動は続けていた太宰治ですが、私生活はますます乱れて、薬物中毒になってしまいます。そのため、井伏鱒二は「結核の療養」と半ば騙す形で太宰治を武蔵野病院の精神病病棟に入院させます。1ヶ月後には退院しましたが、この間に妻の小山初代が浮気。ショックを受けた太宰治は、小山初代と自殺を図るも、また未遂に終わります。 人生のどん底に落ちた太宰治でしたが、井伏鱒二が山梨県で療養させたり、高校教師の石原美知子を紹介して婚約させたことなどで、少しづつメンタル面が改善。精力的に作品を発表するようになり、作家として脂が乗った時期を迎えていきます。やがて『斜陽』などのベストセラーも生み出すようになりました。 その後も、何人かの女性と恋愛をしたり、アルコール中毒になったりしましたが、最後には結核が悪化。妻や子どもに遺書を残して、愛人の山崎富栄と入水自殺しました。

太宰治の作風と魅力

太宰治は、第二次世界大戦後に、近代文学へのカウンターとして登場した「新戯作派」「無頼派」に整理されることもあります。 しかし、根本的には、自身の乱れた私生活を小説にした私小説作家であったともいえるでしょう。 その「人間臭さ」こそが太宰治の魅力であり、多くの読者を惹きつける理由です。  

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太宰治のおすすめ人気小説・作品ランキング13選

読書好き59人にアンケート調査を実施しました!

今回、独自に読書好き59人にアンケート調査を実施しました。 太宰治の一番好きな作品を教えてもらい、集計をした結果を口コミ・感想とともに発表します。

投票結果の一覧

以下が、全ての投票結果です。
  • 1位:走れメロス(22票)
  • 2位:人間失格(19票)
  • 3位:斜陽(5票)
  • 4位:駆込み訴え(3票)
  • 5位:ヴィヨンの妻(2票)
  • 6位:津軽(1票)
  • 6位:皮膚と心(1票)
  • 6位:十二月八日(1票)
  • 6位:美男子と煙草(1票)
  • 6位:桜桃(1票)
  • 6位:お伽草子(1票)
  • 6位:富嶽百景(1票)
  • 6位:グッド・バイ(1票)

6位(1票):『津軽』

『津軽』のあらすじ

あらすじ 私(津島修治)は、久しぶりに故郷・金木町(旧・金木村)に帰ることになった。そのついでに、津軽各地を見て回ることにして、懐かしい人々と再会する。そして小泊村を訪ね、かつて自らの子守りをしてもらった、越野タケ(実在した人物、作中では「たけ」と平仮名表記)を探し当てる。

Wikipediaより

『津軽』のレビュー

投票者の口コミ・感想 太宰治の小説の中では割と明るいイメージであり、ストーリーを通じて当時の津軽の様子についても知ることができるのが面白いです。また最後に老婆の「たけ」と再会するシーンが感動的であり、自分自身も感情移入してしまいます。

6位(1票):『皮膚と心』

『皮膚と心』のあらすじ

あらすじ 主人公は28歳の女性である。自分の顔にあまり自信のない主人公にある日、吹き出物ができる。最初はあまり気にしていなかったが、風呂場で体をこすると吹き出物が体中に広がり、着物の下に隠せないほどのものになってしまい、ついに自分の夫に相談する。 吹き出物の原因はわからず、病院へ行くことになるが、その病院の待合室で自分の不安について深く考え込んでしまう。元々顔に自信がなく、結婚するのも遅く、やっと舞い込んだ縁談の相手である夫についても乗り気ではなかったという背景を持った主人公であったが、いざ自分が病院に行くほどの病にかかったとなると、急に女としての寂しさや不安を憶えるようになり、葛藤する。 結末は中毒(アレルギー)の一種であると診断され、快方にむかうのであるが、葛藤の最中に女性としての素晴らしく生々しい一面が描かれているという作品。

Wikipediaより

『皮膚と心』のレビュー

投票者の口コミ・感想 現代にありがちなフィクション恋愛小説のような内容ではなく、ごくありふれた夫婦の日常を丁寧に描いているところがこの本の魅力であると思います。また本小説に登場する夫婦の独特な雰囲気がこれまでの2人の生活や世界観を読者に想像させるところもこの小説の好きなところです。

6位(1票):『十二月八日』

『十二月八日』のあらすじ

あらすじ 本作品は「主婦の日記」の形式で記したものである。日記の筆者のモデルは美知子夫人であり、作中、「主人のお友だちの伊馬さん」「園子」「亀井さんの御主人」「帝大の堤さん」「今さん」とあるのは、それぞれ伊馬春部、長女の津島園子、亀井勝一郎、堤重久、今官一を指す。

Wikipediaより

『十二月八日』のレビュー

投票者の口コミ・感想 日本が開戦した、真珠湾攻撃の日の日記を主婦が書いているという、その発想と形式がまず凄い。加えてその内容の皮肉なほどの普通さ。のんきなまでに普通の暮らしが描かれていて、それが現在でも通用するリアリティーで迫ってくる。 戦争のリアルがまだない時の平時、確かに人はこんなふうに振る舞うに違いないと思わされる。開戦の事実より、お風呂に入れている赤ちゃんの可愛らしさの方が心に残って・・・逆にそれが怖くもある。戦争に無意識に加担していく庶民の愚かささえ感じてしまう。 現代の平和が本当に平和なのかと、今という時代と当時を比較して考えさせられてしまう。文章も読みやすく、漫画のようにあっという間に読める。やはり傑作だと思う。

6位(1票):『美男子と煙草』

『美男子と煙草』のあらすじ

あらすじ 年寄りの文学者に悪口を言われ悔しがる主人公・太宰は、浮浪者と一緒に写っている写真を撮りたいという記者の要望になぜ自分を選ぶのかと悩むが、後日、その写真を見た太宰の妻は太宰を浮浪者と見間違えるという物語で、細部などには晩年の太宰の心情が見られるとも言われている。

Amazonより

『美男子と煙草』のレビュー

投票者の口コミ・感想 太宰の皮肉が痛烈に効いた自伝的短編です。 太宰の作品は、自己肯定と自己否定の行き来の激しさのようなものがうかがえますが、この作品はまさにそれを凝縮したような内容です。 太宰作品の中で、これをまだ読んでいない人にはぜひおすすめしたい1冊。

6位(1票):『桜桃』

『桜桃』のあらすじ

あらすじ ある暑い夏の日、夕食の途中で「涙の谷」という妻の一言から、子育ての悩みや疲れを打ち明けてしまい、夫婦喧嘩をしてしまいます。 言い争いが苦手な私は、妻からも子どもからも逃げるように家を飛び出し、よく行く飲み屋で桜桃を差し出されます。私はその桜桃を極めてまずそうに食べながら、しかし心の中で「子どもよりも親が大事」と思うのでした。

「桜桃」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|太宰治(ara-suji.com)より

『桜桃』のレビュー

投票者の口コミ・感想 「子供より親が大事と思いたい」というフレーズや、桜桃のツルをつなぐと珊瑚の首飾りに見えるだろうといった印象的なワードの多い作品でした。 太宰の作品はかなり読んでいますが、その中でも太宰の弱さ、本質が端的に表れた短編だと思います。

6位(1票):『お伽掃除』

『お伽草子』のあらすじ

あらすじ 「お伽草紙」は、太宰治が広く知られている昔話を自分なりに解釈した異色の作品です。 昔話の4つの話、「瘤取りじいさん」「浦島太郎」「カチカチ山」「舌切雀」を元にした作品が、収められています。 太宰治が読んだのは、「子供向け」の昔話です。全て結末は昔話のとおりなのですが、登場人物の設定とエピソードの解釈が太宰流にアレンジされています。

太宰治「お伽草子」のあらすじを簡単に~4つの昔話の太宰流アレンジ(和のこころ.com)より

『お伽草子』のレビュー

投票者の口コミ・感想 浦島太郎や舌きりすずめ、カチカチ山といった誰もが知っているような昔話に対して太宰治の解釈が加わった内容になっていて新しい昔話を読むことができます。そういう考え方もあるのかという発見があります。 難しい言葉も多いですが、もとの話を知っていれば理解できるような文章になっています。短い昔話からここまでのことを考えるなんてすごいとしか言いようがないです。

6位(1票):『富嶽百景』

『富嶽百景』のあらすじ

あらすじ 昭和十三年の初秋、思いを新たにする覚悟で、かばん一つ提げて旅に出た「私」は、師の井伏鱒二が滞在する、甲州御坂峠の天下茶屋に身を寄せる。そこは嫌でも向き合わなければならないほど、富士がよく見える場所であった。 あまりに「おあつらえ向き」だとして、富士にあまり良い印象を抱かなかった「私」だが、旅先での出会いや自己との対話を通し、少しずつ富士に対する思いを変えてゆく。甲州を去る前に見た富士は、これまで見ていた富士とは違った。

Wikipediaより

『富嶽百景』のレビュー

投票者の口コミ・感想 太宰治の小説を学生時代に読みました。 人間失格や斜陽を読み、実生活で太宰は自殺を繰り返しているイメージだったので、初めて富岳百景を読んで太宰はこのような文章も書けるのだと大変感動したのを覚えています。重々しさや陰鬱さはなく、前向きな明るさ、温かさを感じました。 その後、太宰が双極性障害を患っていた可能性があると知りました。富岳百景のように世界を見続けていられたらよかったのにと感じたことを覚えています。

6位(1票):『グッド・バイ』

『グッド・バイ』のあらすじ

あらすじ 雑誌「オベリスク」編集長の田島周二は先妻を肺炎で亡くしたあと、埼玉県の友人の家に疎開中に今の細君をものにして結婚した。終戦になり、細君と、先妻との間にできた女児を細君の実家にあずけ、東京で単身暮らしている。実は雑誌の編集は世間への体裁上やっている仕事で、闇商売の手伝いをして、いつもしこたまもうけている。愛人を10人近く養っているという噂もある。 戦後3年を経て、34歳の田島にも気持ちの変化が訪れた。色即是空、酒もつまらぬ。田舎から女房子供を呼び寄せて、闇商売からも足を洗い、雑誌の編集に専念しよう。 しかし、それについて、さしあたっては女たちと上手に別れなければならない。途方に暮れた田島に彼と相合傘の文士が言った。 「すごい美人を、どこからか見つけて来てね、そのひとに事情を話し、お前の女房という形になってもらって、それを連れて、お前のその女たち一人々々を歴訪する。効果てきめん。女たちは、皆だまって引下る。どうだ、やってみないか」 田島はやってみる気になり、かつぎ屋で「すごい美人」の永井キヌ子と彼の珍騒動が始まる。

Wikipediaより

『グッド・バイ』のレビュー

投票者の口コミ・感想 モテる男が愛人たちと手を切る物語ですが、その方法として使った美人の女性から逆にしてやられるところが面白く読めました。この作品が太宰治の最後の作品で、文字通りグッド・バイとなったことは皮肉でしかありえません。

5位(2票):『ヴィヨンの妻』

『ヴィヨンの妻』のあらすじ

あらすじ 作者を髣髴させる、元男爵の次男だという帝大出の詩人の妻「さっちゃん」の視点で、大谷と彼を取り巻く人々の言動が綴られている。 さっちゃんは、浅草公園の瓢箪池畔でおでんの屋台を出していた父とふたりで長屋に住んでいた。小金井の家はボロ家で、3人家族の家計は、しばしば熱を出す子供を医者に連れて行きたくても、お金もない有様。その上、大谷は数日も帰ってこないこともしばしば。ある時、大谷は入り浸っている中野駅の小料理屋「椿屋」から運転資金を盗み、やってきた経営者夫婦に大谷は辻褄のあわない言い訳を並べたてる。

Wikipediaより

『ヴィヨンの妻』のレビュー

お酒にも女性にもとてもだらしのない男と気立ての良い妻のろくでもない生活のなかに垣間見える夫婦愛。暗さも感じるがリアリティーがある。読んでいて歯がゆさもあるが何度か読んで理解を深め噛み締めることの出来る本
この作品ではあまりにもうだつの上がらない、なんとも言えない夫を支える貞淑な妻を描いていますが、現代社会では絶対にこんな妻はなかなかいないだろうという程素敵な妻を描いていて興味を持ちます。 時代背景が簡単に浮かんでくる面白い作品です。戦争時の時代背景を知る参考になりとても良い題材でした。

4位(3票):『駆込み訴え』

『駆込み訴え』のあらすじ

あらすじ イスカリオテのユダを主人公とした視点で、イエス・キリストに対してどういう感情を持っていたのかを述べるという形式を取っている。全体としてはイエスの薄情や嫌らしさを訴える内容となっている。 しかしその実質は、自暴自棄になったユダの愛と憎しみがないまぜになって、どちらがどちらか本人すらすでに判別つかなくなり、混乱しながらも悲痛に訴えているというものである。ユダがどこに駆け込んで誰に訴えかけたのかは、明らかにされない。

Wikipediaより

『駆込み訴え』のレビュー

主であるキリストを裏切ったユダの独白を描いた短編小説です。とても短いですが読み応えがあります。キリストに対して愛憎入り混じった感情を抱くユダのスピード感ある独白は生々しく、まるでユダが隣で話しているのを聞いているような気分になります。ユダが自分で自分の感情を理解、制御し切れていないような描写が妙にリアルで引き込まれます。
物語のラストで判明しますが、イエス・キリストと裏切り者であるイスカリオテのユダの話のオマージュです。この話は、太宰の代表作とまでは言えませんが、一部読者にとっては非常に評価が高い作品です。ひたすら「あなた」に対する「私」の、歪んだ尊敬や崇拝を読まされ続けるのですが、それが何故かはまる人にははまる。自分もその一人です。読者は選ぶ作品だと思いますが、短編なので騙されたと思って読んでみて頂きたい作品です。

3位(5票):『斜陽』

『斜陽』のあらすじ

あらすじ 戦争が終わった昭和20年。没落貴族となったうえ、当主であった父を失ったかず子とその母は、生活が苦しくなったため、東京・西片町の家を売って伊豆で暮らすことにする。 一方、南国の戦地に赴いたまま行方不明になっていた弟の直治(戦地では麻薬中毒になっていた)が帰ってくるが、家の金を持ち出し、東京の上原二郎(小説家で既婚者)のもとで荒れはてた生活を送る。しかし、「夕顔日記」と書き記され、麻薬中毒やデカダンとその理由のみならず、世間の偽善を告発する母の、「札のついていない不良が、怖いんです。」という言葉に触発され、再度上原に宛てた手紙には、「世間でよいと言われ、尊敬されている人たちは、みな嘘つきで、偽物なのを」、「札つきの不良だけが、私の味方」であり、それを非難せんとする世間に「お前たちは、札のついていないもっと危険な不良じゃないか」反論する意思を記す。 直治を介したかず子と上原との運命的出会いや交際、生活が苦しくかつ自身の健康がすぐれなくなってもかず子らを暖かく見守ってくれた、そして、戦後の新聞に出された陛下のお写真について「陛下もこんど解放された」ため老けた様子はなくとも「泣きたくても、もう、涙が出なくなったのよ」と語った「最後の貴族」たる母のもと日々は穏やかに流れていたが、やがて母が結核に斃れ、看護婦たちとたった二人の肉親に見守られ、ピエタのマリアに似た顔つきで亡くなり、無頼な生活や画家の本妻への許されぬ愛に苦悩していた直治も母の後を追うように自殺。残した遺書に、直治は自らの弱さと貴族階級出身に由縁する苦悩を告白するが、「人間は、みな、同じものだ。」と言う言葉に「なんという卑屈な言葉であろう。人をいやしめると同時に、みずからをもいやしめ、何のプライドもなく、あらゆる努力を放棄せしめるような言葉。マルキシズムは、働く者の優位を主張する。同じものだ、などとは言わぬ。民主主義は、個人の尊厳を主張する。同じものだ、などとは言わぬ。」と抗議する。直治の死と前後して、かず子は上原の子を妊娠したこと、それを知ってか知らずか、上原が自分から離れていこうとしていることに気付く。 かず子は「(不倫の子を生んだ)シングルマザー」として、マルクス主義に傾倒するローザ・ルクセンブルクや、新約聖書中の「平和にあらず、反って剣を投ぜん為に来れり」と説くイエスのさながらの革命精神をもって、動乱やまぬ戦後社会に腹の中の(やがて生まれてくるであろう)子と強く生きていく決意を上原宛の書簡にしたため、上原をM・C マイ、コメデアンとニックネームを付けた。立場は違えど庶民とは違う階級にあった四人の、四者四様の滅びの様が描かれ、滅びの中の美しさがえがかれている

Wikipediaより

『斜陽』のレビュー

斜陽は子供の時はとにかく怖くてたまらなかったけど、一周回って好きになりました。登場人物たちの生きる力の弱さは私の家族にもあるところで、それを言われてるようで嫌でした。しかし、その滅びゆく不思議な美に惹きつけられる自分もいました。
太宰治の作品はマイナス思考のものが多いですが、これも代表する一つの作品だと思います。裕福な家庭が落ちぶれていく内容ですが、時代・戦争とともに昔のような裕福な暮らしができなくなっていく過程が描かれており、だんだんさみしくなります。落ちぶれていく中にも、素敵な感じが散りばめられた作品となっていました。
学校の教科書では走れメロスとかが載っていましたが、いくつか著書を呼んでいくと、「斜陽」が1番記憶に残っています 虐げられた女性(と思ってる)の艶かしい感じや、自分の気持ちに正直になろうとするが、正直に行動しても自分の思い描く幸せはない。 結果的に何が最善で幸せだったのかを考えさせられました。

2位(19票):『人間失格』

『人間失格』のあらすじ

あらすじ 作中で大庭葉蔵の手記とされるのは「第一の手記」「第二の手記」「第三の手記」であり、最初の「はしがき」と最後の「あとがき」は、「私」の体験談とされている。当初、「第一の手記」の原稿では主人公の一人称は「私」であったが、途中で書き直され「自分」となり、結果的に手記全体にわたりその一人称が使われた。 はしがき 「 私は、その男の写真を三葉、見たことがある。 」 この書き出しから始まる文章は、幼年時代・学生時代・奇怪な写真の”三葉”の写真を見比べている。その様子が第三者の視点で書かれている。 第一の手記 「 恥の多い生涯を送って来ました。 」 この書き出しから始まる。「自分」は人とはまったく違う感覚を持っており、それに対して混乱し発狂しそうになる。それゆえにまともに人と会話が出来ない「自分」は、人間に対する最後の求愛として道化を演じる。だが、その言い争いも自己弁解もできない「自分」の本性は、女中や下男に犯されるという大人たちの残酷な犯罪を語らず、力なく笑っている人間であった。結果的に「自分」は欺きあいながら、「清く明るく朗らかに」あるいは生きうる自信を持つ人間たちに対する難解さの果てに誰にも訴えない孤独を選んでいた。 第二の手記 中学校時代、「自分」は道化という自らの技術が見抜かれそうになり、恐怖する。その後、旧制高等学校において人間への恐怖を紛らわすために、悪友・堀木により紹介された酒と煙草と淫売婦と左翼思想とに浸った。これらはすべて、「自分」にとって醜悪に見える人間の営みから、ひとときの解放をもたらすものだった。 しかし、急激に環境が変わることにつれてさまざまなしがらみから逃れがたくなり、結果として人妻との暖かな一夜ののちに、彼女と心中未遂事件を起こす。しかし、「自分」一人が生き残り、自殺幇助罪に問われる。結局、起訴猶予となり父親と取引のある男を引受人として釈放されるが、混乱した精神状態は続く。 第三の手記 一、罪に問われたことをきっかけとして高等学校を放校になり、一時引受人の男の家に逗留することになるが、男に将来どうするのかと詰め寄られて「自分」は家出をする。それをきっかけに子持ちの女性や、バーのマダムらとの破壊的な女性関係にはまりこむことになり、「自分」はさらに深い絶望の淵に立つことになる。しかし堀木とのやり取りを経て「世間とは個人ではないか」という思想めいたものを持つと、世の中に関する用心が和らぎ、漫画家となりルバイヤートの詩句を挿入するようになる。しかし、酒を止めよという一人の無垢な女性と知り合い、結婚し一時の幸福を得る「自分」であった。 二、だが、罪の対義語について堀木と対話するなかで、フョードル・ドストエフスキーの『罪と罰』が頭をよぎった直後、彼女は出入りの商人に犯される。「怒りでも無く、嫌悪でも無く、また、悲しみでも無く、物凄く、それも墓地の幽霊などに対する恐怖でもなく、神社の杉木立で白衣の御神体に逢った時に感ずるかも知れないような、古代の荒々しい恐怖感」と表現される凄惨な恐怖に襲われ、あまりの絶望に、アルコール飲料を浴びるように呑むようになり、ついにある晩、たまたま見つけた彼女が密かに用意していた睡眠薬を用いて、発作的にふたたび自殺未遂を起こす。 なんとか助かったものの、その後は体が衰弱してさらに酒を呑むようになり、東京で大雪の降った晩ついに喀血する。薬屋で処方されたモルヒネの注射液を使うと急激に調子が回復したため、それに味を占めて幾度となく使うようになり、ついにモルヒネ中毒にかかる。モルヒネ欲しさのあまり、何度も薬屋からツケ払いで薬を買ううちにのっぴきならない額となり、ついに薬屋の奥さんと関係を結ぶに至る。その自分の罪の重さに耐えきれなくなり、「自分」は実家に状況を説明して金の無心の手紙を送る。 やがて、家族の連絡を受けたらしい引受人の男と堀木がやってきて、病院に行こうと言われる。行き先はサナトリウムだと思っていたら、脳病院へ入院させられる。そして、「断じて自分は狂ってなどいなかった」と主張しつつも、他者より狂人としてのレッテルを貼られたことを自覚し、「自分」はもはや人間を失格したのだ、と確信するに至る。 数か月の入院生活ののち、故郷に引き取られた「自分」は廃人同然となり、不幸も幸福もなく、老女に犯され、ただ時間が過ぎていく。それは、今まで阿鼻叫喚で生きてきたいわゆる「人間」の世界においてたった一つ真理らしく思われた。実年齢では27歳を迎えるも、白髪がめっきり増えたのでたいていは40歳以上に見られると最後に語り、自白は終わる。 あとがき あとがきで、「私」がマダムと会い、小説のネタとして提供された葉蔵の手記と写真を見て、その奇怪さから熱中する。「私」がマダムに葉蔵の安否を尋ねると、不明であると告げられる。そして、マダムは「お父さんが悪い」と言い、葉蔵のことを「神様みたいないい子」と語り、小説は幕を閉じる。

Wikipediaより

『人間失格』のレビュー

学生時代から何回も読んでますが、その度に違う気持ちになります。読むときの心情により捉え方が大きく変わる小説ではないでしょうか。たくさんドラマやリメイクがされていますが、やはり原作に勝る構成はないと思います。
まだ子どもの頃に読んだのですが、恥の多い人生を送ってきました、の一文は衝撃的です。このレビューを書き始めたところ、自然と思い出されたことに自分でも驚き、太宰治の文章の凄さを思い知ったような気がしました。
学生時代に「人間失格」を読んで、そこから大宰治ファンになった。自分のダメさや劣等感、社会に対する違和感などが隠すことなく表現されていて、作者に共感できるような感覚になった。大宰治の、人間に対する観察眼の鋭さにも引き込まれた。
内容は人間臭く、すえた匂いのする本。何度も読んでいるが、読んだ時の体調、自身の忙しさ、人間関係など自分の心を映すようで、ただ面白いと思える時。どうしようもなく苦しくなる時。このまま消えてしまいたくなる時。自分の心の余裕を実感できる本でもあった。
人間失格は私が生まれて初めて読んだ小説です。それまで小説を読んだ事が無い上に思春期の私は全く無防備な存在であり、主人公・大庭葉蔵の人間に対する「恐れ」や退廃的な行動が私の心を傷つけたことを今でも憶えています。 後に太宰が意外と図太い人間であることが分かると、この小説が多分に露悪的なものに感じられましたが、こういう太宰特有の胡散臭さも含めて面白い作品だと思います。

1位(22票):『走れメロス』

『走れメロス』のあらすじ

あらすじ 純朴な羊飼いの青年メロスは、16歳になる妹の結婚のために必要な品々を買い求めにシラクスの町を訪れたが、町の様子がひどく暗く落ち込んでいることを不審に思い、市民に何が起きているのかを問う。そしてその原因である、人間不信のために多くの人を処刑している暴君ディオニス王(ディオニュシオス1世)の話を聞き、激怒する。メロスは王の暗殺を決意して王城に侵入するが、あえなく衛兵に捕らえられ、王のもとに引き出される。人間など私欲の塊だ、信じられぬ、と断言する王にメロスは、人を疑うのは恥ずべきだと真っ向から反論する。当然処刑されることになるが、メロスはシラクスで石工をしている竹馬の友で親友のセリヌンティウスを人質として王のもとにとどめおくのを条件に、妹の結婚式をとり行なうため3日後の日没までの猶予を願う。王はメロスを信じず、死ぬために再び戻って来るはずはないと考えるが、セリヌンティウスを処刑して人を信じることの馬鹿らしさを証明してやる、との思惑でそれを許した。王城に召されたセリヌンティウスはメロスの願いを快諾し、縄を打たれる。 メロスは急いで村に帰り、誰にも真実を言わず妹の結婚式を急ぎ、夫を信じて誠心誠意尽くすように言い含め、式を無事に終えると3日目の朝まだき、王宮に向けて走り出す。難なく夕刻までに到着するつもりが、川の氾濫による橋の流失や山賊の襲来など度重なる不運に出遭う。濁流の川を懸命に泳ぎ切り、山賊を打ち倒して必死に駆けるが、無理を重ねたメロスはそのために心身ともに疲労困憊して倒れ込み、一度は王のもとに戻ることをあきらめかける。セリヌンティウスを裏切って逃げてやろうかとも思う。しかし、近くの岩の隙間から湧き出てきた清水を飲み、疲労回復とともに義務遂行の希望が生まれ、再び走り出す。人間不信の王を見返すために、自分を信じて疑わない友人の命を救うために、そして自分の命を捧げるために。 こうしてメロスは全力で、体力の限界まで達するほどに走り続け、日没直前、今まさにセリヌンティウスが磔にされようとするところに到着し、約束を果たす。セリヌンティウスに、ただ1度だけ裏切ろうとしたことを告げて詫び、セリヌンティウスも1度だけメロスを疑ったことを告げて詫びる。そして、彼らの真の友情を見た王は改心し、2人を釈放する。

Wikipediaより

『走れメロス』のレビュー

友人のために奮闘する主人公の正義感が素晴らしいと思わせる作品です。自身が危険な状況におかれながらも、強く結ばれた友人との深い友情には、社会のいざこざや悪徳な犯罪などで人間同士の信頼性が失われつつある現代に切実な問い掛けをもたらしている
この太宰治作品は、中学校のとき、国語の教科書に記載されていた作品です。 当時は、太宰の生い立ちもよく知らず、メロスがセリヌンテアスとの約束を果たすため、さまざまな葛藤と戦いながら、最後、自らの処刑場に赴いて、セリヌンテアスの「信用してくれた友情」のために出頭し、処刑を受ける覚悟で出てきたラストシーンが印象的でした。 本当は、南部藩の良家出身である太宰が、なぜか破滅型の人生を送ることになった告白小説「人間失格」の方が、文学的なのでしょうが、彼と同時期に生きた「織田作之助」にも興味があって、そのため「走れメロス」をNo.1作品としました。 太宰の作品の中で、珍しく「救済」と「友情」をテーマにした、人間の肯定的部分を取り上げた良心的小説だと思っています。
太宰の作品の中では気持ちが明るくなる作品。たしか教科書にものっていました。読んだ時、簡潔で美しい文章、物語の展開にわくわくし、最後はとても感動した事を覚えています。友情の美しさ、信じる心の大切さを感じました。
太宰の作品は、主観ではあるがどれも重々しい感じがしてしまうが、走れメロスの作風は少し違ったからである。どこか前向きな主人公に共感しつつもハラハラしながら読める作品である。メロスが走る村の描写も細かく、自分がそこにいるかのような感覚で物語を想像できる。
太宰治と言えば「人間失格」など名作が多数有り、プライベートの生き方においても非常に人間くささを出した作家だと思います。そんな中で私が特にこれと思うのが「走れメロス」です。 この作品は、小学生、中学生の演劇の題材にされるなど知らない人がいないくらいの知名度があります。ストーリーは、命をかけた友情物語であり、人質となっている友人をまもるために自分の命をかけて必死に困難を乗り越えていく話です。そのストーリー性が太宰先生の生き方とダブル部分があり非常に興味深く読みました
 

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太宰治の小説・作品一覧

その他の作品も含めた、太宰治の小説・作品の一覧をまとめました。

小説・作品一覧と単行本

作品名 収録されている単行本
ロマネスク 『晩年』
道化の華 『晩年』
ダス・ゲマイネ
燈籠 『女性』
富嶽百景 『女生徒』
黄金風景 『女生徒』
女生徒 『女生徒』
新樹の言葉 『愛と美について』
葉桜と魔笛 『皮膚と心』
八十八夜 『皮膚と心』
畜犬談 『皮膚と心』
皮膚と心 『皮膚と心』
俗天使 『皮膚と心』
『皮膚と心』
春の盗賊 『女の決闘』
女の決闘 『女の決闘』
駈込み訴へ 『女の決闘』
走れメロス 『女の決闘』
古典風 『女の決闘』
乞食学生 『東京八景』
きりぎりす 『東京八景』
東京八景 『東京八景』
清貧譚 『千代女』
みみずく通信 『千代女』
佐渡 『千代女』
千代女 『千代女』
新ハムレット 『新ハムレット』
風の便り 『風の便り』
『風の便り』
『女性』
十二月八日 『女性』
律子と貞子 『風の便り』
水仙 『日本小説代表作全集 9』
正義と微笑 『正義と微笑』
黄村先生言行録 『佳日』
右大臣実朝 『右大臣実朝』
不審庵 『佳日』
花吹雪 『佳日』
佳日 『佳日』
散華 『佳日』
津軽 『津軽』
新釈諸国噺 『新釈諸国噺』
竹青 『薄明』
惜別 『惜別』
お伽草紙 『お伽草紙』
パンドラの匣 『パンドラの匣』
冬の花火 『冬の花火』
春の枯葉 『冬の花火』
『冬の花火』
親友交歓 『ヴィヨンの妻』
男女同権 『ヴィヨンの妻』
トカトントン 『ヴィヨンの妻』
メリイクリスマス 『ヴィヨンの妻』
ヴィヨンの妻 『ヴィヨンの妻』
女神 『女神』
フォスフォレッスセンス 『太宰治随想集』
眉山 『桜桃』
斜陽 『斜陽』
如是我聞 『如是我聞』
人間失格 『人間失格』
グッド・バイ 『人間失格』

映画化された作品

映画タイトル 公開日 原作
佳日 1944年 『佳日』
奇巌城の冒険 1966年 『走れメロス』
走れメロス(アニメ映画) 1992年 『走れメロス』
富嶽百景〜遙かなる場所〜 2006年 『富嶽百景』
ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜 2009年 『ヴィヨンの妻』
パンドラの匣 2009年 『パンドラの匣』
斜陽 2009年 『斜陽』
人間失格 太宰治と3人の女たち 2019年 『人間失格』
HUMAN LOST 人間失格 2019年 『人間失格』
グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜 2020年 『グッド・バイ』

まとめ

今回は、太宰治のおすすめ作品について、独自のアンケート結果を踏まえて、分かりやすくまとめました。

太宰らしい『人間失格』のような暗い作品から、太宰っぽくない『走れメロス』のような明るい作品まで、昭和を代表する文豪である太宰治の小説・作品をぜひ読んでみてください。

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2021年11月18日

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