書評:福岡の高島市長『日本を最速で変える方法』に学ぶ、地方自治体とイノベーション

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はじめに

政治と社会イノベーションの実現に興味がある方へ。

福岡市はスタートアップとの取り組みや実証実験が盛んな街として有名です。UBER(タクシー)が実証実験をしたり、LINEも開発拠点を置いたりしていますね。

そんな福岡市をつくってきた高島市長の本『日本を最速で変える方法』を紹介します。

この記事の内容

  • 福岡市のイノベーション成功事例
  • 規制緩和は効果が大きい
  • スタートアップはロビイングすべき
  • 地方政治家とスタートアップ(イノベーター)と生活者の適切な三角関係

どうすれば日本はもっとイノベーティブになるんだろうと興味がある方は、ぜひ最後までお読みください。

written by @raq_reezy

イノベーティブな街「福岡」

日本は、すでに十分に便利だったり、既存のインフラがあるため、なかなか新しい技術やイノベーションが社会に実装されないという特徴があります。

それは『超加速経済アフリカ』の書評でも書いた通りで、だからこそ「イノベーティブなビジネスアイデアや新技術があるなら、それが求められている場所、つまりアフリカでやれば?」というのが『超加速経済アフリカ』の要旨のひとつでした。

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書評:『超加速経済アフリカ』に学ぶ、アフリカ経済・社会の現状。

2021年7月22日

とはいえ、「僕・私は日本で生まれ育ったし、食事が美味しいから日本で暮らしたいし、日本をもっと先進的な社会にしていきたいよね」という方もいるでしょう。

では、イノベーションが比較的進んでいる地域はどこかというと、もちろん東京があると思いますが、もうひとつに福岡があります。

Fukuoka Smart East プロジェクト

福岡市は、Fukuoka Smart Eastというプロジェクトをしています。

これは白紙からスマートシティとしての福岡を構想するというもので、自動運転バスを走らせるには、どんな場所にどんなセンサーをどれだけ置けばよいかといったことを検討しているそう。

また、モビリティでは電動キックボードをヘルメット無しで乗れるようにしようと進めていたり、セキュリティ面ではGPSを小学生に配布したりと、積極的に未来的な都市を目指していることが伺えます。

天神ビッグバンと規制緩和の重要性

また、福岡市は天神ビッグバンという再開発計画も行っています。

大阪が梅田の再開発で勢いをつけたように、福岡市もまた「感染症に強い街」というコンセプトで天神エリアを再開発して、雇用増や経済成長に寄与させようとしています。

当初はビル30棟の建て替えが検討されていましたが、「感染症に強い街」というコンセプトに沿って、一定の非接触や換気などの対応を行なったビルについては容積率を緩和する(高いビルを建てていい)という規制緩和を行なったところ、なんと建て替えは70棟に増えたそうです。

これを建て替えるのは民間企業ですから、福岡市はコンセプトに沿って規制を緩和しただけです。補助金を出すわけでもありません。

イノベーションは需要がないと受け入れられない

地方自治体とイノベーションは相性がいいなと思った

さて、本書では地方自治体でイノベーションを起こして横展開することが、日本を最速で変える方法だと語られています。

僕はこの発想はおもしろいなと思いました。一般的には、日本を変えようと思うと、人は国政を目指します。だけど、国政で行われるようなことというのは、制度づくりや国民全体の利害調整、もしくはマクロ経済対策といったものがほとんど。

日々の生活での困りごとや不満を解決したり、毎日を便利にするというのは、基本的には地方自治体の仕事です。これは何を意味しているかというと、地方自治体は生活者のニーズ(需要)の解決が仕事だということです。

イノベーションというのは、既存の安定した仕組みをある意味で破壊する行為ですから、それは明確な消費者・生活者の身近なニーズがあって初めて正当化されます。そして、そうしたニーズがあるかどうかは国政の政治家よりも、地方自治体の政治家が最もよく把握しているはずです。

だからこそ、地方自治体が「みんなのニーズがあるから規制を緩和してイノベーションを認めよう」あるいは「これは生活者が望んでいないから規制は緩和しない」ということをスピーディーに判断していくというのは、確かにみんなの生活を最速で便利にしていくアプローチのひとつかもしれません。

そういう意味では、「規制を緩和するかどうか」といった判断は、どんどん地方に権限を移譲していったほうが良いのでしょう。で、イノベーションを起こしたい会社も、もしくはニーズを知ってほしい生活者も、地元の政治家にどんどんそれを伝えていくと良さそう。

地方の政治家とのコミュニケーションが足りない

そんな中で課題だと思うのは、地方の政治家というのは本当に誰も知らないということ。

高島市長くらいだと知っている人はそこそこいますが、ぶっちゃけ目黒区長とか区議会議員とか都議会議員とか、マジで知らない。

そういう意味では、「政治家の食べログ」みたいな使いやすいUXのポータルがあって、そこで気軽に政治家にニーズを伝えられる・連絡が取れるといいでしょうね。自分の自治体の政治家を検索できて、それぞれのプロフィールや得意分野が書いてあって、解決してくれそうな人に連絡してみる的なことができれば便利だと思います。このあたりは政治テックのPoliPoliが一度頑張って、撤退(ピボット)した領域だとは思うのですが。

自民党でも、支部ごとに全く違うドメインで、全く違うウェブサイトになっていて、所属議員はそれぞれが全く違うウェブサイトを個人で作っている。これは状況としては本当に不便。というか、選挙のときくらいしか見ないよね。

弁護士ドットコムあたりが「政治家ドットコム」というサイトでも作ってくれれば良いのでは(笑)。

今の政治って、テレビを見て、投票して終わりみたいなところがあって、手触り感というか、そういうものが圧倒的にないんですよね。もっと、困りごとを身近な政治家に伝える、政治家がそれを解決してくれる、お世話になったから投票して応援しよう、そういう身近なサイクルで政治が回っていくと良いし、それは国政ではなく地方から起こりうることなんだろうなと思った次第です。

まとめ

そんな感じで、後半は内容の紹介というより、僕の思考をだらだらと書いてしまいましたが、日本の未来や政治、イノベーションといったものを考える際に「地方自治体」という切り口で考えることができるようになる(切り口の引き出しが増える)という意味で、本書はとても良いなと思いました。

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