『課金ポイントを変える – 利益モデルの方程式』という本がAmazonでオススメされたので何となく読みました。せっかくなので、少しご紹介します。
従来のビジネス論
従来のビジネス論では、「お客様にどのような価値を提供するか」を煮詰めて、喜ばれる商品を開発し、それをお客様が欲しがる値段で提供するというのが基本でした。
あとは、大量生産や物流管理でコストをカットして、利益を増やし、出来るだけ安くしていくことでビジネスは成功するというものが多かったということです。
ところが、このようなやり方は価格競争が始まれば、資金力もブランド力もあり、規模も大きくコストをカットしやすい大企業が勝ってしまうため、大企業向けの方法論だと述べられています。
お金の稼ぎ方の多様性
続いて、この本では利益の出し方から考え、大企業とは異なる稼ぎ方を作ることが大切だということが述べられます。
同じような商品を提供していても、お金の稼ぎ方にはさまざまな方法があります。
この本では、
- 「誰」から儲けるのか
- 「何」で儲けるのか
- 「どのような」時間軸で儲けるのか
を考えることで、新しいビジネスモデルを作れると紹介しています。
以下では「みんなが読みたいコンテンツを提供する」というモデルを例に考えてみます。この基本は、たとえば「本」です。みんなが読みたい本を作り、みんなにお金を払って買ってもらうというのがあくまでも基本です。
これを元に上の3つのポイントを考えてみます。
「誰」から儲けるのか
「本」は普通、「読者」から儲けます。ひとりひとりの読者にお金を払ってもらうことで儲けているのです。このとき、「誰から儲けるのか」という内容を考えることによって、新しいモデルが見えてきます。
たとえば、読みたい人がたくさんいるならば広告を載せて企業から儲けることも出来ます。これが「雑誌」です。
音楽でも、普通はリスナーにお金を払ってもらって音源を販売しますが、Jay-Zとサムスンのように、企業がお金を払い、リスナーには無料というモデルも考えられますね。
「何」で儲けるのか
本の場合は、本単品の販売で儲けています。さらに言えば一冊一冊の販売で、それぞれに利益を出して儲けています。
ところが、商品ごとの価格に差をつけることで、強みのある本屋にすることが出来ると述べられています。たとえば「文庫本と雑誌では儲けずに、専門書で儲ける」といった具合です。
こういうことをしている例としてAmazonがあげられています。本同士ではありませんが、Amazonは家電製品等を非常に安く販売し、Amazonの利用に慣れてもらい、ついでに定価の本を買ってもらうというモデルを採用しているそうです。先ほどのような言い方に直すと「家電製品では儲けずに、本で儲ける」ということになります。
身近なところでも、たとえば牛丼屋は「牛丼では儲けずに、卵やサラダで儲け」ていますし、100円ショップなんかは全部100円ですが、原価はバラバラなので、儲かる商品、儲からない商品がミックスされていることになります。文房具では儲からないけど、ついでに買ってくれるスナック菓子で儲かるといった具合です。
また、本来のお金を取る部分を無料で提供してしまうLINEやソーシャルゲームのような例もあります。「通話・メッセンジャーでは儲けずに、スタンプで儲ける」ということになります。
「どのような」時間軸で儲けるのか
本の場合は、読者が買った瞬間にお金を払ってもらい、儲かることになります。
これに関しても、長い時間軸で儲ける方法も考えられます。たとえば、ホリエモンが『ゼロ』を先行公開していたことで注目されたCakes.muというウェブサービスは、定額(週150円)で文字コンテンツ読み放題のサービスです。
本を買った瞬間に500円の利益というようなことはありませんが、長く使ってもらえれば、一層儲かることになります。音源販売とSpotify等の関係もそうですね。
また、先ほどの儲ける商品・儲けない商品との関連に、この時間軸という考え方を持ち込むと、インクとプリンターのような利益構造も考えられます。プリンターでは殆ど利益が出ないけれど、その後、継続して買ってもらうインクで利益が出るというものです。これらはゲームハードとゲームソフト、カミソリと刃といった関係にも見ることができます。iPhoneや新規機種を0円で提供し、その後の契約料で儲けるといった構造もそうです。
課金ポイントを変える – 利益モデルの方程式
といったようなことが書かれている、今回紹介した『課金ポイントを変える – 利益モデルの方程式』という本。他にもさまざまな会社の利益構造を分析したり、上の3つを組み合わせるとどういうモデルができるかを分かりやすく解説してくれています。
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