善管注意義務とは
善管注意義務とは、取締役や代表取締役などの経営者が常識的に払うべき注意義務を指し、会社法や民法に規定されています。
善管注意とは「善良な管理者の注意」の略であり「義務者の属する職業や社会的・経済的地位において、取引上で抽象的な平均人として一般的に要求される注意」を意味します。取締役等が善管注意義務に違反して会社に損害が発生した場合、会社や株主は当該取締役等に対して損害賠償を求めることができます。
しかし、経営判断の過ちに対して損害賠償などが求められると経営陣が萎縮することから、善管注意義務は平成10年8月31日の東京高裁判決によると「判断の前提となった事実の認識に重要かつ不注意な誤りがあり、意思決定の過程・内容が企業経営者として著しく不合理、不適切であった」場合にその違反が認められるとされており、適切に事実を認識していることが重要となります。
M&Aにおいては、対象企業に瑕疵や問題点がないかデューデリジェンスを行って把握に努め、瑕疵があった場合にはクロージングの前提条件等として治癒を求めますが、そもそも限られた期間で対象企業のすべてを調べ切れるわけではありません。そこで、売主側に表明保証を求めて、表明保証違反があった場合には売主に損害賠償を請求できるようにする等の手法がとられます。
written by @raq_reezy
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