日本庭園用語:浄土式庭園とは

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浄土式庭園とは

浄土式庭園とは、平安時代後期から鎌倉時代にかけて、寝殿造系庭園をベースに発展した池泉庭園です。

平安時代後期になると、世の中では末法思想が流行しました。末法思想とは、釈迦が入滅した後に長い年月を経て末法を迎えると、仏教の正しい教えが失われて、世の中が混乱するという思想です。実際、末法元年とされる1051に向かって、939年には平将門や藤原純友の乱が起こり、1028年には平安時代の全盛期を築いた藤原道長が病没するなど、当時の平安貴族たちにとっては不安な世の中が近づいていました。

そうした中で、貴族たちは現世よりも、死後の極楽往生を願うようになります。そのためには、正しく浄土を思い浮かべられること(観想)が必要であると考えました。しかし、実際に浄土を見たことがある人はいません。そこで、曼陀羅を参考にして、庭園に浄土を再現するようになったのです。

具体的な特徴としては、浄土は西の方にあると信じられていたため、池泉庭園の西側には真東を向くように阿弥陀堂が建てられました。太陽が東から昇ると阿弥陀堂に陽の光が差し込み、夕方になると太陽は阿弥陀堂の奥に沈んでいきます。貴族たちは、池の東側を此岸、西側を彼岸に見立て、池の東側から阿弥陀堂に向かって、先祖や自身の死後の極楽往生を祈りました。

浄土式庭園としては、藤原頼通が建てた平等院や、奥州藤原氏が『作庭記』に従って建てた毛越寺などが有名です。

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