飛石とは
飛石とは、庭を歩くときに、土や苔で履き物が汚れるのを防ぐために地面に並べられた石です。千利休によって、露地(茶庭)に導入されたといわれています。
飛石は、いわば道の役割を果たしますが、直線的に来客を茶室まで導くのではなく、紆余曲折させたり、途中であえて道を途切れさせたりといった演出が加えられているのが一般的です。また、そもそも石をひとつずつ確認しながら踏み進んでいく必要があるため、決して便利なものではありません。
これは、露地(茶室)の語源が「路地」であることから分かるように、邸宅から茶室までの庭を「浮世離れした空間(深山幽谷)への道中」だと捉える茶道や侘び・寂びの価値観が反映されています。飛石を伝いながら、茶室にたどり着くという道中も含めたお茶の総合体験を千利休は生み出したのです。その道中には、石燈籠や蹲踞などが置かれました。
こうした「道中を庭の中につくる」という趣のある演出は、江戸時代の大名庭園にも引き継がれ、池泉回遊式庭園が発展していきました。
庭に飛石を並べるときは、それぞれの尖った部分が向かい合って気勢がぶつからないよう、石の形にも配慮しながら並べる必要があります。
飛石よりも歩きやすさを重視して、石を道状に敷き詰めたものは敷石と呼ばれます。
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関連参考書籍
本記事を書くにあたり、以下の書籍を参考にしています。日本庭園の種類や歴史、構成要素について、初心者にもわかりやすく解説されています。
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