日本庭園の植物は?役木(庭木)の種類や下草・苔・花を解説

日本庭園の植物は?役木(庭木)の種類や下草・苔・花を解説

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はじめに

日本庭園の植物について詳しく知りたい方へ。

この記事では、日本庭園の役木(庭木)や下草について、その種類などを詳しく解説しています。

この記事の内容

  • 日本庭園に植えられる役木とは
  • 様々な役木の配植や種類を解説
  • 日本庭園に植えられる下草の種類を解説

日本庭園の植物について、その種類などを理解できるようになっていますので、ぜひ最後までお読みください。

日本庭園に植えられる役木(庭木)とは

役木とは

日本庭園に植えられる庭木には、それぞれ役割があります。そのため、「役割のある木」ということで役木(やくぼく)」と呼ばれます

例えば、「庭の中心的なシンボルとしての役割を持つ木」のことを「正真木」(シンボルツリー)といいます。役木の種類は、江戸時代に書かれた『築山庭造伝の中で解説されています。

常緑樹と落葉樹

役木を植えるにあたっては、常緑樹落葉樹がバランスよく配植されます

常緑樹は常盤木とも呼ばれ、松のように冬でも緑色の葉が生えている木を指します。落葉樹とは、もみじのように秋には紅葉して落葉する木を指します。

常緑樹がないと冬には寂しい庭景色となってしまいますし、逆に、落葉樹がないと年中代わり映えのない、四季を楽しめない庭となってしまいます。

役木(庭木)の種類

江戸時代後期に記された『築山庭造伝』では、以下のような役木が紹介されています。

正真木(しょうしんぼく)

正真木は、庭景色の中心となるシンボルツリーを指します。

庭園の中心にある築山の上や中島などに、松や黐(モチノキ)、槇(マキ)、木斛(モッコク)などが植えられることが一般的でした。

景養木(けいようぼく)

景養木とは、正真木と対になって庭景色を補う木を指します。

正真木には松などの常緑樹が植えられることが多いため、景養木はそれを補う意味で落葉樹が植えられるのが一般的です。

寂然木(じゃくねんぼく)

寂然木とは、南庭の東側に植えられる木で、常緑樹を用います。枝葉から朝日が溢れるように植えられます。

夕陽木(せきようぼく)

夕陽木は、南庭の西側に植えられる木で、楓(カエデ)などの落葉樹を用います。夕陽が葉を美しく透かすような風景が期待できます。

庵添えの木(いおりぞえのき)

庵添えの木は、露地(茶庭)において茶室の軒や内腰掛の近くに植えて、風情をつくる木を指します。現代であれば、家の建物の周囲に植える木も「庵添えの木」と呼んでよいでしょう。

飛泉障りの木(ひせんざわりのき)

飛泉障りの木は、滝口を隠すために滝の前に植えられる木をさします。滝の一部を木で覆うことによって、人工感を薄めて、奥山や深山幽谷の風情を演出します。

見越しの松(みこしのまつ)

見越しの松は、庭の背景を構成する木です。近景中景を引き立てて、庭に立体感や奥行きを持たせることを目的に植えられます。

燈籠控えの木(とうろうひかえのき)

燈籠控えの木は、石燈籠をむきだしにしないよう、その横に添えて植栽される木をさします。常緑樹が用いられます。

灯障りの木(ひざわりのき)

灯障りの木は、枝葉が石燈籠の火口にかかるように植えられる木を指します。楓(カエデ)などの落葉樹が用いられます。

日本庭園の役木(庭木)に使われる常緑樹

江戸五木

江戸時代には、江戸五木として、以下の5種類の庭木が重宝されました。

  1. 木斛(モッコク)
    常緑樹の木斛(モッコク)は「庭木の王様」とも呼ばれるほどポピュラーな庭木で、江戸五木と三代庭木の両方に含まれています。常緑樹ですが、針葉樹ではないため、楕円形の葉っぱを年中鑑賞できます。古くから、武家屋敷や神社、お寺などに植えられてきました。風格のある樹形は手入れをしなくても崩れにくく、水やりも不要なため、あまり手を掛ける必要がないのがメリットで、公園などにも植えられています。
  2. 赤松(アカマツ)
    常緑樹の赤松(アカマツ)は松の一種ですが、樹皮が赤みを帯びることからアカマツと呼ばれています。高さは30メートルにも達することがあります。また、アカマツ林には松茸が生えることが知られています。
  3. 糸桧葉(イトヒバ)
    常緑樹の糸桧葉(イトヒバ)はヒノキ属の木です。樹形は乱れにくく、病害虫の発生もないので、庭木の中では手入れが楽な部類に入ります。
  4. 榧(カヤ)
    榧(カヤ)は、イチイ科の常緑針葉樹です。種子から採取できる油を燈明に用いることができるなど、実用的な側面があったため、元々は好んで庭木として植えられていました。現代では珍しい庭木となっています。
  5. 犬槇(イヌマキ)
    犬槇(イヌマキ)は、マツ科の常緑樹です。北アメリカでも植えられているほか、中国では縁起物として好まれます。防火や防風の機能もあるため、防風林などの目的でも植えられます。

三大庭木

三大庭木として、重宝されているのは以下の3種類です。

  1. 木斛(モッコク)
    上の「江戸五木」で説明したため省略。
  2. モチノキ
    モチノキも、木斛(モッコク)と同じく楕円形の葉を生やす常緑樹です。クリスマスなどでお馴染みの柊木(ヒイラギ)とかなり近い植物で、赤い木の実をつけます。
  3. 木犀(モクセイ)
    木犀(モクセイ)は、住宅街でもよく見かける常緑樹です。秋になると良い香りのする「金木犀(キンモクセイ)」とあまり香りのない「銀木犀(ギンモクセイ)」があります。

日本庭園の役木(庭木)に使われる落葉樹

春を彩る落葉樹

  1. 梅(ウメ)
    梅(ウメ)は、2月〜4月頃に開花する落葉樹です。大規模な池泉庭園の一種である大名庭園には、梅林が設けられていることもあります。
  2. 桜(サクラ)
    桜(サクラ)も、春に開花する落葉樹です。桜が美しい日本庭園としては、六義園や新宿御苑などがあげられます。
  3. 辛夷(コブシ)
    辛夷(コブシ)は、木蓮科の落葉樹で、その名前はつぼみが開く直前の形がこどもの握りこぶしに似ていることに由来しています。

秋を彩る落葉樹

  1. 伊呂波楓(イロハカエデ)
    伊呂波楓(イロハカエデ)は、いわゆる「もみじ」と呼ばれる落葉樹です。赤く紅葉するため、秋の庭を華やかに演出する効果があります。夕陽木などにも適しています。
  2. 欅(ケヤキ)
    欅(ケヤキ)は、日本を代表するニレ科の落葉高木です。雄大な樹形が特徴です。

日本庭園の低木・下草

低木・下草

日本庭園では、庭木のほかに、低木や下草も用いられます。

役木石燈籠などの足下に配植されることが多いほか、寄植えをしたものを刈り込んで、築山のようにすることもあります。これは大刈込と呼ばれます。

落葉性の低木・下草

落葉性の下草には、以下のようなものがあります。

日本庭園に用いられる落葉性の下草

アジサイ、キンシバイ、コデマリ、シモツケ、タニウツギ、ドウダンツツジ、トサミズキ、ハコネウツギ、ハナズオウ、ヒュウガミズキ、ボケ、ヤマブキ、ユキヤナギ、ライラック、レンギョウ

常緑性の低木・下草

常緑性の下草には、以下のようなものがあります。

日本庭園に用いられる常緑性の下草

アオキ、アセビ、イヌツゲ、オオムラサキツツジ、キンメツゲ、クチナシ、サツキツツジ、シャリンバイ、ジンチョウゲ、センリョウ、アベリア、トベラ、ナワシログミ、ナンテン、ハイビャクシン、ハクチョウゲ、ヒイラギナンテン、マンリョウ

日本庭園と苔の文化

平安時代から茶庭まで、幅広く活用された苔

苔は西洋においては重要視されない植物でしたが、日本庭園においては昔から美しさを見出され、作庭に活用されてきました。平安時代の後期に書かれた作庭記には、すでに「隙々には苔などを伏すべきなり」という記述があり、平安時代から日本庭園には苔が用いられていたことがわかります。

特に、室町時代以降の露地(茶庭)においては、深山幽谷を表現する手段のひとつとして、積極的に活用されました。

日本庭園で使われる苔の種類

日本庭園では、スギゴケを始めとして、シノブゴケ、ハイゴケ、シラガゴケ、ヒノキゴケ、スナゴケなどが活用されます。

「苔寺」として有名な西芳寺

「苔寺」として知られる、京都の西方寺は夢窓疎石が作庭した日本庭園として知られていますが、当初は一面に白川砂を敷いた白砂青松の庭でした。

しかし、応仁の乱などを経て、境内は荒廃。その後も、長い間、荒れたままで放置された結果、苔に覆われた原生林へと姿を変えました

西芳寺の庭は、誰かが意図したものではなく、まさに大自然の力を示す、深山幽谷の庭だといえるでしょう。

日本庭園と花の植栽

侘び・寂びが重視される日本庭園においては、西洋のガーデニングと違い、あまり花が中心的に語られることはありません。しかし、過去の文献には、花についての記述もちらほらと見られ、日本庭園にも花が植えられていたことがわかります。

例えば、『源氏物語』には光源氏の君がつくらせた「四季の庭」が登場しますが、そこにはナデシコやリンドウなどの草花が記されています。また、室町時代に貞成親王によって記された『看聞御記』には、初めて「花壇」という言葉が登場し、花を植えていたことが記されています。

江戸時代になると、園芸植物が積極的に育てられるようになり、品種改良なども行われました。大名庭園には、アサガオやキク、ボタンなどが植えられました。当時、世界にも先んじていた江戸時代の園芸文化は、現代にも東京都葛飾区の堀切菖蒲園などが残っています。

まとめ

今回は、日本庭園の庭木(役木)の種類や、下草・苔・花について解説しました。

  • 日本庭園の庭木(役木)とは
    日本庭園の庭木にはそれぞれ役割があるため「役木(やくぼく)」と呼ばれる。江戸時代に書かれた『築山庭造伝』では、正真木や景養木など様々な役木が解説されている。
  • 日本庭園の下草
    役木や石燈籠などの足下に植えられることが多い。
  • 日本庭園と苔
    平安時代の『作庭記』には、すでに苔を生やすべきとの記述が存在している。昔から深山幽谷を表現するために積極的に用いられたが、特に露地(茶庭)において活用された。
  • 日本庭園と花
    日本庭園において、あまり花が中心的に語られることはないが、『源氏物語』などにも花は登場しており、昔から日本庭園に花が植えられていたことがわかっている。江戸時代には、日本は世界に先んじる園芸文化を誇っていた。

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2021年8月17日

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